アルバロ・ウリベ・ベレス(Álvaro Uribe Vélez)という男について

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かなり重たい話題になるのですが、
コロンビアにはアルバロ・ウリベ・ベレス(Álvaro Uribe Vélez)という政治家がいます。ウリベは元大統領で、2期大統領を務めました。

幼少期は大地主の家庭に生まれ、何不自由なく育ちました。
ほどなくアンティオキア県知事、メデジン市長、上院議員など一貫して政治家として働いてきました。

彼はタカ派の政治家として、右派の資産家層や中産階級に絶大な人気を誇り、2002年、ついにコロンビア共和国58代大統領となります。

外務省HPや「コロンビアを知る」という本には、「治安対策を積極的に進め、コロンビアの治安回復に寄与した」というような紹介がされており、基本的にはそれ以外触れられていません。

しかし、このウリベ政権の治安対策により、政府軍将校が点数稼ぎのため関係のない地方の農民や民間人を左翼ゲリラの「FARC」や「ELN」構成員と決めつけ殺傷したり誘拐したりする「Falsos Positivos(ファルソス・ポシティーボス)」や、アンティオキア県知事時代から親交のあったAUCなどの右翼ゲリラ(通称:Paramilitares/パラミリターレス)をのさばらせる結果となりました。
さらにウリベは麻薬組織と親交が深かったため、アメリカ政府から「コロンビアの麻薬商人リスト」に掲載されるほどの人物です。

治安対策以外にも、様々な規制緩和政策を実行しました。
コロンビアという国は兎にも角にもお金がなく、世界銀行及びIMFからの債務国です。基本的に世界銀行とIMFがお金を貸す際に、「構造調整」と呼ばれる新自由主義的経済政策=「小さい政府、市場の自由化」を取るよう要求してきます。この要求にウリベは半ば盲目的に従い、様々な公営企業を民営化したり、採算の合わない企業は清算させたりしました。経済基盤が整ってない中で、国で保護すべき公営部門の民営化を過度に推し進めたことにより、数年で見かけのGDPは上昇しましたが、長期的な視点から見るとコロンビア経済成長にとって大きな痛手となっています。

1991年の制憲議会で誕生した新憲法では、大統領の任期は1期4年までが限度でしたが、2004年に憲法改正し、政権維持のために連続再選可能なように制度変更をした。

社会保障政策に関しても一貫して新自由主義的な考え方の持ち主で、1990年法律50号及び1993年法律100号策定中心メンバーとして、それまで厚生省や旧社会保険庁で行われてきた年金・医療・保険事業をことごとく民営化しました。これが現在までコロンビアの社会保障制度で稀代の悪法とされています。特に医療制度に関しては民間参入による弊害が加入者=国民、医師を苦しめる、「天下の愚策」で、早急に法整備を見直す必要があります。

2010年のウリベ退任以降は、サントス政権と現在のドゥケ政権が成立しました。
サントス前大統領(=2016年ノーベル平和賞受賞者)は初期こそウリベ傀儡政権の様相が強かったですが、FARCとの和平交渉などリベラル的政策に転向し、独自路線を歩みます。これに対してサントス支持者=ウリベ支持者は「Traidor=売国奴」として痛烈な批判を展開します。ウリベも積極的にこれを支持し、「サントスおろし」に奔走します。
2018年にはウリベの支持を得た現在のドゥケ政権が成立し、再びウリベの影が濃くなってきています。現在のコロンビア政治の動きを見ると、イチ上院議員に過ぎないウリベがドゥケ政権の主要閣僚(内務・財務・建設・鉱山エネルギー相)と事前に政策策定のための意見会を設けたり、たびたび政策に干渉したりと、「院政」を行なっています。

直近の例で行くと、「COVID-19に伴う休業した会社の従業員に対する所得補償につトゥルヒージョ財務大臣と会談を行い、予算確保を指示した」ことや、「サッカー国内リーグの開催時期について、コロンビアサッカー協会に圧力をかける」など精力的に活動しています。

そんな疑惑だらけのウリベに関する疑惑について、Youtubeで「MATARIFE」というドラマシリーズが公開されて、コロンビア国内でちょっとした話題になっています。いままでウリベがどんなことをしてきたのか、いかに疑惑まみれの人物なのか、暴いた作品です。

↓↓ こちらはスペイン語Verです。


↓↓ 英語Ver




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