[SIer]若手の育成

入社してから2~3年経過した、中堅というにはまだ若い要員の教育は難しいという話です。

私は入社して約5年が経過した時に部門を異動する事になりました。
異動先の部門にいたxさんが私の居た部門に異動し、私がxさんのいた部門に異動をして、xさんと私が入れ替わるような人事がありました。

xさんは、仕事を沢山抱えている人でした。私の一回り上で、仕事の経験も多く知識も豊富です。本当に色々な事ができる人でした。というか、頼られたら断れない性格の様ですので、色々な事に手を出しすぎです。
異動先の上長は、xさんの代わりに私が来たので、基本的にxさんができる仕事は私はできると思っていました。そのような状況の為、上長が私は仕事が出来る人間と勘違いしていたせいで、色々な仕事をする事になりました。普通は、新人はOJT担当者を付け、新人ではないけれど若手が異動してきた際も仕事が変わるので教育担当者の様な人を付けると思いますが、私にはそのような人はおらず、教育はされませんでした。

仕事の分野は多岐にわたりました。

今まで経験した分野の仕事が中心でしたが、その他は分野が違いほとんどが初めて実施する仕事だったのですが、上長から仕事を依頼される際は「xさんがやっていた仕事なので、できて当たり前だよね」という感じです。初めてやる仕事でも、できて当たり前なので、自分で調べて対応をするしかないのです。
色々な仕事をさせていただきました。上長から依頼をされた仕事の他にもしたい仕事はなんでもできました(やらせていただきました)。基本上長はいるのですが、なにか上司向けの説明資料を作成して合意をとる必要もなく、口頭で少し伝えればよいです。上長は頭の良い方なので、大体口頭でほとんどの事を理解してくれます。

ちなみに上長はプレイングマネージャーです。役職からも本来はプレイングマネージャーである必要はないのですが、仕事が好きなのでプレイングマネージャーをしていました。ものすごく仕事が出来る人です。また尊敬できる人で、十数年会社に勤めましたが振り返ってみても、一番の理想の上司でした。
上長は、非常に頭の良い方なので、一を言えば十を理解するような人でした。上長が私に実施するように指示したプロジェクト(億規模のプロジェクト、なぜかプロジェクトリーダは部署異動してきたばかりの新人に毛の生えただけの私、私は事前知識のない分野)は、最初は常に上長はミーティングに参加していましたが、途中からは時々ミーティングに参加になりました。作業はベンダーが行いますが、細かい決断がかなり必要です。また、エンドユーザへの影響がとても大きく、エンドユーザに近い作業は自身が手を動かさなくてはいけない事も多いです。上長は決断が必要な場合は、私の決断内容を確認して、最終判断をします(口はあまり出してきません)。

私の様な若輩者でも、自分がやりたいプロジェクトの予算申請(来年度予算の確保)を行う事もできますし、"予算が通れば自身の予算として、予算をキープ"できます。メンバーの予算申請が集まった段階で確認されます。上長は必要可否や予算の圧縮の判断をして、全体の予算の調整をします。

お金を使う時に稟議をあげるので、稟議をあげる際に上長を通るので内容の確認はされます。稟議を通す前は審査会で実施可否・技術的な確認・予算利用の可否・価格の妥当性などの承認をとる必要がありますが、上長は同席しません。審査会は本当に沢山受けました。数千万の稟議は普通です。5千万を超えると色々と面倒な手続きがあります。お金をよく使うので、本社の財務部門に何度呼び出しを受けた事か。。。

ちなみに、若手にこんな事をやらせる部署や、個人が予算を持つという考え方は、後にも先にもこの部署だけでした。あと、私が所属していたこの時期だけでした。その後ルールが変わりかなり厳格になりました。

