たふもにゅ

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クラブ体験記(後編)

※記憶の曖昧さなどの理由から、内容には筆者の想像や妄想が含まれる。 —第1幕—  ダンスフロアに降臨した俺は、さも慣れたような雰囲気を纏いながらビートの波に乗り始める。キレがありつつもやり過ぎない程度のムーヴメントを維持しながら、周囲の様子を伺う。24時を過ぎる前にしては珍しく、活発に動いているダンスガールたちがフロアに点々と咲いている。今夜は楽しめそうだな。  しかしすぐに女の子にアプローチするなどという下策はとらない。まだ夜は長いのだ。序盤はダンスに徹し、俺がダンス

    • クラブ体験記(前編)

       「旅の恥はかき捨て」ということわざがある。旅先では知り合いもいないし長居もしないから、ついはめを外した行動をとってしまうという意味である。  とある夜の京都に、この言葉を念仏のように唱えながら歩く男がいた。剃髪し、僧服を纏っていたならば、すれ違う人には近くの寺の坊主だと思われたことだろう。男は確固たる意思を持って、繁華街として知られる河原町を歩いていた。  「クラブで踊りたい」 男の脳を支配していたのはその一念であった。  男はこの後無事に(?)クラブへの侵入を果たす

      • 麻雀のすゝめ

        ※この文章を読んでも麻雀ができるようにはならないです。 春休みが長引いて暇な皆さんのために、私の生涯3回の留年のうち2回を発生させた張本人である麻雀について紹介したいと思う。 麻雀ってどんなゲーム?一言で言えば、トランプを使ったじゃんけんみたいなものである。 トランプのルールっぽく説明すると、最初に13枚の手札を皆が貰う。残りのカードを山札にして、「山札から1枚引く→引いたものも含めて14枚の中から一番いらないと思うものを捨てる」という動作を順番に繰り返す。そして誰かが

        • 40日間は短い

           女は小さくなっていく飛行機を見送りながら呟いた。 「40日間は短い」  しかし内心では痛いほどわかっている。短いはずがない。同じ屋根の下に住み、毎日顔を合わせていたのだ。愛する人の帰りを待つこれからの40日間は、女には永遠より長いもののように思われた。  これから育っていくであろう喪失感を抱えながら帰途に就く。予定通りスーパーに寄ったはいいが、何を買っていいかわからない。自分のためだけに作る料理など、どうでもよく思えてしまう。腕によりをかけて作った料理が次々と食べられる様子

        クラブ体験記(後編)