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クセ強博士・わぴちゃんと正しい夏休みを満喫してきた


『超人女子戦士 ガリベンガーV』(テレビ朝日系)で小峠英二(バイきんぐ)やVTuberを相手に昆虫トークを繰り広げたり、『裸の少年』(テレビ朝日系)では植物うんちくでジャニーズJr.を騙したりと、深い知識とキュートなキャラクターで注目を集めているわぴちゃん。
気象予報士でもあり自然科学系ライターとして多数の書籍を執筆しながら、バラエティー番組などにも出演し、軽妙なトーク力と豊富な知識で視聴者を楽しませている。カタい肩書きに似合わぬ、柔らかい不思議キャラの素顔は一体どんなものなのか――。
その経歴や人柄に迫るべく、蒸し暑い7月末、わぴちゃんのフィールドである某公園を訪れた。

取材・文/高橋ダイスケ 撮影/高岡弘


知れば知るほどハマる植物・昆虫の世界

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――こんにちは。今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします! 今日は散歩しながらお話をしましょう。そろそろヒマワリが満開かと思いましたが、まだ少し早かったですねー。今年は雨が多かったし、梅雨が長引いている影響でしょうね。

――ヒマワリって太陽のほうに向いて咲くといいますが、向きがバラバラですよね?

太陽(日)を追いかけるように花が回るからヒマワリと呼ばれますけど、よくよく調べたらそういうわけではなかったんですよ。

――ええっ、騙されていました。

その方がイメージいいですもんね(笑)。見てください。ここはシロツメクサがたくさん咲いていますね~。シロツメクサはだいたいどこでも見られますね。セイヨウミツバチ(写真下)はシロツメクサの蜜が大好きで、たくさんのハチさんが蜜を集めに来ていますね。

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――そんなに近付いて大丈夫ですか?

ハチさんは基本的に刺激を与えない限り刺しませんよ。ほら、大丈夫。この辺はセイヨウミツバチが多いので養蜂をしている人が近くにいるのかもしれませんね。

――なるほど。そんなことも分かるんですね。シロツメクサといえば“四つ葉のクローバー”のアレですよね。

そうですよ~。四つ葉のクローバーってなかなか見つからなかったり、逆に一度見つけたらいくつも見つかることってありませんか? 実は遺伝的に四つ葉ができやすい個体もあって、それがあるとたくさん四つ葉が生えてきます。そのほかに、人に踏まれたりして葉っぱが傷ついたまま成長して四つ葉になるパターンもあります。
今は四つ葉のできやすい株などを掛け合わせて、四つ葉はおろか、五つ葉とか六つ葉もたくさんできるクローバーもあります。でもやっぱり、四つ葉は滅多にないからこそありがたい感じがしますよね。

――たしかに!

あ、これはシロツメクサの仲間のアカツメクサですね。花が赤いでしょう。葉っぱの大きさとか色がずいぶん違いますが、仲間なんですね。
イチモンジセセリ(写真下)がアカツメクサに止まっていますね。おめめがくりくりしていてかわいいですね~。体がふわふわしていてかわいいんですよ。動きがどんくさいので、カマキリを飼っている子がよく捕まえて、カマキリのエサにしています。

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こっちは蛾ですね。この子もかわいいですね~。

――蛾も好きなんですね。これはなんという種類の蛾ですか?

これはなんでしょうね~? 帰って調べてみましょう。蛾はすごく種類が多くて、そこらへんの道を歩いているだけで新しい蛾に毎日のように出会うんですよ。まだ名前がついていない蛾も多くて。
実はちょっと前まで唯一、蛾だけは苦手だったんですよ~。図鑑でも蛾のページを飛ばして読むくらい。でも“怖いもの見たさ”で見ているうちに好きになってしまいました! 今では蛾を見ながらご飯を食べるくらいには好きです!

――苦手な昆虫もいたんですね。特に好きな昆虫はなんですか?

