7/8 韓国映画『グッバイ・シングル』を見た感想

唐突に韓国の文化を知りたくなって、Netflixで見つけた『グッバイ・シングル』という韓国映画を見た。

あらすじを読んでたまたま見ただけだったが、これが想像の10倍良かった。一言で言えば擬似家族の話であり、孤独にさようならする話である。

-----以下、ネタバレあり-----

主人公のジュヨンとダンジは、赤の他人であるが、気付けば母子のようでもあり、姉妹のようにもなっていく。

自分だけの味方が欲しくて、子供を作ろうと考えたジュヨン。閉経してしまって子供は作れない。ならば子供をもらおう。
そう考えたジュヨンは、病院で知り合った、中絶に悩む中学生のダンジに契約を持ちかけていく。

中絶は危険だ。産んだ方がいい。私が育てる。

無責任なジュヨン。自分勝手なジュヨン。
そんなのは無理だと、幼馴染でジュヨンの幼馴染であるピョングも言う。

ジュヨンは女優だった。もう旬は過ぎてしまった女優。事務所には見捨てられそう。家族は、幼い頃からいなかった。
自分の身の周りを振り返ると、自分には本当の味方なんて誰もいない。
長い付き合いのピョングには妻子、家族がいるが、私には家族がいない。
お金があっても、死んだ時に誰も自分を埋めてくれない。

だから、自分だけの味方が欲しい。
子供が欲しい。とそう考えた。


若くして妊娠したダンジは貧乏だった。幼い頃から両親がいなかった。二人暮らしの姉は嫌な人で、早く出て行けと言う。
お金が欲しかった。美術の学校に行きたかった。逃げ出したかった。

だから、ジュヨンの申し出を受けた。
この女優からお金を貰おう。子供をあげよう。

こうしてジュヨンとダンジとまだ見ぬ赤子の、奇妙な生活が始まっていく。

仕事がなくて暇なジュヨン、変な噂が立たないように家にずっといるダンジ、
二人の境遇は両親の不在という点や、男に裏切られてきたという点でも似ていて、仲良くなっていく。

男の事で嫌な思いをしてきた。
そうだ、男に復讐をしよう!
二人は画策する。

自分を妊娠させておいて逃げ出したクソ男。母親の指輪を中絶資金にと渡してきたクソ男。妊娠させた女を置いて、韓国代表のゴルフ選手として今にも飛び立とうとしているクソ男への、ささやかながら痛快なダンジの復讐。

復讐を終えた後の帰り道、爽やかなドライブの時間の中で、ジュヨンはダンジにこのように言う。

オンニ(お姉さん)と呼んでもいい。あなたにはその資格がある。

今までは違かった。
距離をおきなさい。あくまで契約を結んだだけの他人なんだから。ジュヨン様と呼びなさいと言っていたのに。ダンジは少し照れたが、

オンニ。

輝かしく美しい時間。
孤独だった二人に、家族のような何かが出来た。
赤の他人だけど、そんな事が重要なのか?

……とまぁ、そんなお話で、その後も色々あるのだが、全部書く必要はない。

韓国の人は、親しい年上の人間をオンニ(お姉さん)とか、オッパ(お兄さん)とか呼ぶ、不思議な文化があるようだが、
この映画においては、単なる親しい人という意味以上に、強い意味を持っているように感じて仕方がなかった。

お暇でしたら視聴してみて下さい。
擬似家族関係を築いていく話であると同時に、
擬似家族関係に気付いていく話でもある。

オススメです。



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