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小説✴︎梅はその日の難逃れ 第2話

千鳥の部活は演劇部。
と言っても人前に出る事は大の苦手。照明係ならばという事で入部した。
名前が千鳥(※1)と言う名前と相反して友達が少なく一人で居る方が多い。
学校でも休み時間は大概、自分の机で過ごす。
幅:600mm / 奥行:400mm 机大きさの世界だ。
将来なりたい夢も特にないし、女子にありがちなお嫁さんになるとか彼氏を作るとかが、一番欠けているので女子たちとは、なかなか話も噛み合わない。

アイドルを好きになるとかも、よく分からないし、唯一好きと思うのが自宅の庭で草花の匂いや木々と風の奏でる音が聞く時間とパンダだった。

演劇部の同級生『木杉 凛』
とても美人で華があるとは、彼女の事を言うのだろうと千鳥は思っていた。
オポジションな人。

その凛が、入学式でたまたま隣に座っていた千鳥に話しかけ、部活一緒に演劇部に入らないかと誘われた。
特にやりたい部活があったわけでも無いので、なんとなく入った千鳥だった。

その後、凛とはウマが合うわけでもなく、いつも沢山の友達に囲まれる彼女を、教室のすみで眺めている千鳥。
部活以外では、一緒に遊ぶなんて事もないまま二年生になった。

演劇部には音響係に『宮下駿太郎』と言う同級生も居た。彼と千鳥はクラスが一緒だった。坊主頭で背が高くがっしりとしていて、一見スポーツをやっていそうな男子だったが、音響には少し興味があるとかで、裏方志望で演劇部に入ったらしい。

駿太郎も、昼休みはいつも友達と居るより教室で寝ている事が多い。
たまに二人きりになってしまう事もあるが、特に話す事もなくチャイムが鳴ることになる。

[※1   千鳥とはちどり科の小鳥。水辺に群れとなって住む]

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