なんでも好きなんですけど、特にカメムシちゃんが好き! なぜかというと、人があまり好まないものが好きなんです。植物でもそうですけど、人があまり注目しないものが好きなんですね。夜に森の探索をすることもあるんですけど、今の時期だとみんな、カブトムシとかクワガタを探しますよね。私の場合は、木の下の方のゴミムシとかを探すんです。
あ、ここにはオバボタルがいますね。(写真下)

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――えっ、これが蛍?

光らない蛍ですね。光らない種類もいるんですよ。蛍に近い仲間のベニボタルという種類は毒を持っていて、赤と黒のカラーリングなのですが、それに擬態している子もいたりして、蛍も奥深いです。
お、これは環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に選定されているコギシギシ(写真下)じゃないですか。もう種になっていますね。

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――絶滅危惧種って意外と身近にも生息しているんですね。

そうなんですよ。私も千葉県希少生物及び外来生物リスト作成検討会種子植物分科会委員のひとりとしてリスト作成に協力させてもらっているんです。
おや、こっちにいるのはヌマガエルですね。もともと西日本にしか生息していなかった種なんですけど、ここ10年くらいで関東でも多く見られるようになりましたね~。

突然、生息域が変わる生きものがいる


――そんなことってあるんですね。

いろんな説があるんですけど、トラックに載せられた土に混ざってやってきたのではないかと言われていま~す。
あ、こちらの蝶はツマグロヒョウモン(写真下)のオスですね。「ツマ」は先っぽという意味で、メスは翅の先が黒くなっています。そしてヒョウのような柄なのでこの名前になっています。この蝶も西日本にしか生息していなかったのですが、2005年に関東地方で発見されて大騒ぎになりましたよね!温暖化の影響で分布を広げ、関東でも生息するようになったと考えられています。これらのように突然、別の地域で見られるようになるということが、結構あるんです。

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――公園内をちょっと散歩しただけでもいろいろな発見があるんですね。

そうなんですよ~。散歩と観察は日課ですね。毎日、朝とか夜とか、自然観察に出かけています。その時間にしか見られない植物や昆虫がいますから、お宝がいっぱいなんです。
テレビ出演のために都内へ行くときも、早めに行って近所の公園を散歩したりしていますよ。最近の都心は公園が多いですからね。
でも一時期、仕事で都内に一人暮らししたことがあるんですけど、街の中だったので自然が少なくて、苦しくなって今の場所に戻ってきちゃいました。やはり自然は癒されますね。
見てください! あまり手入れされていないこの雑多な草むらを!

――はい。これがなにか……?

宝探しですよ~! ワクワクしますね! お、早速ヒルガオを発見。ヒルガオは地下茎で繁殖するので、めったに種子をつけないですね。だから実を発見出来たら嬉しいな~。今の子でいうと、「ポケモンGO」でポケモンを探してる気分ですかね~。
わあ、カメムシちゃん(写真下)。ほら、かわいい。カメムシも刺激を与えなければ匂いを出しませんから、優しく扱ってあげれば大丈夫ですよ。嗅いでみてください!

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――は、はい。ん、たしかに匂いはしませんね。

そうなんですよ~。カメムシちゃんが家に入って来たら、葉っぱとかでそっと外に出してあげれば、匂いは出しませんよ。カメムシにも色々いて、出す匂いもそれぞれ違うんですよ。青リンゴの匂いとか、梅干しの匂いがする子もいるんです。

――えっ、それは嗅いでみたいかも。

これは懐かしのエノコログサ、いわゆる猫じゃらしですね。秋になるともうちょっと大きい種類が出てきます。エノコログサはアワの原種なので、実を煎ると小麦みたいな香ばしい匂いがしますよ~。

――じゃあ、食べられるんですね。

ちょっとモソモソしますけど(笑)。

――ところで、さっきから気になっていたのですが、首から下げられているウサギのポーチには何が入っているんですか?

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