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今更ではあるが

noteを始めて10日,ただの一般人である私の記事を,私とはまるで住む世界の違う,多種多様な分野でご活躍されている方々にご覧いただき,「スキ」まで付けていただけるだなんて,最初は想像すらしていなかった。
たまたまタイムラインで挙がったからご覧くださった,という方がほとんどだと思うが,それだけ「教育」というカテゴリーに関心を持っている方が多いのだと改めて実感したし,現場に立っていた人間として発信する私の言葉に共感してくださる方がこれほどいらっしゃるということを目の当たりにして,自分の考えは決して筋の通っていないものではなかったのだと認識することが出来た。本当にありがたいことだ。

今回は連続投稿10日目の区切りに際し,今更ではあるが私こと高潮の自己紹介を,募集中のお題に沿ってさせていただく。

5歳から始まったゲーマー人生

私は自分の稼ぎで生計を立て,所帯を持った今でもゲームを楽しんでプレイし,好きなタイトルは購入し続けている。
私とゲームとの出会いは,当時社会現象を起こした「ストⅡ」こと,カプコンが世に送り出し,現在もなお続編が世界的に大ヒットし続けている作品・ストリートファイターⅡがゲームセンターで稼働し始めた頃だ。

私の生まれ育った町には鉄道が無く,娯楽施設と呼ばれる場所に行きたければ,最低でも隣町まで自家用車で向かわなければならず,最寄り駅までも車で15分という,「最寄り」という表現が果たして許可されるのか不安になるほどの僻地だった。

しかしそんな町にさえ,雑貨屋さんの敷地奥にあったスペースにストⅡの筐体を置いた途端,この町にはこんなに若い人たちがいたのかと驚かされるほど来客数が爆増した。

小学校の前にあった駄菓子屋でさえ,「あの店でストⅡが出来る」という情報が出回った途端,帰り道での買い食い禁止という謎ルールのせいで面倒くさがって寄り付かなかった子供達が,家に帰ってからわざわざ駄菓子屋にストⅡをプレイしに来がてら,駄菓子屋にお金を落としていくという光景が日常になった。

それほど,ストⅡが日本全国に及ぼした影響は凄まじかったのだ。

ドット絵とは到底思えない,筋肉や表情までしっかり確認出来るほど描き込まれた個性豊かなキャラクター,それまで移動にしか使われなかったジョイスティックを活用し,コマンド入力という方式を一気に普及した,胸躍る必殺技の数々,どうしても勝てなかった敵に勝てた時の爽快感…
初めてプレイしたその日の夕方から,「はどーけん!」「しょーりゅーけん!」と声真似を始めた私を見て,親はさぞ心配したことだろう。
ここから,私のゲーマー人生が始まる。

癒しの場所,休日のゲーセン

私が育った家では,ゲームを日常的に楽しめる環境が無かった。
父親が大のゲーム嫌いであり,「目が悪くなるから」という大義名分のもと,当時の大流行アイテムであったゲームボーイやスーパーファミコンは当然買ってもらえず,友達の家に遊び行った際,時間制限付きで一緒にプレイする,あるいは友達のプレイを見ているしかなかった。

しかしそんな我が家でも,親と一緒に買い物に行った時だけは,何故かゲームセンターで時間つぶしをすることが許されていた。
今思えば,行動を共にしてもすぐに「疲れた」だの「帰りたい」だのと言われるくらいなら,取り敢えずゆっくり買い物に集中出来るようにほっぽっといた方が良いという考えだったのだろう。
しかしその作戦は私にとっても実に好都合であり,普段我慢させられているゲームを思いっきりプレイできる時間として,欲望を爆発させることが出来たのだ。

その頃には,ストⅡの大ブレイクで味を占めた各ゲームメーカーが,こぞって2D対戦格闘ゲームをリリースし続けていた。
私はその中でも,SNKという会社の作品が大好きだった。

餓狼伝説,龍虎の拳,サムライスピリッツ,キングオブファイターズ…

ストⅡとはまた一味違う魅力を持った作品たちにたちまち魅了され,同社の作った対戦格闘以外のジャンルのゲームも,新作が出る度にプレイしていた。
成長し,家庭内でもゲームに対する制限が緩やかになった頃,ある程度の年齢以上の方には有名だが,今では知る人ぞ知る存在となってしまった「NEO-GEO」という家庭用ゲーム機(リンクはこちらのミニチュア版として発売され話題になった物。今でも購入を真剣に迷っている)も購入し,自他共に認めるゲーマーとなっていった。

この辺りからプレイするジャンルの偏りが無くなり,面白そうな作品はメーカー・ジャンルの垣根を越えてプレイするようになった。

ゲームが教えてくれたこと

ゲームに否定的な意見をお持ちの方もいらっしゃると思うし,そのことについて真っ向から論陣を張ろうとは毛ほども考えていない。好きなものは好き,苦手なものは苦手,それが健全な姿だと思うからだ。
しかし,私はゲームを通して大切な事を身に着けられたと今でも思えている。

