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恩師が私に植えた「種」

教員の仕事はクリエイティブ

大学時代、授業法の演習授業で恩師が言ったこの言葉が今でも心に残っています。

特に英語は言語だから、いかようにもアプローチでき、様々な形で生徒の興味を引くことができる面白い科目だから、クリエイティブであるべき。

恩師の言葉の要約

教育実習にいく前だった私は、この言葉にワクワクしました。
正直に言えば、教員免許を取るためだけの教育実習のつもりだったので、採用試験も母校が実習に来る条件として課されたものにすぎませんでした。
しかし、バブル崩壊後の氷河期下で、就職以外の選択肢しかなかったため、就職のためのカードのつもりで、就活の傍らで真面目に採用試験の勉強はしていました。
実習は採用試験の2次試験が終わってから。そもそもこの時点で2次まで残っているのが奇跡というか、悪運強いというか…
そんな教員志望というにはいい加減な私でしたが、恩師の言葉がある意味魔法になりました。

いかにわかりやすく、興味を持ってもらえる授業?

というわけで、にわか教員志望の私でしたが、実習に行く以上は母校の先生方に御迷惑になってはいけないから真剣に取り組まねば!
と肩に力が入っていたのですが。
始まってみると、楽しくて。
母校はのびやかな女子校だったので、生徒たちもかわいかったし、何より共有できる教生が多かったのも心強かった。
その上で、授業案を組み立てるのがなんて楽しいんだろう!と思ったことが実習のうまみを増したと思います。
私たちが実習を終えた後に、中間テストがある。
そう思うと、生徒の大事な授業だから生徒が困らないようにしないと。
と思考錯誤しました。(ええ、真面目ですから)
その思考錯誤の中で、ああ恩師が言っていたクリエイティブってこういうことかと、作業をしながらその時思ったものです。

模造紙で資材を作りながらも

研究授業の教材が時系列が絡むものだったので(多分)、本文に則して年表にしたら、わかりやすいだろうか。
そう思いながら模造紙使って視覚教材を作りながらふと、
「こういうのが黒板にさっと一遍に大きく写せるものがあればいいのに。綺麗な色の付いた文字で読み易くなればいいけど、私、字が汚いからなぁ」
まさかこの時。
それから約20年後に、私が私費でプロジェクターを購入し、パワポ使ってっ黒板投影をする授業を試行錯誤するようになり、さらに時代が流れて、教室全部にプロジェクターが設置され、実習の時に愛用していたワープロなんかよりもはるかに軽量の板みたいなiPadを使って、私が望んでいたカラフルできれいな文字の視覚教材がほぼ当たり前の時代が来るなんて、思いもしなかったですが。
これを書きながら、私がICTに興味を持った片鱗がすでにこの時あったんだなと気が付きました。

結論、クリエイティビティとは生徒と授業のため

もちろん冒頭の恩師の台詞の意味は、授業だけのことではないのです(すごく深い発言だと今でも思います)。
ですが、当時世間知らずな上に世間を斜めに見ている私に、教師としての素養の種を植えつけるには十分すぎるほど大きな意味のある一言でした。
模造紙から端末。思えば常に新しもの好きで、やたらと試してみたがる私の本質を刺激する素敵なワード「クリエイティブ(クリエイティビティ)」
ワードが種になり、30年の風雪に耐え、「生徒」と「授業」のためのものというマインドとなって(微弱ながら)根幹をなし、枝葉を拡げ、たくさんの実を結んだものです。
そして、そのためには、視野は全方位であるべき。恩師の言葉の意味の解釈もまたそのように広がりました。

ここ数年の私は個人的なことでひどく落ち込んでいたので、ようやくそういう気づきができるまでに元気になった気がします。これも私を支えてくれた、皆さんのお陰。今日も感謝します。

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