ハイチーズ王国 王妃

王妃は土の匂い、木々の幹、枝葉、花びらや茎の香りが大好きです。
ツヤツヤと光る銀色の髪を上品にアップして淡いブルーの小花を挿し
部屋には新鮮な花ばなを絶やさず配置して
部屋のどこにいても花を愛でる事が出来ます。

王妃自身もまるで美しい一輪の花のようで
王妃が静かに歩くだけで緑豊かな香りが漂うのでした。

色々な土地の植物や花の集まる城内の庭園はお気に入りの場所。
ふくふくとした香りを楽しみながら毎日ゆっくりと散歩を楽しみます。

そんな時、頭に思い描くのは王子の結婚です。
王子の結婚を夢みて、はや何百年。(妖精は特別な事がない限りとても長生きします)
心根の優しい子に成長してくれたのは嬉しいのだけれど
あの子は森の精霊とでも結婚するつもりなのかしら…
まぁ、私ったら何を考えて……それも素敵だわね!
王妃は庭園を歩きながら色々想いを馳せるのでした。

留守がちな王子を見掛けたなら直ぐさま駆け寄り
結婚についての長いお説教を始めます。

王妃は二人しか子供を産めなかったため…
とはいえ これはいたって普通の事で妖精達は長生きですが数多くの子供を授かりません。
ですが王子の結婚相手つまり時期王妃にはマシュマロのように柔らかい
とろけるような赤ん坊を沢山授かる事を願ってやまない王妃。

美しく着飾る事や、とても珍しい高価な光る玉よりも
この美しい庭園に腰を下ろしシャボンを作って見せたり
花やミツバチの物語を読んであげたり
小さな妖精達とコロコロと遊んだりする子供達と過ごしたい。
王妃にはこんな素敵な夢があるようです。

そんな王妃の名前はチェダー。
正式名はチェダー・フランテール・ハムチーズ。

チェダー王妃にはまことしやかな噂があり
妖精たちは皆
王妃には水の精霊の血が流れているに違いないと考えているのです。
それほど気品に溢れ美しい王妃は
ハイチーズ王国住民たち皆の自慢なのでした。

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