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無限の可能性を持つコラーゲン

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今回は農学部応用生物科学科の野村義宏先生にインタビューをしました。ぜひご覧ください!


<プロフィール>
お名前:野村義宏先生
所属学科:農学部応用生物科学科
研究室:応用蛋白質化学研究室
趣味:お酒を飲むこと


畜産副産物からコラーゲンへ


―そもそも、なぜコラーゲンを専門にしようと思ったんですか?

若い頃にちょうど畜産副産物としてレザーの研究をしてて。皮ってレザーとしては使うけど、それ以外の利用法ってなかったんですよ。そこで皮があればコラーゲンを採れるよって化粧品とか、食べるものとかっていう技術の提供をし始めたのが最初ですね。それまでは牛とかの動物の皮や骨はよく使ったけど、それ以外の生き物(海洋生物など)から採るコラーゲンはあまり扱う人がいなくて、うちの研究室はそれを研究してました。
最初にやったのは、サメだったんです。

―食用にしたサメの余った皮などでしょうか。

そうそう。サメって一番有名なのはフカヒレですね。だからフカヒレ以外のところはあまり使ってなくて。例えばBSE(牛海綿状脳症)が流行って家畜のコラーゲンは避けようって話になったときは、マリンコラーゲン(海洋生物から採るコラーゲン)を作る方法とか企業さんに協力してたんです。僕らは多分農学部の中でも珍しくて、民間企業さんと共同研究をいっぱいやってる研究室ですね。


(写真1)コラーゲンを糸に加工したもの

コラーゲンはいろんな形のものに変えられるんですよ。よく見る機能性食品として売ってるゼリーとか。こんな感じ(写真1)にコラーゲンは糸にもできますからね。かつらの原料とか。そのベースは牛の皮なんです。

―糸にもできるんですね!

そうそう。コラーゲンって結構万能に使えるので、最近であれば再生医療の基質に使ってたりもするんです。これ(写真2)は血管


(写真2)コラーゲンを用いた人工血管

コラーゲンはどんな動物で作ってもアレルゲン性が低くて留置しやすくて、どんどん人間の体のものと入れ替わっていくんですよ。ほかには人工関節とかもですね。そういうサポートができるような使い方を探してます。
うちの研究室が特殊なのは、本当に幅広くやってるっていうことですね。

―いろいろな企業の方と長年にわたって研究をされているって、本当に研究がお好きなんですね。

研究が好きなのか人と付き合うのが好きなのか(笑)相手に対して沿うような形で技術を提供しているっていうのがうちの研究室の特性ですね。


研究の終着点の大切さ


―先生の研究に対するこだわりは何ですか。

最終的にどんな論文が書けるかを想像することですよ。僕らはやっぱり最後は外に公表するのが研究のベースなので、やった限りは論文にしてあげないと悪いですよ。それが企業だったら最終的には特許になりますし。
農学部のいいところって、やっぱり実社会に近いような話をもうちょっと真面目に深掘りできるところでしょう。最終ゴールが何ってちゃんと見せてあげるのが大事ですね。研究者は大きい体系の一部分に集中するわけだから、そうすると周りが見えなくなるんですよ。

―確かに想像がつきにくい部分もあるかもしれないですね。

だからゴールの見えやすさとか達成のしやすさで研究テーマも当たりはずれがあるんですよ。あとは、今の時代だったら、やっぱりネットワークがないと研究ができないと思います。ネットワークに入るには、自分の研究分野での専門性をはっきり見せるようにすることが大事ですね。各選手の役割が決まってる野球とかと同じです。特化してるもののアピールができることが強みになります。戦略的にやっていくって理系っぽいでしょ。研究じゃなくてもこういう会社に行きたいっていうのもそう。


人生の方向が変わる進路選択


―最後に、高校生に向けてのメッセージをお願いします。

高校生に向けて言うと、志望はきっちり狭める必要はないけど、何が自分は本当に好きなんだろうっていうのはちゃんと見てほしいですね。

―分かってても難しいですね。

でもそこで判断しないと、一生の方向がまず変わる
だから、ちょっと引いて考えられるってスタンスがないと。高校の時に例えば本当に生物が好きとか、化学系のものが好きだとか、食べるのが好きでもいいんですよ、そういうので選ぶことができればいいですね。
農学部って地味なイメージはあります。でも、世界中のいたるところに農工大の卒業生がいるんです。だから縁の下の力持ちっぽい人が多いですね。

文章・インタビュアー:農学部応用生物科学科1年 ぐみ
インタビュー日時: 2024年8月8日

※インタビューは感染症に配慮して行っております。

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