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【cinema】君はひとりじゃない

2017年60本目。ポーランド映画🇵🇱

いやー、してやられた。見終えてすぐの感想はそれ。日本版ポスターに騙された。

そもそもこの邦題は誤解を招く。時折流れる"You'll never walk alone"からのくだりなんだろうけど…コレ見たら、この真ん中に映ってる「天才セラピスト」の女性が如何にスゴイかっていうところが焦点になると思うだろうけど、全然そんなのではなくて。原題は、BODY。その方が余程かしっくりくる。

冗談ではなく、この映画はコメディかと見紛うばかりの連続なのだ。私は笑うしかなかった。ある意味度肝を抜かれたし、いい意味で期待を裏切られた。感動のシーンなんて、あったか?吹き出しそうなシーンの連続だよ?勝手に感動物語に仕立て上げようとしてるけど、最後の最後までそうではなかった、という解釈は間違っているのだろうか。

病気で母を亡くした娘と検視官の父。心身を病んだ娘は摂食障害となり、日に日にやせていく。喪失感を拭えない父は、検視官として立つ事故現場で人の死に何も感じなくなっていた。埋められない溝ができてしまった父と娘は、お互いを傷つけあった。そんな娘の体を見かねた父は娘をセラピストのもとへと通わせてリハビリをさせるが、そのセラピストによる療法は普通では考えられないものだった。(映画.comより転記、一部修正)

あらすじだけ見ると、本当に感動物語を連想しそうですが、どこを切り取ってもブラックまたはシュールでしかない。強いて言うなら、この父と娘は、関係性が崩壊しているようで、実はほんの些細なことで繋がっていられたんだなっていうのがわかることかな。そういう面では荒んでいない。

首吊り死体の男がいきなり生き返ったり、真夜中にトップレスのバアさんが軽快に踊り出したり、下着姿のいい年した娘が父親の前で恥ずかしげもなく、妖怪ばりのポーズで歩く。全然綺麗なシーンもないし、むしろ目を背けたくなるのに、夢中で見てしまう。

で、「セラピスト」の彼女だ。幼い我が子を失った悲しい過去を背負っている彼女は、今は霊体験を通してセラピーを施す心理療法士(霊媒師)になっている。怪しさしか感じない。なのに彼女はその手の人がそうであるようにどこかしら「ピュア」だ。でも心の奥底に人間なら誰もが持っている嫉妬や羨望、卑下する心を隠している(と私は感じた)。だからラストが余計に滑稽に感じて。

父、娘、セラピストの3人がバランスよく描かれているから、見やすかったのかもしれない。誰に重きを置くでもなく、誰の気持ちも汲み取りながら、この物語は進む。

見終えた時は、いやー、奇妙な映画だったな!だったけど、私は意表をつく、という点ではこの映画をオススメしたい。何とも言えない気持ちになるけど、決して暗くはならない。そういう点では、邦題の「君はひとりじゃない」は当てはまるかな。彼女は「セラピスト」として、十分な役割を果たしたと思うから。

↑絶対こっちの原作ポスターの方が合ってる。

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