ジャンプ漫画における変身・新世界・選挙

まえがき ちょっと前のジャンプについて語りたい

皆さん、ジャンプ、読んでますか?
僕は……読んでいません。かつては全ての連載を追っていたものの、最近は単行本派に切り替えてしまったので、読んでいません。いや読んでないんかい。
でも、今でも少しは追っています。チェンソーマンとか呪術廻戦とかDr.ストーンとか、面白い漫画いっぱいありますよね!鬼滅の刃は最近終わりましたが、最後までめちゃくちゃ面白かった!ワンピースとかは今更言及する必要もなく、ワクワクする展開が目白押しですね。ジャンプに面白い漫画があると、人生捨てたもんじゃないなって思えるので、今日もジャンプのおかげで幸せに生きる事ができています。

さて、以前の記事などでもお分かりのとおり僕は漫画の中でも特にジャンプ漫画が特別に好きなのですが、今回はそのジャンプ漫画で一時期めちゃくちゃ流行った要素について、あるいは今でも定番となっている要素についてそぞろに語りたいと思います。

今回語りたいのは、変身、新世界、選挙についてです。
変身……あなたはどんな変身、覚醒シーンを思い浮かべますか?
新世界……ワンピースだけじゃないですよね。あなたは幾つの新世界を思い浮かべられますか?
そして、選挙編……最近はあまり見ないですが、一時期、色んな漫画で選挙編が行われていました。ハンターハンターとかもそうですね。覚えていますか?あの時代を。
僕はもう忘れそうです。
なのでメモ書きとしてここに残していくことにしました。

①怒りと変身について

変身シーン、あるいは覚醒シーンと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
最もベタなところとして、孫悟空の超サイヤ人ですか?
富樫作品好きなら、浦飯幽助の魔族大隔世とかゴンさん
黒崎一護の虚化、ナルトの九尾化良い覚醒でしたよね。
あげるとキリがないですよね。僕も全部は覚えていません。また、どこまでを覚醒、変身とするかも定かじゃないですよね。銀魂の神楽とかも夜兎モードになったりしますが、姿は変化しないので、ここでは含めないことにしています。

この覚醒の始めってどこにあるのでしょうか。
正直、僕のような乏しい漫画経験の中ではドラゴンボールくらいまでしか遡れないのですが、まあ基本的な変身スタイルとしては「怒髪天」ですよね。
怒りのあまり、血筋とか秘匿された能力が覚醒する。
そして髪が伸びたり、逆立ったりする。何故かそういう変身が多いようです。

怒りとともに変身するのってどうしてこう、燃えるんでしょうね。
あと、なんで髪の毛の変化に現れるケースが多いのでしょう。
よくわかりません。
異形感を出す演出の一環なのはわかりますが、覚醒の系譜を探ることは面白い研究になりそう。誰か研究してくれない?って思います。

ついでに、僕もそろそろ変身できないかなっていつも思います。
不甲斐ない自分に対する怒りとかで(ベジータ並感)

②新世界の様々な呼び名

新世界、呼び方は様々ですが、一時期すごい流行った気がするんですよね。そして結構その「新世界」の描き方は難航していた気もする。カオスを描き切れなくて。
「新世界」の代表的な例としては今も連載中のワンピースですが、結構カオスで面白い世界が展開されています。
ハンターハンターの「暗黒大陸」はそもそもいつ辿り着くのかわかりませんし、五大災厄の話が回収されるのか、どこまで冨樫先生がやってくれるのかがわかりません。しかし、面白いのは絶対に間違いないので、ただただ楽しみです。
トリコは「グルメ界」編を描き切ってとうとう完結したのですが、ジャンプらしく、インフレにインフレを重ねて、結構カオスで楽しかったですね。しかしやっぱりインフレ以上に既存の価値観が全く壊れるような体験ができたかというと、違いましたね。人間界編の最後である29巻とかはすんごいワクワクしていたのですが、トリコがそもそも強くなりすぎてヤバさが軽減したと思います。

他には……「魔界」とか「宇宙」とかそういう描き方はあったんでしょうか?僕はあんまり知りませんし、「新世界」的な想像力とはちょっと違う気がするんですよね。
人間の住める世界ではない「異界」としての「新世界」は天変地異起きまくり、巨大生物が生息している、厄災をもたらす世界であり、かつ、今いる世界と地続きにあって、全く未知の何かが存在する……みたいな、同じ世界に何かがいる不気味さは「宇宙」とか「魔界」とはちょっと違う気がするんです。なんでしょうね。上手く言葉にできません。

インフレが基本となっているジャンプ世界において、ある段階を超えると人間界のレベルでは最強になってしまうので、外部へ外部へ向かっていく傾向があり、それは昔からそうなのですが、それがかつては「宇宙」とかだったのが「新世界」的な想像力に変わっていったのは何故なんでしょう。
もうそこにはロマンを感じなくなったのでしょうか?僕にはよくわかりません。
本当に誰かに研究してほしいです。ところで最近は「新世界」的な世界の拡張、見かけないですね。ベタなレベルでの人間ドラマに焦点を当てる漫画が多い気がします。作家の入れ替わりもあるとは思いますが、編集長が変わったりしたんでしょうか。
全然わからない。わからないから、俺は集英社に就職したい!!雇ってくれ!!!

