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町家オープンカレッジ「変わる教育!これからの小学校(学び)のカタチを創る」レポート

2019年8月28日、教育をテーマに町家オープンカレッジ(MOC)を開催しました。ゲストは、NPO法人Arrow Arrowの創業者で、現在、全日制マイクロスクールの設立準備を進める堀江由香里さんです。堀江さんが考える、これからの小学校のカタチとは?イベントの様子をご紹介します。

堀江 由香里(ほりえゆかり)氏
人材業界のベンチャー企業にて新卒採用や内定者・新入社員研修などを担当後、2008年にNPO法人フローレンスに転職。事業部長などを経て「子育てや介護などに左右されずに働くことができる社会」を創るべく、2010年にNPO法人 ArrowArrow設立。2019年4月に同団体の代表権限を移譲。現在は次世代を担う子どもの選択肢を増やすべく2021年4月全日制マイクロスクール(小学校)を設立準備中。

そもそも、町家オープンカレッジとは?

町家スタジオにて、ツナグムが不定期に開催している学びの場。ツナグムのメンバーが学びたいことを実践するイノベーターをお呼びし、これからの京都や仕事について考える場です。今回は、2年ぶりの開催となりました。

コミュニティスクール創立につながる原体験

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堀江さんがコミュニティスクールを創るに至ったには、二つの原体験が大きく絡んでいる。そんなお話から、トークイベントは始まりました。

一つ目は、創業者であるNPO法人ArrowArrowを設立するよりも前。人材会社で働いていた時、親友が「子どもができたら仕事を辞めないといけない」と内定を辞退したことでした。

「いつ子どもが産まれるかわからないし、授からないかもしれない。『分からない未来の為に今を諦めるなんておかしい』と思います。でも、結婚や出産を機に、会社を辞めざるを得ない人もいる。女性の就業環境を調査する中で、女性が社会で働く大変さを痛感しました」。

子どもか仕事か。二者択一でしか選べなないのは、社会構造の問題だと堀江さんは考えました。そこで、「解決する手段がないのなら、自分で創ればいい」の精神で、28歳のとき独立。中小企業向け、産育休取得に向けてのコンサルティングサービス、女性社員活用研修を提供する、NPO法人ArrowArrowを設立しました。

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ないなら創ればいい。だけど自分の努力では切り拓けない未来がある

ないなら創ればいい。その精神で、自分の未来を切り拓いてきた堀江さん。しかし、自分の努力ではどうにもならないことがあると気づいた出来事がありました。それが原体験の二つ目にもなった、不妊治療で気づいた”自分ではどうにもならない感”です。

「自分が頑張ればなんとかなると思い、未来を切り拓いてきました。しかし、子どもを授かりたいと思った時に、自然妊娠は難しいとわかったんです。どんなに頑張っても、どんなにお金をかけても、どうにもならない。自分でコントロールできない課題にぶち当たりました」。

「ないなら自分で創ればいい」。「自分ではどうにもならないこともある」。この二つの原体験から、今の堀江さんが形成されていったそうです。

娘の教育環境のために、”そうだ、京都行こう”。

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不妊治療の末、子どもを授かった堀江さん。日々大きくなる娘さんの成長スピードに感動した時、「自分に何ができるだろう」と立ち止まって考えたそうです。

「親としてできるのは、どこで遊ぶか、誰と遊ぶかかなと思いました」。

東京で通う保育園には園庭がなく、晴れの日でも、外で遊べない・・・。本当にこの環境で育てたいのだろうか?と考え直し、2018年に京都に移住することを決めたそうです。

京都ではお子さんを通わせたい幼稚園に通わせることができた堀江さん。すると、次の疑問が湧いてきました。

「幼稚園を卒園したら、小学校。小学校はどうするーー?」

保育と教育は異なるもの。「次、娘にはどんなステージを用意したらいいんだろう」と堀江さんは考えます。

「今の公立小学校が悪いわけではないけれど、もっと楽しい場所があるんじゃないのかな。話を聞くだけではなく、自分が好きなことに没頭する時間があってもいいんじゃないだろうか。選択肢がないのなら、自分の手でつくればいい」。

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また、お子さんをどんな小学校に通わせたいかと考えると同時に、堀江さんは自分の人生をかけて何をするか改めて自問したそうです。そして出てきた答えが、”さまざまな選択肢を誰もがもてる社会をつくりたい”ということでした。

そんな時に出会ったのが、探求型マイクロスクール。既存のスクールへ見学に行き、多くの書物を読む中で、堀江さんはマイクロスクールに魅了されていきました。

そこで、堀江さんは、マイクロスクールを創るため、同じく社会起業家であるご主人とともにクラウドファンディングに挑戦。目標金額1,200,000円を大幅に上回る、1,644,000円を調達しました。

”未知なる未来にワクワクできる”コミュニティスクール

日々の生活の中で、学び続ける姿勢がOSを育んでいきたい。そんな考えから全日制のコミュニティスクール創設をめざしています。

ビジョンは、”未知なる未来にワクワクできる”。「自分の可能性を信じる」、「仲間と可能性を拓く」、「未来の可能性を創る」の3つを掛け合わせて、探求心、自立心、コミュニケーション力を育んでいくことをめざします。

「時代はものすごいスピードで移り変わっています。私たち大人が現時点で想像できる未来に、おそらくならないでしょう。そんな現実が訪れた時、『今までやったことがないから不安』と言うのではなく、『自分でなんとかしよう』、『みんなで力を合わせてなんとかしよう』と思える子どもを育てたいです」。

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子どもたちの学ぶ姿勢を育む、授業スタイルと内容

創るコミュニティスクールでは、システム手帳やデジタルデバイスを貸与するなど、つくりたいものをつくるためにITを活かせる子どもを育むことをめざします。

ほかにも、椅子に座っていない=授業に参加していないとみなすのではなく、教室に机や椅子を置かずに、学べる環境づくりを進めていくそうです。

授業の内容もユニーク。教科という切り口ではなく、人生そのものを探求するテーマ学習を取り入れ、サマーキャンプやスキーキャンプを実施予定。またアセンブリとして、5年生、6年生が主体となって1コマを何に使うか提案し、過ごす時間も設けていくのだとか!

堀江さんが創るコミュニティスクールで学んだ子どもたちが、将来どのような大人になっていくのか。想像するだけでも楽しみです。

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堀江さんの話を聞いた参加者からは、「地方で育ったので、ずっと地元で進学することが当たり前で、住む場所を引っ越した理、幼稚園や小学校は選択の自由があったりすることを知りませんでした。今の時代はあるんですか?」、「現状の義務教育を否定することにはなりませんか?」、「コミュニティスクールに通わせるには、いくらかかりますか?」など次々と質問が上がりました。

堀江さんとはもちろん、教育をキーワードに集まった参加者同士の交流も盛り上がり、これからの教育について対話を深める時間となりました。

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▼堀江さんご夫婦のストーリーは、京都移住計画でもご紹介しています。合わせてご覧ください。

次回は9月18日開催!

次回は、水産業の未来を考えるというテーマで、フィッシャーマン・ジャパンの長谷川さんをゲストにお迎えします。地球温暖化、担い手不足、様々な要因で日本の漁業が危機に瀕しています。

東日本大震災をきっかけに東北のフィールドへ飛び込んだ長谷川さん。ビジネスを通じて、水産業の未来をどうデザインしていくのか?皆さんと共に探っていきたいと思います。

是非気になった方は足を運んでみてください。



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