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やっとわかったよ

支えるものたち

記録を打ち立てた時、彼女の側には必ず仲間がいた。

ヒューストンハーフのときは同級生の宇賀地強が、

駅伝では積水のチームメイト達が、

日本選手権ではチームメイトの佐藤早也伽が、

新谷を引っ張り同じフィールドで彼女を支えてくれた。

「2000mまでは遅くても早くても佐藤を信じろ」日本選手権で新谷にした唯一のアドバイスだった。(あとは機械のように「大丈夫」と繰り返すことしかしていない)


フィールドの外では、彼女と同じ目線で戦ってくれるスタッフがいろんな面で彼女を支えていた。

頼ることを覚えなさい

2010年僕はアメリカ カリフォルニア州 サンディエゴにいた。ロサンゼルス五輪800mの金メダリスト、ヨアキム・クルス氏に指導を仰ぐためだった。

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当時の僕は、コーチをつけていなかった。コーチをつけなくても日本記録も出せたし世界陸上にもいけたからだ。けれど、このままではいけないと思い、上野さん(現、関東学院大学GM)に相談をさせていただき、クルス氏に指導を受けることが可能となった。

いまでも忘れない彼の言葉がある。僕と出会ったその日に言った。

「オリンピックでメダルを獲りたいのであれば頼ることを覚えなさい」

その言葉の意味も理解できず僕は最後まで特定の誰かにコーチングを受けることなく現役生活を終えた。結果はご存知の通り突き抜けることはできなかった。

「オリンピックの決勝は特別な舞台だ。その舞台に立った時に、君を支えるもの、信じるものが大きな力になる。だから誰かに頼ることを覚えなさい。」

スタートラインに立つ新谷の姿を見た時に、クルス氏が初日に僕に伝えたことの意味を10年間かけてやっと理解できた。

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選手の時は実践できなかったけれど、コーチになって「頼られることの意味」を、選手目線で考えることができているのは、彼の言葉が言霊のように僕の中で生きているからだと思う。

今度会ったら伝えようと思う。「やっとわかったよ」って。

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