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自分の成果を実世界で見てみたいー工学の裾野の広さについて

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今回は工学部化学物理工学科のBisri先生にインタビューしました。

ぜひご覧ください!

<プロフィール>
お名前:Bisri先生
所属学科:工学部化学物理工学科
研究室:Bisri研究室
趣味:飛行機

子供の頃の夢はパイロット。その夢は今の研究につながることもある。


ー今の研究をやっていくうえで、モチベーションになっているものはなんですか?

研究をやっていくうえで新しいものを発見したいということです。もともと小さいころにはパイロットになりたかったです。目が悪くてあきらめたのですが、やっぱり飛行機を作りたいと感じ始めて勉強していきました。そのなかで物理、とくに材料物理にだんだん惹かれていきました。ときどき、材料物理を使えば、この材料が飛行機のこれに使えそう!みたいなことを考えたりします。

ー面白いですね。材料物理とかだと飛行機の材料としてCFRP(炭素繊維を用いたプラスチック)などがあると思いますが、そういうイメージですか?

それ以外にも、例えば、機体の温度を計測したり、客室窓の電子シェード(日よけ)設置に使われたりするなど、材料物理は飛行機の材料に活用されています。

ー結構意外なところがつながるんですね。窓のシェードを離陸後にすぐにしめることで、飛行機の空調で消費するエネルギーを小さくすることができ、環境にやさしくなると聞いたことがあります。今の研究の分野である材料物理に興味を持った理由はなんですか?

物理をやりたいと思って大学に入りました。そのなかでも、材料物理なら何百年とかではなく、多分死ぬ前に成果が目に見える形になるのではないかというのが魅力に感じました。

ー自分の成果が実際に新しいものとして世に出てくれると感動しそうです.......!Bisri先生が取り組まれている材料物理の場合どういったところで世に出てくれるとうれしいとかありますでしょうか?

コロイド量子のコンピュータ(量子を利用すると、優れた計算速度や優れた暗号通信が可能と期待される技術)や、火星の土でナノ材料として活用して火星の宇宙ステーションで量子ドットの材料として活用されるなど、そのあたりまで広がればうれしいです。

ー飛行機だけではなく宇宙まで話が広がってくる材料物理は面白いですね!パイロットや宇宙飛行士に興味がある未来の卵がこの記事を読んでいる人にもいると思うのですが、飛行機や宇宙で使うものからも宇宙や空にアプローチできそうですね!工学という学問のすそ野の広さが伝わったらうれしいなと思います。

装置のカーテンを開けたとき、目にしたのは明るく光る有機半導体だった。


ー研究していて一番楽しいと感じたエピソードとかありますか?

大学院3年目以降で研究していた時に、有機半導体が光った瞬間でした。大学院1~2年目では、有機半導体を研究しているときに光るのを観察するときは顕微鏡を使っていました。そのときの実験も顕微鏡を使っていましたが、全然光が見えませんでした。これはおかしいと思って、グローブボックスという装置にはカーテンがついているのですが、装置のカーテンを開けて、目視したところ、強い光が出ていたことが分かりました。


熱くエピソードを語ってもらいました!

ーやっぱり目の前で光ってるのをみると感動しますよね。ちなみになぜ、顕微鏡からは見えなかったのですか?

装置のカーテンを開けることで、側面からの光を見ることができました。顕微鏡は上から見えていたので、側面だけ発光していると見ることができませんでした。

続けてきた努力が目に見える形で実を結んだ時の感動を、話を聞いている私ですら感じて感動しました。

化学物理工学科だからこそできる研究


ー研究の環境として今農工大を選んだ理由とかあったら伺いたいです!

私はもともと理化学研究所で研究をしていましたが、コロイド粒子ドットの分野では学生と研究を進めていくことが大切に感じたためです。特に、化学と物理両方に興味がある化学物理工学科の学生と研究を進めたいと思ったためです。

ーそうですよね、化学物理工学科だと、化学系と物理系両方の学生がいるため、どちらの分野にもふれて研究できるのでいい環境だと学生の身からも感じています。

コロイドの研究には化学、量子ドットの研究には物理、両方の学生が重要です。研究室にはおよそ50%が化学系の学生、50%が物理系の学生になっています。

高校生へのメッセージ


ー高校生は多分自分の道を決めていく時期だと思うんですが、その道を決めていくうえで、何かアドバイスなどあったりしますか?

二つあります。一つは、今はSNSの時代ですが、SNSから入ってくる情報を取捨選択していくことですね。自分の道を決めていくうえで、地球規模で考えて、日本にいるからこそできることは何なのかを考えることです。日本にいると研究などの科学のためのインフラがたくさんあります。それを大切にしてほしいなと思います。

ーそうですね。日本の夏はこんなに災害級になったりと、地球規模の出来事は身の回りで起こっていて、それに対して自分がどう何ができるのか考えることも大切ですね。もう一つはなんでしょうか?

もう一つは、高校生活では先輩や後輩、友人などの知人関係がありますよね。人と人との関係は必ず大切にして今後どういう人付き合いをしていくかを考える時期なのかなと思います。

ーそうですね、私も高校時代の友人とは月に一回は大学院生になった今でも遊んでたりしてます。高校時代の友人は大切にしてほしいなと思います。本日は貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。

文章・インタビュアー:工学部化学物理工学専攻 修士2年 MR
インタビュー日時: 2024年8月6日

※インタビューは感染症に配慮して行っております。

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