(1)諦めない心
ゲームで遊んだことのある方ならば誰もが遭遇したであろうが,途中で敵にやられたり,既定の順位に到達出来ず先のシナリオに進めなかったりと,ゲームには所謂ゲームオーバーという強制終了が存在する。
ゲームが特に好きでない方であれば,この時点で「しばらくやらなくても良いかな」と思うこともあるだろうが,私は「どうやったらクリア出来るんだちくしょー!」と燃えてしまうタチだ。
ゲームをクリアするという結果は,集中力と諦めない心を持ち合わせていなければ得られない。

そこで何を行うかというと,敵を倒して進んでいくタイプのゲームならば,敵の攻撃パターンを覚えたり,敵の嫌がるタイミングでこちらが手を出したり,活用できなかったテクニックを練習したりする。

順位制のゲームならば,技術を磨くことは勿論,時に相手を負かすためのずる賢さを学び,何とかして自分が上位に食い込む方法を模索する。

つまり,自分が成長するためにはどんなことが必要なのか,遊びながら考える癖を付けられるのだ。

私はこの経験が教員生活に大いに役立ったと実感している。
授業をより良いものにするためにはどうすれば良いか,自分の伝えたい事を生徒により浸透させるためにはどんな話し方をすれば良いか,周囲の人々が気持ち良く仕事が出来るようにするためにはどうすれば良いか,常に自分の身の回りをアップデートする癖が付いたのだ。

当然すべてが順風満帆とはいかず,ゲームで言うところのゲームオーバー一歩手前の状態になることもある。
しかし現実にゲームオーバーなど無く,生きている限りそこから幾らでも起死回生の一手を考えることが許されているのだ

そう考えたら,現実で直面する問題は,結果はどうあれ絶対にクリア出来るように作られているんだから,ゲームオーバーで強制終了させられるゲームよりよっぽど良心的だと思えるようになった。

(2)日本各地の名産品と経済の仕組み
何となくピンときた方もいらっしゃるかもしれないが,今は無きハドソンという会社からかつては発売され,このほど久々の新作がニンテンドースイッチ用にリリースされることが話題となった,「桃太郎電鉄シリーズ」だ。

「桃鉄」の愛称でファンから親しまれ,デフォルメされた愛嬌のあるキャラクターと,双六形式で日本全国(時に海外や銀河・異世界まで)を旅しながら各地の物件を購入して収益を競い合うというシステムが好評を博した。
私が初めてこのシリーズをプレイしたのは小学校3年生の時,兄が隠れて友人から借りてきた,白黒画面のゲームボーイ用に発売された作品だった。

馴染みの無い方に簡単に説明すると,ゲーム開始と同時にプレイヤーは「社長」となり(この役職はプレイ中に好きなものに変えられる),1,000万円を交付される。
その資金を元手に,お金をもらえるマスに止まったり,目的地へのゴール後にもらえる賞金で手持ちの資産を増やし,日本の経済を明るくするために各都市のマスで物件を購入していき,最終的な総資産の大小で勝敗が決定する。
しかしそこは双六システム,山あり谷ありのイベント盛りだくさんで,お金を減らされるケースも多数存在し,借金を抱えれば資金繰りのために購入した物件を売却しなければならないという何ともリアルな設定となっている。

私はこのシリーズに大いにハマり,大人になってからも過去作品を中古ショップで物色・購入したことがある。
何よりこのゲームの素晴らしいところは,遊びながら各地の特徴や名産品を自然と記憶出来るということだ。
上述したような僻地に住んでいた私にとって,大都市と言えば東京・大阪・北海道くらいしか知らず,それぞれの印象も,ビルがいっぱい,たこ焼きが有名でお笑いが盛ん,寒くて農業が凄い,くらいしか思い付かないレベルの酷い知識不足だった。

だが桃鉄をプレイし続ける内に,「京都のにしじんおりやは1億くらいするから,もう少し金を貯めてからだな。その前に名古屋のみそかつやとか,新宮のすぎばやしを買っておいた方が3月の決算の時に得だな」といった具合に,自分の財政状況と物件購入に伴う資金返戻率を照らし合わせ,どうすれば資産を素早く増やせるのか考えられるようになったと同時に,日本のどの辺りにどれくらいの価格で購入可能な名産品取り扱い物件があるか,いつの間にか頭に入っていたのだ。
ちなみにこの時,「西陣織」という伝統工芸品も,「味噌カツ」という美味しい食べ物も,何のことか全く分からずにゲームを進行していたのだが,ある時小学校の社会科の授業で同じ言葉が出て来て『これかっ!!』と脳内が痺れるような感覚になったのを強烈に覚えている

