第446回 先進地の成功例だけを真似して…

1、行政受難の時代

本日はちょっと気になる話題

を取り上げてみたいと思います。

2、民間に任せた方がいいことは

まず用語の説明から

PFIというのPrivate Finance Initiativeの略で

公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法

とのことです。出典はこちら

本当にざっくりいうと、

行政が提供するのは、

こういう施設が欲しいというビジョンと、土地だけになります。

よくある指定管理者制度というのは建物を建ててから、管理運営をお願いするもので、

建設段階から運営主体が関わることでより効率化を図ることができるというメリットがあります。

行政的な思想で当たり障りのない、全方位的な建物を建てられてから預けられるより、

自社の得意分野に特化した、使いやすい建物にしてしまった方がいいということでしょうか。

欧米では公園施設などでも導入が進んでおり、日本での導入も近年増えてきました。

第一号としては北九州市のコメダ珈琲店で運営する公園

が昨年7月に共用開始になっているそうです。

静岡県浜松市ではスターバックスが

東京都台東区ではタリーズコーヒー

と大手珈琲店が公園を管理するという形が多いようです。

3、問題の所在は

財政的に厳しい公共団体が、民間の知恵を借りて効率化を図る、ということであれば基本的にはいいことだと思われますが、課題も少なくありません。

もっとも大きな課題が、まだ先進的な取り組みということで、自治体側が十分な企画能力を持っていないということでしょうか。

この場所に公園を作るという計画であれば、どのような企業が乗ってくれるだろうか、

その時の課題は何か。

もちろんなんでもありではいけませんので、

コンセプトというか、行政として実現したいビジョンはブレないように明確化しておく必要があります。

民間企業は利益を上げるために必死ですので、

そこに負けない譲れない一線を守る必要があるということになります。

さて今回の件を見てみますと

盛岡城跡公園一部に東京の民間事業者がブラントショップなどの施設を建設する予定だということ。

それはいいのですが、より上位の「盛岡城跡整備基本計画」に「周辺地区から石垣を眺められること」が明記されていたのです。

つまり一方で石垣の見え方を重視している計画を作っておきながら、それが徹底されず、民間施設建設によって覆されてしまうというお粗末な結果になってしまうということなのでしょう。

4、光が当たったと言えなくもない

皆さんはどのような感想をお持ちでしょうか。

行政のやることに一貫性がなくて、矛盾なんていくらでもあるさ。

そう言われてしまえばそれまでですが

民間企業に運営を任せるという発想と、

史跡公園としての価値を両立させられるよう、ギリギリの努力をするのが行政本来の役割でしょう。

そもそも行政内の部署で埋められない溝があって、それがそのまま表にでてしまったのでしょうか。

これも我が身を振り返ると他人事ではない気持ちです。

まずは地元紙に大きく取り上げられ問題が顕在化したということを可とすべきですかね。


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