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心の不調 | バセドウ病体験談#7

今回のテーマは「心の不調」です。

甲状腺疾患と心の不調のつながり

一般的に、甲状腺疾患と心の不調についてどのように考えられているのでしょうか。

甲状腺疾患と心の不調は非常に強い関係性があり、心の病気だと思って心療内科を受診したら実は甲状腺疾患だったという話もよく聞きます。

私の通っていた心療内科の先生が仰っていたことですが、一般的にバセドウ病などの亢進状態ではイライラするような症状、橋本病などの低下症状態ではうつのような症状が出る傾向があるのだとか。

でもこれは人によってさまざまで、私はバセドウ病ですがうつ状態の傾向が強く出ました。母は低下症寄りですが、イライラしたりすることの方が多かったようです。

高齢の方はバセドウ病でも活動量が落ち、うつのような状態になりやすい傾向があるそうです。

こんな風に心のコントロールが難しくなる甲状腺疾患ですが、あまり思いつめ過ぎないで欲しいと思います。

もし周囲が理解を得てくれそうな場合には、甲状腺疾患のせいで心のコントロールがうまくできないこと、それを申し訳なく思っていること、そしてなにより自分も辛いこと…など、正直に打ち明けることもひとつの手段です。

うつ状態の悪化

バセドウ病発症時と同じタイミングでやってきたのがうつ状態でした。うつ状態に関しては外的要因があったため、全てがバセドウ病のせいではないのですが、根本にはバセドウ病の影響があったように感じています。

うつ状態が悪化したのは4回ほどあります。

1回目はバセドウ病発症時の大学四年生の時。母との関係や自分の生き方で悩んで軽いうつ状態になりました。

2回目は入社した会社で追い詰められた時。この時のうつ状態が一番酷く、抗うつ剤を飲んでいることを周囲に隠しながら仕事をしていました。当時の記憶は抜けている部分も多いのですが、実家暮らしだったため両親が酷く心配していました。本当に様子がおかしかった、仕事を辞めさせようか悩んでいた、と言っていました。

通勤途中の電車では涙が止まらなくなり、体は鉛のように重く動きませんでした。希死念慮があり、線路を見て「あそこに飛び込めば楽になれるんだな」という考えが自然と浮かぶこともありました。

3回目は部署異動してから数年後、仕事の忙しさとバセドウ病2回目の再発により追い詰められた時。

職場の方々は本当に良くしてくださったのですが、とにかく忙しい部署で、バセドウ病を再発しても仕事が減りませんでした。仕事中は皆追い詰められていて、ピリピリイライラしている方が多く、そういった環境も私にとってあまりよくありませんでした。その上、気分屋で八つ当たりの多い先輩と組んで仕事をしていたため、余計に追い詰められていきました。

4回目はコロナ後遺症になった時。心と体を崩して仕事を辞めて、やっと散歩に出かけられるくらい回復した時にコロナになりました。

思い当たるのは病院と買い物と整骨院くらい。同居していた旦那さんでさえ感染しなかったので、原因不明の食欲不振で抵抗力が落ちていたのが最大の原因だと思います。

ほぼ寝たきりになってしまって、体は苦しくて頭ははっきりしなくて、毎日ほんとうに死にたかった。自分がどうして生きているのか、自分にどんな価値があるというのか、皆目見当もつかない。

早く死にたい。ベッドの上でずっと思っていました。

記事を書いている2022年8月現在は、だいぶ回復してきました。でも、コロナ後遺症の主治医にも言われたことですが、うつは繰り返してしまう病気です。今でもほんの些細なきっかけでうつのスイッチが入ってしまうことがあります。

パニック障害の悪化

もともと嘔吐恐怖症があったのですが、バセドウ病発症以降、食事が全くとれなくなるほど症状が悪化しました。

パニック障害も、うつ状態と同様に何度も繰り返しているような状態です。

最初は全く食事がとれなくなり「倒れたらどうしよう」「吐いたらどうしよう」などの予期不安から電車にも乗れなくなりました。夜も眠れなくなってしまい、職場ではいつもフラフラ。病院で点滴を受けたり、会社を長期でお休みしたりなど、かなり限界でした。

食事自体を体が拒否するようになってしまっていて、食事を始めると数分後に動悸と息苦しさに襲われました。家でそんな状態だから、外食なんて夢のまた夢。

私は160cmですが、健康な時は50kg前後あった体重が今では40kg前後を行ったり来たり。

大学時代にのめり込んだ弓道、コツコツと積み重ねたキャリア、子供を望むこと、食べること、作ること。病気ってどうして私が大切にしているものを根こそぎ奪っていくんだろう。今でも時折そんな風に感じることがあります。

でもこれは自然災害のようなものだから。奪われていく事実を、心えぐられるような悲しみと苦しみを、全てあるがままに受け止めながら、目の前の「今この瞬間できること」を毎日こつこつと積み上げていくほかありません。

話は戻りますが、電車・バス・映画館・美容院など拘束される場所が苦手になりました。そのため、アイソトープ治療のために眼の検査でMRIに入った時は本当に地獄でした。

それでも、根気強く日々の生活を工夫していくうちに、少しずつ良くなっていきました。まだ食べられないけれど、今では電車も乗れるし、美容院も行けるようになりました。

さいごに

私はバセドウ病になってから、いつも心の不調と隣り合わせです。だから私にとって、バセドウ病と心の不調の線引きはとても難しいこと。

はじめにもお伝えした通り甲状腺疾患と心の不調は非常に強い関係性があるため、私は心の不調もバセドウ病の延長線上として考えるようになりました。どうしても全く別物とは考えることができず、バセドウ病が根本にあるからこそ心の不調があると考える方が私にとっては自然でした。

バセドウ病の症状だけが、バセドウ病の苦しみではありません。バセドウ病で心のコントロールが難しくなる場合があるということを、多くの方に知って頂けたら嬉しいです。

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