この結果,なかなか高得点を獲得するのが難しい印象のある「学力テスト」の社会科で,地理分野の日本の名産品に関する問題で満点を叩き出した。歴史分野はポンコツも良いところだったが。

学力テスト返却日当日,桃鉄のおかげで上記のような結果になったことを両親に伝えると,それまでゲームに否定的だった父親も含め,『ほ~,ゲームも馬鹿に出来ねえな~』と笑っており,何だか嬉しい気持ちになった。

そして成人してしばらく経過した現在では,桃鉄での経験を活かし,投資活動に勤しんでいる。
言い忘れたが,桃鉄では購入した物件に対して増資を行うことが出来,当然増資の回数に伴って返戻金額も増加するのだ。
ゲームボーイ版を楽しんでいた頃は,容量の都合上「ぞうししますか?」とひらがなで表示されており,『ぞうしって何だ?うわっ!貰える金増えるのかっ!』と思っただけだったが,今になって思えば,あれが私にとっての投資家デビューだったのだ。
この経験が活きたのか,コロナ禍でとんでもない乱高下を繰り広げた株式市場においても,落ち着いて利益を出すことが出来ている。

ゲームは今でも生活の一部

高校入学後,部活動を通じて出来た友人と過ごす時間が楽しすぎた私は,ゲームからかなり離れていた時期があった。
仲間達や先輩と一緒にプレイするバスケや麻雀に傾倒し,ゲーム機は相変わらず自宅にあったものの,それを引っ張り出してまでプレイする時間は明らかに激減していた。
大学生になってもその傾向は変わらず,過去を懐かしむ友人と,アパートに持って来たゲームで対戦することは数回あったが,かつてのような「あ~!ゲームやりて~!!」という気持ちが沸き起こることはほとんど無くなっていた。

しかし,転機が訪れる。
結婚して1人目の子供が産まれた後,妻からこんなことを言われた。

「ねえパパ,暇ならバイオハザード3やってみたら?私がクリア出来たんだから,パパならクリア出来るでしょ」

当時27歳となっていた私は,すっかりゲームから遠ざかっており,ましてやプレイステーションを持っていなかったため,バイオハザードシリーズをプレイしたことが無かったのだ。

ちなみに念のため触れておくが,妻の言う「バイオハザード」とは,ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のハリウッド映画化をはじめ各種メディアミックスを多数されている,『サバイバルホラー』というジャンルを確立したカプコンの代表的ゲームである。
日本国内は勿論,新作が発売される度に全世界で間違いなく100万本単位の売り上げを記録するモンスター作品だ。

最初は初心者ということもあり,難色を示しながらなかなか起動まで至らなかったのだが,操作に慣れてくるとあっと言う間にハマってしまい,「何で俺は10代の頃にこのシリーズをプレイして来なかったんだ…」と後悔したほどであった。
しかもこの当時,あまりにゲームから離れすぎてしまっていたがために,バイオハザード3が初代プレイステーション用に発売されたソフトだということすら気付かず,プレイステーション2専用メモリーカードに記録を試み,『あれ~?何でセーブ出来ないんだろ?本体も古いし,不具合が出始めたのかな?』というボケ丸出しの会話を,夫婦ともども一週間に渡り交わしていた。今となっては良い思い出だ。

この出来事を皮切りに,私のゲーマーとしての血が再び煮え滾り始めた。
バイオハザードシリーズの新作をプレイするためにプレイステーション3,4を買い揃え,そこから派生して「デビルメイクライ」シリーズにもハマってしまい,全てのシリーズ作品を制覇するまでになってしまった。

妻もゲームが好きだったこともあり,子供達とも遊べる作品が欲しいとなり,ダウンロード版の「ぷよぷよeスポーツ」をセールで購入すると,最初はルールを覚えるのもままならなかった子供達に,今ではフルボッコにされて全然勝てなくなるまで成長されてしまった。血は争えない。

こうしてめでたく,一家揃ってゲームが生活の一部となったのであった。
だからと言って,子供達はゲームばかりして他のことに興味を持てないということはなく,ピアノ教室とスイミングスクールに通い,きょうだい揃って勉強も大好きになってくれている。

ゲームは決して悪影響なものではなく,有効に活用すれば,娯楽としてのみに留まらず,生活を豊かにするツールに出来るはずだ。
互いにプレイしている者同士であれば話題も生まれるし,その作品に使用されている史実や時代背景,パロディ・オマージュなどを知ることが出来れば,勉強になると共にその作品の世界に没入し,より深く楽しむことも出来る。

だから私はこれからも,新旧問わずゲームを楽しむことだろう。
ハッとするような発見や,思わぬ勉強になることは,学術書だけに書かれているわけではないのだから。

「しばらくゲームやってないなぁ…」と思ったあなた,久々に埃を被った機械を引っ張り出してみたら,案外楽しいかもしれませんよ。

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