壁を通じた連帯は可能か―「レノン・ウォール」に描かれた香港(倉本知明)
「倉本知明の台湾通信」第5回
『暴民之歌』(2015年) 『樂天島』(2019年) 著: 鴻鴻
冷戦時代、自由な言論が統制されていたチェコでは、ジョン・レノンの思想や音楽に影響を受けた多くのプラハ市民が凶弾に倒れた彼の死を悼み、市内の壁に次々と落書きやメッセージを書き込んでいった。当局によって消された壁の落書きは、翌日には再び新たなメッセージで満ち溢れていたらしい。ジョン・レノンの壁と呼ばれたその場所は、当時言論の自由がなかったチェコにおいて、政府批判や平和へのメッセージ