#2 職場編:30歳から人生を立て直したい人のためのnote
慣れない満員電車に揺られ、緊張しながら初出勤したゴロ美。先輩方に一通り挨拶を終え、朝礼のために社長(以後先生と呼びます)の部屋にスタッフ控室から向かったのですが、その様子がまるで軍隊のようでした。
入社順(笑)に縦一列になって廊下を進み(私語厳禁)、ぞろぞろと先生の部屋に入室し今度は横一列に整列。
やけに張り詰めた雰囲気の中朝礼が始まった時点で「あ、この会社はヤバいかもしれないぞ」と思い始めました。
なぜか美容系のサロンは体育会系のところが多く、裏側はお客さんが想像しているような優雅なものではありません。むしろ真逆なので、お客さんから美容業界に憧れて入って来る子はそのギャップに失望してあまり長続きしません。
特にこのサロンでは「絶対にこの技術を習得したい!」とか私のようにもう帰る場所のない背水の陣で臨んでいるような人しか生き残りませんでした。ゆえに関東に実家のあるスタッフは数か月持たずに大体辞めていき、最終的にサロンは地方出身のスタッフのみという構成になりました。
ゴロ美は美容業界自体が初めてで、最初は何もできないので雑用をメインにやらされていたですが、その合間合間に容赦なく先生からのナチュラルパワハラを浴びました。いわゆる「洗礼」です。
覚えているだけでも「田舎臭いわね」「訛ってて恥ずかしい」「ガリガリの男子高生みたいな姿勢でかっこ悪い」等々、もう最後は言いがかりじゃねぇかというくらい毎日何かしらケチを付けられていました。
この先生、東京出身なのですが出生地マウントがひどく、ことあるごとに自分は都会生まれだとアピールし、「先祖は旧家」「昔住んでた家は門から玄関までかなりの距離がある豪邸」など東京の大体の地理を知った数年後にはおいおいだいぶ盛ってんなというエピソードを常々聞かされていました。
もちろんそれに突っ込むことは許されないので、普段お世辞を言わないゴロ美もだんだん社風になじみ、「すごいですね~」「さすが~」などと死んだ目で褒めることができるようになりました。
私は「面と向かって悪口を言われても完全にスルー出来る特技」を標準搭載して生まれてきたので、自分が気にしていないことには全くダメージを受けないお得なメンタルの人間なのです。そのおかげでパワハラ地獄から生き延びることができました。
むしろ、そういうことを人に言ってくるのが面白いと思ってしまう性質で、心理学が好きで色々な本を読んでいたこともあり「この人はこういうコンプレックスや生い立ちのせいでこんな性格になったんだろうな」と分析し始めるので悪口部分が自動的に消去されていたのも功を奏しました。
さらに、いつも淡々としていたので先生としてはいじめても面白くなかったらしく、最後のほうは全く私に絡んでこなくなりました。
むしろ人の下で働いたことがなく、わがまま放題生きてきた先生は精神的に幼いところがあり、自分の中で処理できない感情を持て余した時は逆に私に頼って(甘えて)くることもありました。このサロンでのエピソードはネタが豊富すぎて、それだけで本一冊書けそうなストックがあります。
そんな感じでパワハラの矛先が自分に向かないよう先生を転がしつつ、働きながら技術を身に着け仲の良いお客様も増えてきた数年後、ついにそのサロンを辞め34歳の時に先輩と2人で都内で独立することになります。
やっと自由を手に入れたゴロ美と先輩。未来はとても輝いているかのように思えましたが予想だにしていなかったことが起こります。
何が起こるんや・・・?気になるわぁ・・ほな、、またな!