第552回 2019/10/29〜11/4の歴史ニュースまとめ

1、今日も今日とて

首里城が焼け落ちてしまいました。

また現実とは思えない映像にショックを受けてしまいます。

まだ続報が出ている段階なので詳述は避けたいですが

済んだことを嘆いてもしょうがないので

前を向いていきましょう。

毎回悲しいニュースの時に書いていることですが

自分のできることを淡々とやるだけです。

さて、いつものようにTLで見かけた歴史に関するニュースを集めました。

ヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

2、今週は9件

①滋賀県彦根市の彦根城博物館で井伊家の茶道具を展示 R 83 C   (リンク切れのため別リンクで同じ話題を紹介します。)

②雪舟が若い頃に描いた三幅対の新たな水墨画を発見 R69

③京都市の東寺宝物館で、秋季特別展「東寺御影堂と弘法大師信仰」を開催

R20

④英ケンブリッジ大学のマルコス・マルティノン・トーレス教授らの研究チームが兵馬俑で出土した青銅製の武器が腐食しない原因を特定 R50 C

⑤筑波大学らの研究チームが古代アッシリアの粘土板にオーロラのことを記したものを発見 R38 C

⑥最古の農民家とされる京都府南丹市の国重要文化財「石田家住宅」のかやぶき屋根が危機 R60 C

⑦台風19号被害を受けた文化財資料を復元。栃木県那須町の例 R127

⑧埼玉県羽生市の北尾崎北遺跡で、平安時代中期の竪穴住居跡1軒から鉄製の槍先と青銅製の八稜鏡が出土 R59

⑨岐阜県岐阜市の岐阜城跡で天守の存在を確認するための調査を開始 R33

3、災害列島の文化財保護とは

一番リアクションが多かったのは⑦の被災文化財の復元の件。

台風19号は東日本一帯に広く被害を及ぼしましたので

文化財も多くが毀損していることが予想されます。

実は我が町でも、

浸水被害を受けて廃棄してしまうものの中に
古文書や歴史的な価値があるものがあるかもしれないので
捨てる前にご相談ください!

とFacebookや防災関連のメールで広報したら

実際に相談があって資料保全に動いた案件もありましたし、

町内の方から話題にしてもらうことが増えました。

ピンチをチャンスに。

こんな機会にでも文化財のことを知ってもらうことができたのは不幸中の幸いだと言ってもいいのではないかと思います。

あとは次にどう活かしていくかですよね。

被災文化財を保全してそれをもとに企画展示をするとか、

保全活動を通じて所有者の方に文化財のことを知ってもらう機会にするとか。

次にリアクションが多かったのは①の彦根城博物館の展示の話題。

この博物館は井伊家に伝来した資料が豊富で、いつも魅力的な企画をしてくれます。

個人的には⑥の古民家の話題がすごく気になります。

お城や大きな寺社であれば入館料収入もあるでしょうが

なかなか民家単独では収益をあげるのは困難でしょう。

国の重要文化財ですから、修理するとなれば費用の半分以上は国からの補助が見込めますが、残りが出せないんですよね。

1億円かかる修理であれば8割国費でも2000万は所有者が持たなくてはいけません。

個人所有者であればもちろん、体力のない小さな自治体所有だとしても

厳しいものがあります。

とくに茅葺きは施工できる業者さんが減ってきて過当競争な上、

材料となるカヤもしっかり管理しているところが少なくなってきて高騰しています。

今回の水害で被害を受けた文化財についてもどこまで国の補助が見込めるかはまだはっきりしませんし、

火災に対する防護策として設備を強化するのに補助を出すのも、

度重なる文化財の火災被害を受けて、通常より手厚くするとは言われつつも

具体的な数字はまだ公表されていません。

国の予算は大きなものですが、その分、動きは素早いものとは言えません。

やはり現場の判断、裁量で迅速に対応できるような体制が理想なんですかね。

本当の意味で地方分権の時代が来ることを期待しています。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。

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