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電話番号とメールアドレス


15年前のある日。

あなたに初めて連絡先を聞いたあの日。

覚えてるかわからないけれど
私もすっかり忘れていたのだけれど


私はノートにあなたの連絡先を書いてもらった。

あなたと離れて
あなたに連絡しないと心に誓って
連絡先を泣きながら消去して
あなたの連絡先が書いたノートも棚の中に仕舞い込んだ。

そんなこともすっかり忘れていた。


そのノートの存在すらすっかり忘れた私は、
さらに数年後に
押入れの随分奥に仕舞い込んでいたみたい。


あなたに連絡することもなくなり
10年以上経った。
もうあなたの連絡先も朧げにしか思い出せなくなっていた。



この前
探し物をしていて
偶然、押入れの奥のノートを手に取った。
何が書いてあるのかも、
すっかり忘れてた。

前半は仕事のメモが書いてあって
懐かしくページを繰ったら
ノートの中盤に
突然、あなたの筆跡を見つけた。

あなたの書いた文字が懐かしくて
忘れていた記憶が
ドミノ倒しみたいに
どんどん繋がった。


あなたの電話番号とメールアドレス。

縁がまた繋がったなんて思わないけれど
連絡先すら変わってるのかも知れないけれど
このタイミングで出会えた。

そんなちょっとした出来事すら
愛おしかった。

誰にも迷惑かけていないから
もう連絡することはないのだから
このくらいの嬉しさは
こっそり胸の中にかかえていようと思う。


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