③選挙編

最後に選挙編ですね。今は本当に見かけないですが、ある時期のジャンプでは、本当に選挙しまくっていた。有名どころだとハンターハンターの選挙(2012年発売の30巻ごろ)がありますが、めだかボックス(2012年発売の15巻ごろ)、ねじまきカギュー(2013年発売の11巻ごろ)とかそうですね。カギューはヤンジャンですが。他にもあった気がしましたが、全部忘れました。

なんか選挙について語る流れがあったんですかね。読んでいた当時は、「なんか選挙編最近よく見かけるなあ」という感想のほかに、何か選挙編をやる理由が見えていた気がしたのですが、全部忘れました。誰か2012年頃の社会状況と選挙編が必要とされた意義について教えてくれ!(全て他人任せ)

今回あげた選挙編、どの漫画も流れが似ているんですよ。愚直で真っ直ぐな馬鹿が支持されるという結末になる。愚直で真っ直ぐな馬鹿が必要だと思わせる何かが2012年頃にはあったんでしょうか?わからない!時代が違う!

ジャンプ特異点:めだかボックスにおける変身、選挙、世界

この三要素について語るきっかけになった作品について語りましょう。
僕がここであげたいのは「めだかボックス」です。
この作品について軽く説明すると、この漫画は完全無欠の生徒会長「めだかちゃん」が生徒の悩みを解決すべく奔走するゆるふわ生徒会ドタバタコメディです。3巻くらいまで。あれ?全22巻なのに。
間違えました。この作品は「異常(アブノーマル)」という他者より突出した能力を持った天才達とめだかちゃんが戦う能力バトルものでしたね。……7巻くらいまで。あれれ?
違った違った。他者から良い意味で突出した「異常(アブノーマル)」達と悪い意味で突出した「過負荷(マイナス)」達の、優越感と劣等感をめぐった全面戦争を描く学園戦争ものでした。…………11巻くらいまで!!!!(全22巻なのに!!!)
「めだかちゃん」とめだかちゃんを支える裏主人公「人吉くん」の恋愛漫画!?これは16巻くらいまで!!めだかちゃんの隠された家庭の事情をめぐるお家騒動!18巻まで!!「絶対に勝つ」という主人公の宿命を背負っためだかちゃんと、同じく主人公としての性質を持つ言彦との主人公性をめぐるメタ漫画!21巻まで!
軽く説明できないじゃん…というかだいぶネタバレじゃないか。まあいいか。

まあ、こんな雑なあらすじはともかくとして、この漫画はジャンプ漫画への愛で出来ていて、ジャンプ漫画の持つ様々なジャンプ的要素の総決算というか、批評的な作品になっているんですね。同時期に連載していた「バクマン」もそのようなジャンプ批評みたいな要素はありますが、まあそれはそれとして。

ともかく、めだかボックスにはジャンプ漫画の多くが凝縮されていると、僕は思っています。すなわち、変身ー覚醒ー能力バトルを基本として、恋愛、スポーツ、学園、あるいは「友情・努力・勝利」と言ってもいいですが、そのようなジャンプサクセスストーリーの全てがあります。ジャンプ好きによるジャンプ好きのためのジャンプ漫画です。

今回は、めだかボックスについては深く語りませんが、めだかボックスの変身、選挙、世界の拡張の仕方が鮮やかだったなあと思うので、上げておきます。
まずは、「乱神モード」「改神モード」「廃神モード」「混神モード」「終神モード」と言っためだかちゃんの数々の変身。「乱神モード」が最もオーソドックスな変身であり、めだかちゃんの怒りとともに発動する怒りに任せた暴走状態です。ジャンプ主人公の基礎的な要素ですね。そして、その変身が強敵が現れるたびに進化していくっていうのもジャンプあるあるですね。その変身が、強くなるばかりでなくて、心のあり方の変化として出てくるのが、面白いです。
次に選挙編、ここでは生徒会選挙でしたが、勝つことが宿命づけられた主人公の「めだかちゃん」を真のラスボスに据えて、主人公には程遠い主人公の凄さを引き立てる語り部に過ぎなかった「人吉善吉」くんが、主人公になりめだかちゃんに勝つべく戦うってのがあらすじですね。この戦うって部分、単純に最強のめだかちゃんにバトルして勝つって話かと思いきや、選挙で勝つ話に置き換わっていくんですが、そもそもこの頃のめだかボックスはインフレし終わっていてバトルには限界が来ていたので、そのスライドのさせ方が面白かったです。めだかちゃんに勝ったキャラクター、めだかちゃんを変えたキャラクター、最後まで人吉君だけだったんじゃないかな。まあ、そういうキャラ性や思想のぶつけ合いという意味ではちゃんとバトルしてたと思います。
最後に世界についてですが、めだかボックスでは新世界とかそういうカオスの世界は出てきません。ただ、学園という思春期の箱庭の外に出て(箱庭学園という学園名です)、大人たちと戦う物語にシフトしていったんですね。これもまた、世界の拡張ですよね。新しい世界ですよねって、当時は思いました。このめだかボックスにおける世界のスライドのさせ方は、それまでの価値観を揺るがすような別世界は単に混沌とした異界として現れるだけでなく、大人達が陰謀巡らすこの世界に既にあるっていう当たり前の現実を教えてくれてるかもしれませんね。

と、良いこと言った感じにして、今回は終わりにします。
また、何か別の機会までさようなら。

(啄む亭血液法師)


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