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【roots2】 《6章》泣き虫オスカー*3

オスカーの様子を見てデイブは「オースティン頼んだよ。君しかいない」と言った。
「わかっています。僕はオスカーの守り番ですから」頼もしい答えにうなづくと次は
「シャーロット僕の愛がわかるね」と尋ねた。
「はい」と流していた涙を手で拭って答えてくれた。
デイブは一度下を向いて息を吐くと覚悟を決めて
「新しい家は実はまだ完成してないんだ。でも警備は最新でここよりは格段に安全だから。明日行こう」と言った。
「ディランは俺が連れて行くよ」オーウェンが言った。「ありがとう、頼むよ」デイブがホッと肩を落とすと、ルビーが「私ずっと気になっているんだけど。」と言い出した。デイブは驚いて
「何?」と聞いた。
「リリーは?何故現れないの?」
「確かに、不思議の一つだ。オーウェンにはリリーが必要だよ」デイブが腕を組むと「いつも生活が安定してからだ。まだ1ヶ月しか経ってないし…そんな心配するなよ。大丈夫。これから探すよ」オーウェンが穏やかに答えた。
ルビーが良かったと微笑むとデイブが心配そうに
「早くね。ペリカン兄弟ときつね三兄弟には同居を断られた…みんな仕事を手放せないから仕方ないよね。僕が守りたいけど…」と呟いた。
「5人とも智恵があるから大丈夫さ。リリーも賢い。心配ばかりするなよ」とオーウェンは励まして「よし!明日のために俺は帰るわ。ディランに話して来るよ」と立ち上がった。
「オースティン、夜また話そうな」と言ってオスカーの頭を大きな手でポンポンと優しく叩いて出て行った。
「じゃあ、僕もアリソンさんに連絡を」とオースティンも出て行った。

4人が残り。デイブが「手を出して」とテーブルの上に手を出した。シャーロットがオスカーの手を取って前に出すとルビーも片手を出した。
3人の手をデイブが両手で包んで力強く握った。
「何処にいても僕たちは家族だ。誰よりも3人を愛しているよ。命を大切にして。また一緒に暮らそう」静かに強い口調で言った。
「オスカー、シャーロットを頼むよ」
デイブの強い瞳がオスカーの悲しい瞳に映る
「…わかったよ」オスカーはうなづいた
「シャーロット、本当にすまない。苦労をかけるね」デイブの気持ちが痛いほど伝わってきてシャーロットは涙を堪えて「体を大切にして下さい」
と言うのが精一杯だった。デイブは微笑んで
「ありがとう。ルビー、いいね」と言った。
「もちろんよ」と優しく微笑み返した。
オスカーが手を抜いて3人の手を両手で包み返し
「2人がどこででも暮らせるように。夢中で仕事するから。だから…だから…死ぬとか言わないで」
と涙をポロポロとこぼして言った。
もう2度と会えないと覚悟するなんて無理だ。
デイブがオスカーの気持ちを察して
「大丈夫。僕は6歳じゃない。オスカーを置いて死ねないとわかったしね。こんなに泣き虫だったなんて知らなかったよ」デイブが優しく笑った。

オスカーも驚いていた。
本当の親が亡くなった時も。1人生きるのが精一杯だったあの頃も。こんなに泣いたりしなかった。
温かく受け止めてくれる人を知ってしまったから…失いたくない。
オスカーの涙はいくらでも溢れて止まらなかった。

to be continue…
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本当に悲しいと涙は出ない
受け止めてくれる優しさがあるとわかっているから出せる😢
涙って不思議

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ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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