上長からは仕事ができて当たり前だと思われていたので、非常につらかったのですが、勉強になりとても楽しい仕事でした。

私は変人なので、上記の様に対応が出来ましたが、普通は違うようです。

同じ時期に私と同じ部門に異動してきた女の子(Aさん)がいました。Aさんはおとなしい感じの美人です。私より若いのですが、入社してから数年が経過しており、新入社員ではありません。Aさんには、教育担当として仕事が出来る若手管理職(Bさん)が付きました。
Bさんは本当に優秀な人で、見た目もイケメン(既婚者です)であることから、他部門からも人気がありました。もくもくと大量の仕事をこなしていくタイプです。頭がよく、頭の回転が速いです。会話も最小限で的確な事を言ってきます。人によっては厳しい人に見えますが、比較的穏やかに対応をしてくれる方です。

私は仕事上、ある重要な件でBさんとやり取りをしていると、とてもムカムカしたので、Bさんに喧嘩に近いような事を吹っ掛けた事があるのですが、真摯な対応をされました。ある重要な対応を短期間で終わらせる事が必要だったのですが、簡単にいうと「私が対応するので、口を出すな」という事を私はBさんに言いました。Bさんからは、「こんな奴が会社にまだいるんだ」という事を言われました。
その対応は、私が無事対応を行いました。普通は、対応内容や対応可能な期間から対応できるはずの無いような問題だったのですが、無事対応をしたことで、私の上長とBさんは驚愕していました(上長は数年単位の時間がかかると思っていましたが、数カ月で対応をし問題をクリアしました。「君がいないと会社は危機になっていた。あれは凄かった。」と何年たっても言っていただけました)。
それからは、Bさんとはかなり仲良くなり、色々と相談できる仲になりました。おそらく私を認めてもらえたのだと思います。

Bさんは優秀な人なのですが、教育をしてきた経験があまりないのか、Aさんの教育に頭を悩ませていました。Bさん自体が仕事が出来るので、仕事が出来ない人の気持ちがおそらくわからないのだと思います。
そもそもBさんも私のその時の上長に育てられたので、おそらく教育なんて受けておらず、仕事ができて当たり前で、自分で調べて、自分で考えて仕事をしてきたのだと思います。
本当に、どのようにAさんを教育をしていけばよいのか、悩んでいました。

ある日の夜の事です。事務所の端の方でAさんが泣いていました。自分が仕事が出来ないという事で悩んで、泣いていたそうです。
入社して浅いし、この部門へ異動してからもそんなに経っていないので、仕事が出来なくて当然です。
教育担当のBさんは、Aさんが泣いていたことを聞いて、ショックを受けていました。またとても悩んでいました。
結局Aさんは退職をしました。
Bさんは、かなり心に傷を負ったような感じでした。

その後、新入社員が配属されることになり、BさんがOJT担当者になりました。新入社員は、上位の大学を出身している女の子(Cさん)です。
Cさんは女性一人で海外旅行に行き、マイナーな国を始めとして色々な国に行きまくるような活発な人です。しかも、かなりのかわいい系です。
Cさんは、Bさんの仕事についていく事が出来ました。Bさんの要求に対しても理解をして、対応をする事が出来ました。
BさんはAさんの時と違い、気兼ねなくCさんに色々な仕事を任せていました。Cさんも、Bさんの事をとても尊敬しており、とても良い師弟関係が出来上がっていました。

AさんとCさんには、どのような違いがあったのでしょうか?
教育は難しいですね。個人の性格もあるし、そもそもの地頭の問題もあります。教育をする相手をみて、教育をする方もやり方を変えなくてはいけません。

それから大分年がたって、私もそれなりのランクになり、部下を指導する事もあったのですが、教育についてはまだ答えが分かっていません。

管理職になる前に、その時の上長から「お前は人を育てていない」と言われたことがあります。私は基本的に下請け企業(といっても大手のSIerです)を使って、社内としてはワンマンプレーで仕事を行う事が多かった為です。
理由は簡単で組織的に私の下に人は付いておらず、育てる対象の後輩がいなった事が原因です。人を育ててほしいのなら、組織体系を見直して欲しいと思っていました。

まあ部下を持つ立場になって、人を教育する前に私がうつ病になって休職して、退職をする事になったので、私はそもそも人の上にたつ能力が無く、ダメだったのでしょう。

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