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トンカツの呪い

ふと、あるものが衝動的に食べたくなって何も手につかなくなること、誰もが一度は経験するだろう。
僕にはそれが週に一度程のペースで訪れる。

ホルモン焼き、ビビンバ、マクドナルドのポテト、かりんとう饅頭、マカロンetc...

特にこれといったジャンルがあるわけではないが、毎回やたら具体的なものが食べたくなる。
これが厄介なのである。状況次第ではなかなか手に入りにくいものもあるからだ。

とはいえ、たいていの場合は時間が経つとその欲求が徐々に薄れていくためあまり問題はない。
しかし、ある食べ物だけは例外で、それを食べるまでその欲求が収まるどころかむしろ雪だるま式に巨大に膨れ上がっていく。まるで呪いにかかったかのように。

その呪いの食べ物とはトンカツである。
サクサクの衣をまとった熱々ジューシーな豚肉を白米あるいは千切りキャベツとともに口の中に放り込むまで、何も手につかない禁断症状が終わることはない。

これまでトンカツ以外でその欲求を満たせるか様々な料理で試して見たが、まるでダメ。むしろ誤魔化せば誤魔化すほど僕の心はトンカツに向かって初恋の如く一途になる。
なので、僕は毎回トンカツが食べたくなったらすんなり諦めるようにしている。また来たな、と。

いきなりトンカツのことについて書いた理由はご想像にお任せします。