見出し画像

TWOLAPS が考えるサッカーにおける【走力】とは。

はじめに。

TWOLAPS は、陸上における800mや1500mなどのスプリントと持久力が両方求められトラック競技の中でも過酷とも言われている種目を専門としている選手がメインで在籍している陸上チームです。そんなTWOLAPSとサッカー選手との出会いがありました。それは、男子はスコットランドリーグのセルティック FCでプレーする旗手怜央選手や鹿島アントラーズの名古慎太郎選手、女子は岩清水梓選手や大宮アルディージャの上辻祐美選手との出会い。この出会いをきっかけに陸上チームであるTWOLAPSが、サッカーにおける走力を真剣に考え追求し紐解いていく旅が始まりました。この出会いからサッカーで必要な走力を少しずつ紐解いていくと、TWOLAPS x SOCCER はすごく相性がいい。スピードがひとつ大きな武器となるサッカー選手にとっては、中距離選手のトレーニングがサッカーにおける走力向上に大いにつながってくるのです。

トレーニングのコンセプトや方向性を擦りあわせる旗手選手と上辻選手。

陸上のトレーニングをサッカーの走力に還元する。

サッカーが陸上のトラック競技と根本的に違うのは、サッカーは止まる動作が頻繁に起こり、ボールやプレーヤーを見て判断して動くといった、認知が伴ってきます。では、中距離を専門としている陸上のチームがどのようにサッカーの【走力】を還元できるのか説明していきます。

※ここでのランニングエコノミーは陸上用語としてではない

走力向上に必要不可欠な3つの要素


まず、サッカー選手の走力向上を考える上で欠かせないの三つの要素があります。

サッカーにおける走力向上3大要素。

加速 - 全く動いていない状態(もしくは遅いスピード)から最高速度まで達する能力。

減速 -動いている状態から、 (短い距離で)速度を落とす能力。

ランニングエコノミー - 試合全体を通して質の高い加減速を持続させる能力

※ここでのランニングエコノミーは球技スポーツにおける意味

加速 (Acceleration) 

いわゆるスプリントトレーニングはこの加速を鍛えるためのトレーニングを示していることが一般的であると思います。もちろん、相手を初速で上回り置きざりにするような突破力は、攻撃においては得点のチャンスをつくり、また守備においては相手に追いつき失点のピンチを防ぎます。言わずもがな、加速を向上させることは得点の取り合いを競う競技においては鍵になります。 

岩清水選手、加速のトレーニングをしている1コマ。

減速 (Deceleration) 

サッカーの試合において次のような面白いデータがあります。あるエリート選手のサッカーの試合において急加速(≥3 m.s-²)46回に対して、急減速(≥3 m.s-²)73回と2倍近く急減速するシチュエーションの方が多かったのです(引用元)。つまり、急に加速するより急に止まる(減速する)ことの方が頻度が高いのです。方向転換をする際は、必ず減速してから方向転換が行われます。この、減速を疎かにしてしまうと無駄なエネルギー消耗が起こり、試合後半はいわゆるキレがなくなるといった、プレーにも影響してくるのです。

旗手選手、止まるトレーニングの1コマ。

ランニングエコノミー (Running Economy) 

ランニングエコノミーは陸上用語で、ある一定の速度での酸素消費量を指す言葉ですが、あえて陸上用語を使ってそれをサッカー用の意味に互換します。サッカーにおけるランニングエコノミーとは、90分を質の高いスプリントを持続できる能力を指す言葉として、定義させてもらいます。一回の突破する力も大事ですが、それが試合全体を通して継続することができることがサッカーにおいての走力が上がったということになります。

効率的な走りを学習させるトレーニングの1コマ。

サッカーにおける走力の3つ重要な要素をあげましたが、今度は陸上の中距離の走力を考えてみます。

800mや1500mの魅力は、陸上の中距離の醍醐味ともいえるラストスパートです。ラストスパートまでもつれ込み最後の100mで順位が大きく変わることも多々あります。ラストスパートを仕掛けるラスト数100mまで力を温存させる能力(ランニングエコノミー)の差がパフォーマンスには大きく関わってきます。いかに速い速度で走るかというスプリント能力だけなく、いかに効率的に走るか(重心を前に運ぶ)かが中距離という種目においては勝敗が左右されるのです。

ハードルを用いたウォームアップ。

中距離のトレーニングでは、絶妙に長い距離を速い速度を維持して走るために必要な有酸素能力(持久的な能力)・ランニングエコノミースプリントとさまざまな速度で走る能力を向上させていきます。そんなトレーニングがTWOLAPSでは日々行われています。要は、サッカーにおいて鍵となる、シンプルな速さと90分効率よくかつスプリントできる選手になるためのヒントが中距離には秘められているのです。

日本の中距離界を牽引し、どのようにして効率よく速く走れるかを追求している集団であるTWOLAPSだからこそサッカーなどの球技系のスポーツの走力向上に落とし込めるのです。

長期的なトレーニング計画


減速もトレーニングしていきます!! ~減速もスキル~
減速という行為は陸上競技においてはおこりませんが、止まる、また止まってから方向転換といったトレーニングも Movement TrainingやWeight Training を用いて同時進行で進めていきます。サッカーにおいてACL断裂も方向転換などの減速時での発生率が高いです。また、アジリティに関わる横方向への加速を生かすも殺すも減速です。真っ直ぐ走る止まるだけでなく、怪我の予防の観点からと、横への動きや切り返しにもアプローチしていきます。

ウエイトとムーブメントを同時進行でトレーニング

TWOLAPS x 球技スポーツ

TWOLAPSは競技の垣根すらも越えていきます。どんな競技でも、アスリートとしての速さを極めたい、相対的なスピードを上げたい、試合での持久力を向上させたい、止まる時に蓄積される身体への負担も減らしたい(怪我の予防)、そんな要望に応えて、ポテンシャルを最大限引き出せるそんな存在にもなっていけたらと思っています。

TWOLAPS x SOCCER

和田俊明
TWOLAPS TC
wada@twolaps.co.jp 
https://toshiwada.com



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?