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【cinema】転校生

2017年19本目。

今年のmyfrenchfilmfestivalで監督賞とか他にも賞を獲ったみたい。

ル・アーブルからパリの中学校(13才っていうから多分中学?)に転校してきたブノワ。シャイな性格からか友達が作れず、声をかけてくるのはイケてないヤツばかり。人気グループに取り入ろうとするけど、逆にバカにされるだけで…。そんな彼の唯一の救いは、スウェーデンから越してきたジョアンナの存在。少し言葉のおぼつかない彼女と課題のペアを組んで、友達になって、まずまずのスクールライフを送っていたが、人気グループのシャルル達にジョアンナが誘われ、またブノワは孤独になり…。

子供の世界って、今だから言えるけど、ものすごーく狭くて、彼らの「イケてる」なんて、ものすごくダサい。でもそれが彼らにとっては世界の全てで、皆必死で「イケてる」ヤツになろうとする。それが人の気持ちを踏みにじるようなことばかりでも。教師でさえもそれを黙認している。自分自身が過去に目の当たりにしてきたことを見ているかのようで、だから、このあからさまなスクールカーストを目にすると、あまりいい気持ちはしない。

そんな彼の奇妙な救世主は、ブノワの両親からは諦められている同居中の無職の叔父だ。自称元DJの彼は、ブノワの両親よりも子供の世界をわかっている。彼自身が童心のまま、なのかもしれない。にしてもパーティー開こうぜって…。イケてないヤツのパーティーに誰が来るのさ…。

で集まったのが、聖歌隊に勧誘してくるコンスタンタンに、手足が不自由なアグラエ、そして指吸いとからかわれているジョシュア。それでも彼らは目一杯楽しむ。大笑いする時間を共有するのって、こんなにもいいことなんだ。クラスの中では、ちょっと変わり者の彼らだけど、何ら他の子たちと変わりない。ブノワは、それでもイケてるヤツに取り入ろうとしてしまうけど、後でわかってしまうんだよね、何が大切なのか。友達ってどういう存在なのか。

それにしても、このジョアンナという子が無意識の小悪魔で、ブノワを友達と言いながらも、結局はイケてるグループに入っていくし、ブノワとはあくまで「友達」でいたい、恋はまだしたくないとブノワの精一杯の告白も断るのだ。エンディングでは、イケメン男子と腕を組んで歩いているんだけど…。

↑ジョアンナ役のこの美少女、大人になったら、どんな美人になるんですか?

決して、これはブノワが負け犬的な存在ではなくて、共通の楽しみを見つけた仲間で、スクールライフを満喫していく、彼らの成長物語なんです。

転校生って、そういう立場になったことないからわからないけれど、ジョアンナも言っていたように、「この"新しい"感じがイヤなのよ」っていうのが全てだと思う。他の子たちと何ら変わりないのに、皆と違う時期に仲間入りすることが異質と見做されて、後はとことんその違いを認識させられる。子供の世界って、相当残酷だから。

とはいえ、ラストは本当に清々しいです。たとえ、「イケてない」者同士の集まりでも、他愛ないことやバカらしいこと含めて、あらゆることを共有していくって、こんなにいいものなんだって思えてくる。ああいう子供時代の楽しさって、もう味わえないよなぁ…って、ちょっぴり泣きそうになってしまったり。

きっと、この映画が賞を獲れたのは、オトナたちの過去への郷愁の表れかなって思います。あの頃に戻ってみたいっていう。

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