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果樹2.0

お呼びがかかる。
仕事を行なっているものにとって、そんな嬉しい話はない。
空振りに終わろうが、さして重要な取引になろうがなかろうが、そんなことはどうでもいいのだ。

不動産屋という職種の会社に勤めていると、様々土地や建物などに関するお呼びは多い。それはそれで冒頭の通り当然ながら頼りにされるという意味で嬉しいものなのだが、その得意性は私の場合残念ながら低い。
もう既に今の会社に勤めて十数年となったワケだから、当然職業的に知っていることはあるにしても、業界人として極めようとしているうちの職員たちに比べれば、まぁ言ったところでそう役に立てることは少ないのが現実だ。

そんな中、ある友人から唐突に果樹の使い道について相談を持ちかけられた。
要するに「お呼び」がかかったのだ。
息子は後継せずによそに勤めることになり、年老いた夫婦で果樹を専門にやっている農家がいる。何とか助けたいんだけど、どうにかならんものか…と。

当然ながら、私はそれに関する専門家ではないが、その友人の何とかしたいという気持ちに応えたいというのと、単純に面白そうという興味本意で早速その農家に訪れる約束をした。

鴨川の山沿い、奥深いところに、その果樹園はあった。
小規模だけれど、美しく手入れがよくされた山の果樹園だった。
鴨川で果樹をやる農家の殆どが手がけている、ハッサク、夏みかん、温州みかんなどがよく採れるとのことだったが、最近は猿と鹿との争いに忙しいという話で、果樹をやる農家の話としてはよく聞く典型的な話が、そこにもあった。

地域性にあった農作物を作るというのは、農家の仕事として正しい。
一方で、よく成るからよく採れるという理屈は、同じ時期、同じように豊作を向かえるものを作るものにとって、差別化を図るのが難しいという理屈にもなる。
そのため、大量に出る作物は同じ市場に出されると、一気に値引き競争が生まれどんどん単価を下げて売ることになり、価値を下げて販売するサイクルにハマる。
これが典型的な今の多くの農家の苦しみであり、現状である。
価値そのものを見直し、変える他ない。
方法は何かないものか…。

つづく

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