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【cinema】パリ、恋人たちの影

2017年24本目。

フランス映画はズルい。男と女のこんな愛のやりとりが、サラリと、オシャレに描けるのは、フランスだからだ。私が勝手にオシャレと感じているだけかもしれない。本当はもっと泥臭いのかもしれない。それでも、この街にいる恋人たちは、どこか浮世離れしていて、自分と同じ世界に住んでいるとは到底思えないのです…。

ドキュメンタリー作家ピエールと、低予算のドキュメンタリー映画を制作するピエールの才能を信じ、夫を支える妻マノン。映画制作に行き詰まりを感じていたピエールは、偶然出会った若い研修員のエリザベットと恋に落ちる。しかし、妻のマノンと別れるつもりはなく、あくまでもエリザベットとは身体だけの関係で、罪悪感もなく、エリザベットとの関係を続けるピエール。そんなある日、エリザベットは、マノンと浮気相手の密会を目撃してしまう。(映画.comより転記)

自分は浮気していても、妻の浮気は許せない。男の身勝手な考え方。妻が他の男に向けて見せる自分の知らない笑顔、姿。無表情、無関心を装っていても頭の中は、そんな妻のことだけ。そんなもんですか?

女の言い分を言わせて下さい。

先にしたのはアンタ。どんなに貴方を応援していても、陰ながら支えていても、それが当たり前。本当は才能なんて、あるの?自分一人で何かやってのけたこと、ある?優しい眼差しなんて向けてくれたこと、ここ最近ない。

愛は見返りを求めては駄目だ、というのは散々どんな恋愛指南書にも書かれている。無償の愛が昇華して、永遠の愛になると。

わかるよ、わかる。理屈ではね。でも実際は違うよね。愛したいし、その分愛されたい。夫がそれを埋めてくれなければ、誰に?

ということがですね、ひたすらモノクロの画でオサレに描かれているのです。パリの街角ほど似合う場所はない。

私がこの作品で好きなところは、ラストです。あれだけニコリともしなかったピエールが、妻と分かり合えた(んだよね?)瞬間、満面の笑みを浮かべるんです。それだけでね、それまでドロドロだった二人の愛は、文字どおり昇華された。

↑これね。スタニスラス・メラール、いいオッサンになったな…でも童顔だな。

それにしても、愛人エリザベットの存在って…。彼女が一番都合のいい存在じゃないの。カラダの関係だけでいい、なんてウソ。女ならわかる。愛したいし、愛されたいよね。でも本音を口にしてしまったら、ピエールは離れていってしまうこともわかっている。世の中不条理で、誰かが偏って痛みを抱えることになる。そういうことも思い知らされる。

まあ、最終的にはですね、どれだけね、相手を想っていても伝わらないことがある。口にして、時には罵り合って、腑に落ちる瞬間って誰にでもあるんじゃないかな。

ということをずっと書きたかったんですけど、これ見たの2ヶ月以上前かも。さー、あと15本!笑

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