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【cinema】ネオン・デーモン

2017年9本目。

観た後すぐのこの胸のざわつきをどう抑えたらいいか、まだわからない。見る前は、単にファッション界のモデルたち(オンナたち)の戦いで、そのイジメ、妬み、嫉みたるや壮絶、とにかく黒い部分が明るみになる作品としか思っていなかった。これは……それ以上だ。

黒いのに、眩しい。明るいのに、毒々しい。華やかな世界、なのにひたすらどす黒い部分を描いている。これを映画における「アート」と捉えるのか、いや、アーティスティックに「見せているだけ」と言う人の二分に分かれるだろうと私は思う。私も決めかねているから。バカバカしくて、マジかい!と失笑してしまうようなシーンもあれば、ただひたすらスゴイ!と唸ってしまうシーンもあるのです。体の中心部分から熱くなって、でも瞬時に冷たくなってゾワゾワする感じは初めてかも。BGMの効果もあるのかな…。

トップモデルを夢見て故郷の田舎町からロサンゼルスに上京してきた16歳のジェシー。人を惹きつける天性の魅力を持つ彼女は、すぐに一流デザイナーや有名カメラマンの目に留まり、順調なキャリアを歩みはじめる。ライバルたちは嫉妬心から彼女を引きずりおろそうとするが、ジェシーもまた自身の中に眠っていた異常なまでの野心に目覚めていく。(映画.comより転記)

私はこの映画のジャンルを「新感覚ホラー」と位置づけたい。サスペンスというには現実離れしすぎているし、血を見るのがニガテな人には堪えられないシーンも満載。けど、単なるホラーとして片付けるには惜しい、それ以上のものがあるんだよね。好き嫌いは分かれると思う、本当に。

個人的見解だと、ジェシーは肌の色が透き通るように白くて、金髪がそれに映えるスラっとした少女にしか見えないんだけど(だって顔はどっちかと言うと鼻ぺちゃだと思う)、化粧映えはするし、居るだけで皆の羨望の的になる。その描き方が極端すぎて、笑えてくるくらい。もうラストにさしかかる辺りなんて、声に出しそうになるくらい笑えてしまった。オンナたちの欲望は留まることを知らず。そのエグさを「スタイリッシュ」だと賞賛するのか、キワモノとしてこき下ろしてしまうか。これを書いていてもまだ何とも言えない。ただ、私は、笑ってしまった。そこに悲しさややりきれなさというのは感じられず。でも彼女には戻ってきてほしかった。あんなのに負けちゃ、ダメだよ…。

映像美としては、ストーリー的に一切関係のない、去年観たパオロ・ソレンティーノの「グランドフィナーレ」を思い出してしまった。この映画はまさに完璧なんだけど、「ネオン・デーモン」の映像はそれに近いものがあるかな。でも…完璧だけど…ツッコミどころありまくり。

美しさには、自然美と造形美がある。「綺麗」は作れるもの、どこまでも追求できるもの。けれど、人は本能でわかっている。どちらが「上」なのか、皆が求めるものなのか。それをこの映画は痛いほど知らしめてくれる内容だったと思います。

わー、誰か、見てー。

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