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漫画本紹介

過去に出版した漫画単行本のご紹介。残念ながら現在では店頭では置かれてませんが、ネットなら買えるかと思います。便利ですねネットは。

「へたれチキン」(リトルモア)

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2004年発売。気の弱い(=へたれ)ニワトリ(=チキン)の小さくて間抜けな日常を綴ったホノボノ漫画。

元々はWEBマガジンで連載していたものでした。お世話になっている編集・ライターの唐澤和也さんにお声がけ頂き「このタイトルでキャラを作ってスヌーピーみたいな漫画どう?そしてキャラビジネスで儲けようぜ!」と。楽しそうなんで乗っかりました。

で、描くにあたってなぜだか僕は「スヌーピー」をサイレント漫画だと思い込んでいて、この漫画もセリフなしのサイレントになりました。それはそれで面白い勘違い。

ちなみに無償だったのでなるべくラクしようと安い紙にペン、水彩でサラッと色付け、という仕上げがむしろ肩抜けてて、普段暑苦しい絵を描きがちな自分ではいいかなと思ってました。内容も軽いですし。こんな感じ↓。たまたま暑苦しいコマもありますが…。

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唐澤さんが「量がまとまったら営業かけて単行本にしよう!」と言ってくれてました。もちろん唐澤さんは信頼してましたが、無名のゆるい漫画だし…と期待はしてませんでした。が、ある日「リトルモアで出せることになったよ!」と連絡がきて驚きました。しかもオールカラー!唐澤さんの営業力よ!リトルモアさんの開拓精神よ!その時自分は29歳。発売されてからそれまでのイラスト仕事のみならず漫画絡みの仕事も増えて幅も広げてもらった自分的にはエポックメイキングな本です。

ちなみにWEBでの連載時は同じサイズのコマの縦スクロールでしたが、それをデザイナーさんが見事な呼吸で動きのあるコマ割りにしてくれました。

それもすごいよな。自分でやれよ俺、と今なら思うのですが。全体にどんな感じかは以下から購入して読んで頂ければ幸いです。


「きまぐれな輝き」(青林工藝舎)

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2007年発売。「へたれチキン」を描いたことによって、元々漫画家志望だった精神が働き出してキャラものではないドラマを描いてみたいな、と描き始めて、以前から付き合いのあった「アックス」(青林工藝舎)に持ち込んで掲載してもらい、以後、ちょっとづつ短編を描いてた時期です。

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ギャグと哀愁の間を行き来しているような短編漫画集ですが、なるべくどんでん返しを入れてやろう…みたいな野望もありました。野望?

これはもう公言されてますが、「アックス」は「ガロ」編集部の方々がそのスピリッツを継承した雑誌です。売れ線ではないけどエッジの効いた漫画が多い。故にこちらも無償でした。かっこよくいえば「表現欲」が先走って描いてました。で、自分がしっくりくる内容・オチで描いてたんですが、単行本にまとめて自分で読み返してみたらびっくり、俺こんなメソメソした漫画ばっか描いてたのか…と。まぁ普段愚痴っぽいしなぁ…。良くも悪くも自分が出ている漫画本です。

ちなみにタイトルの「きまぐれな輝き」は、故・さくらももこ先生の漫画「永沢君」に出てきた言葉のひとつです(無断拝借すんません…)。「若さ…笑い…きまぐれな輝き…」みたいな感じで、なんて微妙で良い言葉…と記憶して使わせてもらいました。


「待ちぼうけ紳士」(青林工藝舎)

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2011年発売。待ちぼうけをくらいまくる、ある男の連作短編集。

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これは前出の「きまぐれな輝き」にも短編が2本掲載されてますが、自分では気に入ったキャラだったので「待たされる人々を待ちぼうけ紳士が見守る」というテーマでちょっとづつ描き貯めたものです。

おこがましいですが、例えば楳図かずお先生の「おろち」とか、山下和美先生の「不思議な少年」みたいな存在のような…もっとショボい存在ではありますが。

このキャラ、実は遡ること20数年前、中国雑貨店の「宇宙百貨」という店でグッズを出していた頃に下敷きのイラストに使われたもので、その裏面に「絵物語」を描いたんですが、それを元に漫画化したものです。使い回しなんですが自分では妙に気に入ってて。毎回最後の決め台詞で「俺は待たされているのではない、待っているのだ…。」というのがあるんですが、この下敷き絵物語の時点でこの決め台詞もありました。

で、最初に描いた頃はガラケーもない時代なのでただただ待つ…みたいなシチュエーションがあったわけですが、「アックス」でこれを描き始めた頃はガラケー持ちが当たり前、じゃあなんで「待ちぼうけ紳士」持ってない?…みたいな流れでああいう話、衝撃のオチ(自分で言うな)になっていったんです。まぁそういう意味では昭和のキャラですね。これもまた自分の小ささとメソメソさがよく出た漫画ではあり、自分では気に入っているのですが、世間の反応は薄かった…でも映像化の話がそのうちくるんじゃないかと今でも思ってます。映像化待っております。

俺は待たされているのではない、待っているのだ…。


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