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選手の不祥事から見るスポーツクラブのあり方

この内容は特定のクラブや選手個人を中傷する目的は一切ありません。
それを前提に読んでいただければ幸いです。

話題の大元

今回の話のソースにするのは二件。
タイムラインに流れてきていて知っていた内容と、フットボリスタラボで話題に挙げられていて知った内容です。

アルビレックス新潟は道交法違反となっていますが、酒気帯び運転のため社会的にやはり重たい事象、後者ベガルタ仙台についてはDVという事案で、かなりセンシティブな内容ではあります。

報告が遅かった、という点で双方ともにかなり厳しい状態になっている印象がとても強いのですが、安易に報告しづらい話じゃないかなーと思います。

詳しい内容や経緯とか、対応が遅いこととかにもあんまり興味もないのですが、マクロ的な視点で考えてほしい話です。

※以降ほとんどベガルタ仙台側の話です。

過去の事例

正直なところ、様々な事件がありますが、逮捕後にどうなったか、など細かいことはなかなか追えません。僕も全事例を追っているわけでもないですし、もはや知らない方もいると思うので個人名や事例は控えますが、解雇されるケースがほぼ全てではないかと思います。

ここで、故人だから挙げるような形になりますが、僕は今でもDVと聞くと、逮捕されてその後かなり苦戦して生活をし、最後は事故で亡くなった奥大介さんを思い出します。

とりわけ思い入れがあった選手ではないですが、親戚の家がほぼ新横浜にあり、幼少の頃から頻繁にいくことがあったり、マリノスの選手が周りをふらふらしてるエピソードを聞いていたので、奥大介さんのエピソードも聞くことがあったのも忘れられない要因の一つかと思います。

その時でも、ここまでに至る前になにかできなかったのか、と思いましたが、時間をおいて違う分野の知識も得た今、改めて考えてみます。

元選手へのサポート

アルビレックス新潟の件については、そもそも解雇に至っていないため、話の内容としてはベガルタ仙台側が主になります。

特に加害者側へのサポートの必要性、重要性が語られるようになってからとても日が浅いため、なぜ加害者側をサポートしなければならないのか?と考える人がとても多いと思います。
では、加害者側のサポートがなかった場合を考えてみてください。

まず、仕事がなくなる=収入がなくなります。
うまく仕事が見つかり、収入が安定すればよいですが、経済面で安定しなければ、精神的な余裕がなくなります。
そういった状況になったとき、もともとDVなどの行動に出てしまう方は、自分の行動にどのような問題があるのか認識できていないケースが多く、一朝一夕でその行動が変わるのであれば、逮捕されるわけがありません。
そんな状況では反社会的な行動をとる事も想像できますし、以前発生した暴行事件にJクラブの下部組織出身の方が関わったこともあるのをイメージしていただければ容易に想像できるかと思います。

自分のしたことを省みて、さらに再起を図るにも精神的な余裕が最も重要になります。そんな状況で自分が何をしたのか、社会的にどういった状況なのか、これからどうしていけばいいのか、自己理解を進めていくことが可能でしょうか?

そういった元選手へのケアがどれだけできるのか、という点はJリーグがSDGsを掲げた手前、クラブにも求められる社会的責任になります。

この話の流れで、ベガルタ仙台に求められると感じた方はもう少し考え直してもらいたいですが、クラブというのは日本にあるスポーツクラブすべてです。

自チームから同じような選手が出てしまった場合のケアをどうするのか。自分たちで行うのではなく、専門的な支援団体との連携をしていくことでよいのです。
すべてを自分たちで行動し、解決していく、という発想は好ましくありません。(というか無理です)

少し検索してみたところ、当該選手は2度目のDVという情報がありました。
尚の事、どういった内容がDVなのか、という点やハラスメントなのか、という部分の勉強会をしていく必要性があると思います。

(補足)
唐突にハラスメントの話が出てる感があったので補足しますが、モラハラやなんやらもDVの一つに挙げられます。
相手がハラスメントと思ったらハラスメントという解釈に振り回されている方も多いのですが、関係性ができていればハラスメント(すなわち嫌がらせ)ではないのです。
つまり、関係性が築けていないことにあなたは気付いていない問題があるんですよという話です。

