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低酸素トレーニングをするメリット

2022年サッカーのカタールワールドカップで日本代表が歴史的な勝利をあげたのも記憶に新しいと思います。時を同じくして、TWOLAPSとサッカーとの出会いがあり、サッカー選手のトレーニングもサポートしていくことになりました。W杯の勝敗を起因する要因となる傾向でもあり、近年の欧州サッカーを観ていても、スプリントを繰り返し繰り返し持続できる持久力というのは、サッカー選手に求められる必要不可欠な要素です。サッカー選手だけでなく、持久力はラグビーやテニスなどさまざまな球技スポーツで重要となってきます。そして、今回は最近流行りの低酸素下環境でのトレーニングについて記事にしたいと思います。

結論から、持久力を向上させる手段として低酸素環境でのトレーニングをするメリットは以下になります。

低酸素環境でのワークアウトは、血液中の酸素運搬能力や筋肉への酸素消費能力向上を促し、心肺機能・持久力向上に効果的である。 また、エネルギー代謝能力にも大きな効果があり、代謝促進や蓄積脂肪の減少に繋がる。

ランニングサイエンスラボのウェブサイト

では、酸素の濃度を低くして高度2000mの高知を疑似的につくった低酸素下でトレーニングするとどのような変化が起こり、成果が期待されるか説明していきます。

持久力を考える

まず、持久力の向上を考える上で以下の3つの原理的な要素があります。
 ● VO2 MAX (最大酸素摂取量)・・・持久力のキャパシティを大きくする
 ● AT閾値 (無酸素性作業閾値)・・・どれだけ速い速度を維持できるか
 ● ランニングエコノミー・・・いかに少ないエネルギー消費で速い速度を走るか
この三つが持久的な能力の70%を占めるとも言われています。

これらの要素を、低酸素下で適切なフィットネストレーニングを実施し負荷をかければ効率良く向上させることができます。

ある低酸素下環境を提供している施設では低酸素下での30分のjog(ゆっくりしたペースで走る)は、平地で2時間のjogにも匹敵するほどの効果があると言われています。

では、体の中でどのような変化が起こり球技選手にも必要な持久的な能力が身につくのかをあげると、ざっくりとですが低酸素下でトレーニングする上で以下の効果が見込まれます。

  • ヘモグロビンの量・・・酸素の運搬能力が上がる 

  • ミトコンドリアの量・・・エネルギーの再生向上の役割。回復が早くなる

  • 毛細血管の量 ・・・血液の運搬能力が向上する

球技スポーツにおける持久力

ほとんどの球技スポーツはシーズン試合が続く期間が長期的です。持久力考えた上で、シーズン全体をみた持久力と1試合だけを見た持久力とでは少し意味あいが違ってきます。ここでは、長期的な視点と短期的な視点の両方の角度から持久力を考えます。

マクロとミクロな持久力

ミクロ(1試合の中での短期的な期間の持久力)

また、サッカーやラグビーなどの球技スポーツは、素早く加速して、止まるといった連続的な急加速・急減速を求められます。それに伴って、短い時間で再び加速と減速を繰り返すためにの回復力が重要です。この持久的な要素だけでなく、ミトコンドリアの数(乳酸の除去能力)や毛細血管の数が増えることにより、回復する力も低酸素下でトレーニングすることで身につきます。結果的に試合の最後まで質の高いスプリントを持続させることが可能になるのです。

サッカーの1試合で求められる持久力

マクロ(シーズンを通した長期的な期間の持久力)

球技スポーツはシーズンを通して毎週のように試合があります。試合を重ねていくたびに疲労も蓄積されていき、100%ベストなコンディションで試合に望めるといったことが難しくなってきます。球技によって試合と試合の間の日数は異なりますが、試合の間の日数で持久力を最低限維持できるほどのトレーニング負荷を与えなければなりません。ですが、球技スポーツですので必然的に球技の練習に割く時間の割合がどうしても多く占めてきてしまいます。フィットネスのトレーニングで低酸素環境で行うことで短い時間で、持久力の維持やトレーニングを効率的にすることが可能になります。

シーズン全体を見た持久力

低酸素でのトレーニングによりミクロとマクロどちらにもアプローチ

ミクロ インターバルなどの間欠的なトレーニングのアプローチにより、有酸素能力もそうですが無酸素能力も向上させ、試合で頻繁に行われる特性に似た負荷を再現してトレーニングできます。有酸素的な能力と無酸素的な能力を向上させ、試合にフル出場できる力が必要になります。

マクロ 試合と試合の間は長くても1週間しかなく、その間に試合で出た課題を修正し次の試合にのぞむといった球技の練習に割く時間は必然であります。そのため、持久的な能力のためのトレーニングは軽視されがちです。ですが、短い時間でもトレーナビリティの高い低酸素環境下でのトレーニングは、シーズン中でも持久力を最低限維持できることが期待されます。

Running Science Lab 使用風景

RUNNING SCIENCE LAB

低酸素環境でトレーニングができる環境が都内(表参道)にはあるのです。バイクも完備しており、下肢の疲労をためずに心肺機能を追い込みたい選手にも活用していただけますし、さらに、VO2 MAX(最大酸素摂取量)も測定できる環境が整っています。VO2 MAX(持久的な能力を表す1つの指標)を測定すると同時にAT閾値も算出できます。こうした測定をすることで、持久的な能力を伸ばす上で自分の強みと弱みが明確になります。 有酸素的な能力が足りないのか、無酸素的な能力が弱いのか、これらを見つけ個人に必要なトレーニングをデザインし、アスリートの持久力向上のお役に立てれたらと思います。

低酸素室でのトレーニング

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https://rslab.tokyo/?page_id=199

和田俊明
TWOLAPS TC 
wada@twolaps.co.jp

参考文献

https://sports-performance.jp/paper/1006/1006.pdf

http://rikujo.taiiku.tsukuba.ac.jp/column/2018/130.html


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