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自費出版だからこそ思い切り予算をかける

すっかり写真集制作のプロダクションノートとなっているこの定期購読マガジンですが、こうなったら完成の日までぜひ付き合っていってください。

SNSのタイムラインでは機材の新製品の話題などで持ちきりで、ひとり全く離れた場所で奮闘しているわけですが、それもまた自分らしいのかなと思ってます。

制作に着手したのが2月なので、ちょうどまる3ヶ月がたちました。当初は6月20日発売を目標としていたのですが、工程が増えたこともあり「7月1日発売」となりそうです。すでに奥付(最後のページの情報欄)にも「First edition July 2023」と記して入稿しました。

増えた工程というのは、シュリンク包装加工とバーコードを貼る作業。あと、糊(ノリ)の乾きを入念に待ちたくて、バッファを持たせることにしました。

写真集をよく購入する人はわかるかと思いますが、購入して時間がたつとハードカバーの表紙がのけ反ったり、逆に内側に曲がったりする状態になる本ってありますよね。あれは製本した後に糊が完璧に乾いていない状態で出荷することが一因として考えられるとのことです。

その状態になるのは絶対に避けたい、ということで後ろ倒しにさせていただきました。ある意味その判断ができるのも自費出版の良さといえます。

先週は藤原印刷本社工場にて、印刷立ち会いしてきました。待ちに待った工程で最高の時間だったのですが、それは次回のnoteで書こうと思います。今回は制作費の話を。

まず今回の写真集ですが、初版2000部となります。まだ確定はしていませんが、トータルの制作費は約780万円、消費税などを考えると800万円を超える算段となりました。

内訳としては、

・印刷・製本・前述の加工費に600万円
・ライター・カメラマンの人件費が120万円
・梱包資材(ダンボール・プチプチ)が40万円
・出張費、入庫費、Shopifyアプリ、その他諸々で20万円

それぞれ確定前のざっくりした金額で、もう少し増える可能性ありです。ブックデザイン、Webサイト制作(Shopify)を自分でやっていなかったら1000万円を超えていたはずなので、むしろ「800万円ですんだ」という言い方が正しいかもしれません。

特に今回こだわったのが紙。本文はダルアート紙の中でも「OKウルトラアクアサテン」という最高級の紙を使用しています。表紙(NTラシャ)も含めると、紙代だけで約200万円かかっています。

保井の写真の「黒」を表現するために、どうしてもこの紙でいきたかったというのもあって、妥協なく選びました。人件費に関しても(普段受注する側として考えても)納得感のある金額を提示していると思います。とにかく今回は「安くおさえよう」という発想を一切排除して制作しています。

むしろ自費出版だからこそ、存分に予算をかけようという気持ち。

以下、ちょっと暑苦しいので購読者の方向け。

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