<第8回>人財育成は、会社にとって永遠に叶えられない課題か?  ~ 大概の人財育成研修/セミナーは無意味???


 社内で行われる人財育成に関する研修の類は、ある程度の規模の会社であれば、どこの会社でも実施されているようです。
業務スキルに関するようなことや、役職の昇格などに伴う管理スキルなどについては、目的が具体的で、かつ既に確立された教え方があると思われ、それなりにワークしていると考えられます。

しかしながら、社員のやる気(モチベーションなどとも言われますね)や社員の意識を変革するような研修については、その研修期間中だけは参加者一様にそれなりに満足し、研修終了直後のアンケートにおいては、「非常に役に立った」のオンパレードが通り相場なれど、その効果は結構持続しても職場に戻ってからせいぜい1ヶ月、通常は1週間でしょう。
職場に戻れば、研修期間中に溜まっている日常業務の処理で頭が一杯になってしまい、研修でどんなことを学んだのかということですら忘れてしまうのが、あたりまえなのだと思います。

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社員の意識改革といった研修の場合、人財育成の担当者は、自らの力だけでは難しいこうしたテーマに対して、近づいてくる研修業者の、まことしやかなメソッド・理論、研修実績に望みを託すことになるのでしょう。
しかしながら、やはり「実効性」のある研修を行うのは極めて難しいのだと思います。

実効性のある研修とは、すなわち研修以後に、社員自身が自らの意識によって行動を変えることに資する研修といえるかと思います。目先の仕事の意味を考え、主体的、前向きに取り組むようになるといったことを含めて、行動こそが、研修の実効性の証ということになります。会社が研修の場を用意し、その後強制的に意識改革を図ろうとしても、それは無理筋です。社員自らの自律的な気づきがなければ、行動は起こしませんし、持続・定着もしません。

しかし、良く考えてみれば、この「行動」に至るような自律性・・・実はそれは、ほんのちょっとの気分の違いなんですが、これが変わらない社員が多いわけです。
ほんのちょっとした意識の違いだったとしても、何か切迫した、自分事と思えるような気づきがない限り、社員の自律性、意識改革など夢のまた夢のことなのでしょう。

それほど、社員の自律性に火をつけるのは難しいのです。意識を変えて一層頑張らなければならないプロスポーツ選手や自営業者のように、自分の頑張りが即結果や報酬に直結する人たちならいざ知らず、頑張っても頑張らなくても、意識を変えても変えなくても、当座毎月一度の会社から自分の銀行口座にお金が振り込まれる事実に変わりがないのですから、とにかく自分の目先の仕事を捌き、処理するという短期的視点に逃げ込んでしまうことになります。

 私が、人財育成、キャリア開発に関する自律性喚起に資するフックは以下のようなものです。

 ①経済や社会の潮流、マクロ観、自社・業界を取り巻く環境の変化への理解
  ~ ・VUCAの時代に最も重要な要素は「変化し続けること」。
     日本の社会、どんな会社ですら、今のままで盤石な会社はない、否どんなに盤石に見える会社でも、超スピードで変化し続ける環境の中で進んで変化していかなければ明日はない
     (例、自動車メーカーであることを止めることを宣言したトヨタ自動車)。  

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    ・人生100年時代、と言われるように、社員一人ひとりが、変化しなければならない会社の中で、同様に変化することが求められ、そのために日常業務から、そして日常業務以外で学び続けなければならない。先を見越したキャリア開発、キャリア形成を自律的に考えなければならない。

 ②自分事、と認識してもらうための個人面談(アドバイス、コーチング)
  ~ ・社員が自分のキャリアに関して真剣に考えるための機会を持つ。
     その際、過去、現在、スキル、志向、性格、向き不向き、夢など、多面的に、客観的に、考えるために、上司、人事担当など利害の入る自社の人間ではなく、経験を積んだ社外の人の力を借りることが必要。会社の都合だけでなく、社員目線で、社員の立場に立った親身なアドバイス、コーチングこそが社員の姿勢の変化に結びつく。人生100年時代には、自社の枠を超えた長期でのキャリア形成という視点も必要になってくる。
    ・面談においては、面談後の具体的な行動についての本人の主体的なコミットメントが必要。逆に言えば、「やらされ感」に基づく意識改革は無意味。

 ③持続、継続
  ~ ・1回の研修や面談だけでなく、行動を起こしたこと、起こした後の気づき、などを話し合うフォローの仕組みがあることが望ましい。まずは「やったという実績」が欲しいような社内事情では、予算が足らず、フォローまではセットできない。


 こう書いてくると、社員の意識改革に関する研修がワークする、実効性のあるものになるためには、「自らの身の周りを始めとした環境の理解」「主体性」「行動」「持続的フォロー」がキーワードになってくることがわかります。

 これまで、ことごとくキャリア開発、意識改革の研修が実効性のないもので終わっていたとしたら、上記のような取り組みを採り入れてみては如何でしょうか。

 最後にちょっと宣伝ですが、最近人財育成サービスの事業を始めた私たちは、上記の考えに基づいたサービス展開を行っています。

 人財育成サービスだけを行ってきた(あるいはせいぜい1、2社でのビジネス経験だけがある)比較的若い人財コンサルタントの多いこの業界で、「会社の社員として長年にわたって、人財育成、経営改革に七転八倒してきた経験」「経営コンサルタントなど多方面でのコンサルタント経験」を持つ「少人数のブティックファーム」である私たちはニューカマーとして企業の方々と実効性のある人財育成の形をトライ&エラーでレベルアップしていきたいと考えています。

 そして、変わりゆく社会の中で、自分の将来についてモヤモヤしている日本のビジネスパーソンが、一人でも多く自分の主体的な行動によって、明るく笑って歩き出していける社会になることを希っています。
 ※ちょっと最後は宣伝になってしまいました。。。

<ターンアラウンド研究所https://www.turnaround.tokyo/ 小寺昇二>

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