今後の期待

Jリーグがシャレン!という活動を通してSDGsを掲げている手前、持続可能な世界を構築するための行動が求められます。

法律がある以上、罰というものは法律で与えられます。
感情部分は当然ありますが、与えられた罰を償った上で、次のチャンスを与えられる社会をつくることが最も重要になります。

ネガティブな印象を覆すことが容易ではない部分も含めて償いとなりますが、償うチャンスを与えることができる社会は、あなたが厳しい状況となった時でも未来を考えることができる社会を作る一歩になります。

個人的に、今回の件で委縮するのではなく、ベガルタ仙台には先進的な動きをしてもらえるととてもうれしいです。選手として契約していなければもう関係ない、というスタンスはとても排他的な考え方です。

長くJリーグを見ていますが、あまり好きなクラブではありません。
でもそんなクラブに、こういう動きをしてくれたらスポーツの価値が高まるのに、と考えていた行動をされたら、僕はポジティブな悔しい感情を抱きます。あまり好きではないクラブが、とてもいい行動をしている。比較して、自分の好きなクラブが何も行動していないことに、本当に悔しさを感じると思います。

大きな失敗は次のステップに進む転機になります。
このタイミングを逃すと、変わるタイミングはずっとこないと思います。

おわりに

DVやパワハラなど、こういった発想に至るのはスポーツの指導構造の問題もあり、確実にエコロジカルな視点がとても重要になります。

選手のプライベートの事に干渉できない、しない、という発想の人はとても古い発想であって、プライベートのメンタル状態がプレーに関与しないわけがないので、チーム内でなにもないのに選手の状態がちょっとおかしいのであれば、メンタルケアのために介入する必要性が間違いなくあります。

こういった話をする方は根本的に発想が間違っていて、選手をコントロールするために介入するのではなく、選手が自分をコントロールしやすくするために介入するのがカウンセリングの基本です。
対象者を無理やりコントロールしに行くケースは、よっぽど本人の能力が低い、または落ちている時くらいです。

実のところいまだに読み終えてないので話題に出すのも恥ずかしいですが、出版されているロベルト・エンケの話や、イニエスタがうつだった、といったエピソードから何も得られていないとしか感じられません。

そして、カウンセリングには個人情報が付きまとうため、だれに相談するのか極めて難しい部分があります。選手たちが個人情報を確実に漏らさない、信用できるカウンセラーを探すというのは、とても難しいタスクになると思います。そういった面で、クラブ側で考慮してくれたらとても大きな効果が生まれると感じています。

ちなみに、モラハラやDVをする方は二面性があるので、僕は外面が異常にいい人は逆に怪しいと感じています。

アルビレックス新潟の選手の話を出してしまったので、こちらも少しだけ残しますが、外国籍選手が日本のルールを学ぶのは簡単ではないです。
運転するな、といっても「大丈夫大丈夫、捕まらない」といって運転してしまう人も絶対にいます。その辺は出身の国で培った常識がでてきてしまうのは止められないですし、新潟という土地柄、おそらく車がないと行動が厳しいと思われるので、なんでこれでダメなんだよ?って考えてしまう人もいるでしょう。
だからこそ、徹底して勉強してもらう機会を作らないと、今回のように試合に出せない期間を作ることになり、間接的にクラブも損をする事態につながっていきます。

プライベートだから干渉できないという発言はただ手抜きをしているだけ、ということをもっと認知していってもらいたいと切に願います。

おまけ

そして、このクラウドファンディングの中断という判断は極めて閉塞的な対応で残念としか感じられません。

これでも尚、支援を表明してくれる人達がいるのであれば、その期待に応える行動、恥ずかしくない行動をする、と発信することが求められたのではないでしょうか。

今回の件で、排他的な選択がされず、よりよいリーグが作られていく事を切に願います。

幸いにして、今回どの事件でもだれも亡くなっていませんので、時間を費やせば立て直せるはず、ですよね・・・?

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