ちくわのガンバACL日記:グループステージ振り返り

 はい、振り返りを2日サボりましたが、タンピネスに8-1と大勝、勝てが突破の全北戦を1-2で落とし、勝ち点9の2位。2位の5チームの中で最下位となり、2位の上位3チームが進出するレギュレーションの中、トーナメント進出はなりませんでした。

 今年のACLは、中国勢がリザーブチーム投入、オーストラリア勢が辞退ということで、リーグレベルを考えると、日韓のチームが本命、対抗がタイ といった状況でした。日韓タイのチームがグループに同居していたのは名古屋がいたグループGとガンバがいたグループH。この2グループは外のグループと比べると難易度が高かったと思います。結局、ガンバはタイのチームに勝ち切れなかったことが原因で敗退となりました。

 非常に残念な結果に終わりましたが、休む間もなくリーグ戦がやってきます。ガンバは、序盤のコロナ中断の影響もあってここから一気に連戦が続きます。本稿では各試合の振り返りはせず、6試合のACLを経てガンバがどのように変化したのかについてざっくり書いていきたいと思います。


変化1:序列の固定

 まず大きな変化はこれでしょう。就任時、和田取締役による「11人をしっかり選んでほしい」という松波監督へのコメントにもある通り、選手の出場機会が多くなるこの舞台で、監督はまずこの「序列」を明らかにすることに取り組んでいたように感じます。

 前任の宮本監督は過密日程の中でスタメンの選定に苦慮していることが伺えました。ここが固まらないと、個人として何をベンチマークにすべきかが定まらない。言い換えれば、誰を倒せば俺は試合に出られるんだ?がはっきりすることで、個々が取り組むことが見えてくる。

 特に目立った怪我人も居ない第2戦全北現代戦のスタメンは恐らく現状考える松波監督のベストメンバーなのだろうと思います。

画像1

 第2戦は結果的に2-2の引き分けとなりましたが、瞬間の破壊力や局面のパワーには目を見張るものがありました。ベストメンバーで戦い続けられるのであればリーグの順位も上がっていくのではないかと思います。

 ただ、これからやってくるのは未曽有の連戦。ベストメンバーで戦い続けられる試合がどのぐらいあるのかは分かりません。戦い続けられない場合、どうやって乗り切っていくのか、そこがガンバの課題になっていきそうだと感じます。


変化2:戦い方の固定

 ACLでのガンバは採用したフォーメーションこそ差はあれ、戦い方のベースは大体同じだったように感じます。守備面では高い位置からのプレッシング。3-4-2-1の場合、CFとシャドーで中央からの前進にフィルターを掛け、サイドに流したところでボールサイドのWBが高い位置を取り全体が横スライドすることで相手のビルドアップを前からハメに行くやり方ですね。

 攻撃面ではクロスの多用。当然、相手のレベルが違う点は考慮しなければいけませんが、直近のJ1成績とACL成績を比較すれば、クロスは成功数・試行数・成功率とも伸びており、攻撃の活路をクロスに見出していることが伺えます。

画像2

(データはsofascoreより引用)

 このように、攻守にわかりやすい注力ポイントを設定したのはまず「チームを立て直す」という観点では良かったかなと思います。一方でディテールの部分にはまだまだ妥協点が多い印象です。

 例えば前からのプレッシングの部分。前で奪えればもちろんベストですが、個々人の追い方が統率されているかというとそこまで練度が高い印象はなく、プレス耐性の高い相手には外されてしまうリスクが大きいように見えたこと、仮にクリアに追い込めたとして、相手ポストプレーヤーとの分が悪い場合(例:チェンライの9番など)の対応に危うさが見えること、トランジションの局面で、WBの裏を起点にされていたのをなかなか修正できなかったこと など、これから悩みの種になりそうなポイントは多く見て取ることができました。

 攻撃面でも同様です。クロスに飛び込む人が誰なのか、飛び込む位置は効果的なのか、飛び込むべき人が飛び込んでいるのか。WBをフリーにさせるロジックが整理されているのか。相手が噛み合わせを変えてきた場合の対応が準備されているのか。そもそものクロスの精度……などなど。J1のチームは確実にスカウティングで潰してくると思うので、それを上回る対策の対策をどこまで準備できるかも問われるここからの戦いになりそうです。


変化3:怪我人の復帰(と離脱)

 このACLで、藤春・小野・福田という面々が戦列に復帰し確かなパフォーマンスを見せてくれたのは好印象でした。しかし、残念なことに全員が再びの負傷離脱となってしまいました。

 藤春・小野については「大きな怪我ではない」という情報が記者会見で監督から出てきていましたが、結果的に負傷離脱後は一度も試合に出ていない状況。リーグ戦に向けて大事を取った可能性もありますが、彼らがいつ戻ってこれるかで戦況も大きく変わるはずなので、早期の復帰を期待します。

 加えて、怪我人が多く出たポジションには負荷がかかっていると考えるのが自然なので、連戦をこなしていくこれからのカレンダーを考えれば、補強の目も自然にここに向いてくると思います。特にWBは怪我人続出、右は本職が小野瀬のみで控えているのはコンバートされた若手ばかりということで、よりサイドプレーヤー然としたメンバーの補強が必要な状況ではないかと感じます。

 ACL開催当初は、倉田・井手口のボランチコンビでスタートし、矢島がシャドーとして扱われるようになったことでボランチの層の薄さが顕在化してきましたが、ここは奥野が存在感を見せていること、山本がコンディションを上げてきていること、リーグではセジョンが使えることなどを考えればもう少し様子見しそうなポジションかと思います。

 という訳でこの夏、補強があるとすればまずはWB(どっちかというとSB寄り?)、誰かが取れた場合は川﨑か塚元がレンタル武者修行、になりそうな予感がします。


まとめ:結果は残念だったけど

 ACLはグループステージ敗退といった残念な結果に終わってしまいましたが、のちの残留争いを考えると、課題が棚卸できて補強ポイントも明白になり、動きやすい状況にできたのは良かったかなと思います。リーグ戦だとここまで思い切った起用はできなかったと思うので。

 ただ、やはり経験の浅い松波監督に委ねるような形になってしまっているのも事実。選手の作用のさせ方や時間帯ごとの修正などを見ても、松波采配に全ベットするのは甚だ不安ではありますが、決まったことならやり遂げてもらうしかありません。まずはJ1残留をさっさと固めて、できるだけ早く来期の準備を始められるようになっていただきたいところ。

 久しぶりのACLはやっぱり楽しかったです。参加クラブに色々ケチは付きましたが、ACLでしか味わえない雰囲気というのをやはり感じましたし、だからこそ、本来はもっと万全なチーム状態で向き合ってもらいたい大会でした。もう行き当たりばったりは飽きました。これからはチームのことを誇りに思えるようなマネジメントをお願いします。


ちくわ(@ckwisb

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?