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ワークショップの無敵存在

 私は今回、東北妖怪文化研究センター(以下、東妖研)に所属する富樫瑞樹さんにインタビューを行った。東妖研とは、金ヶ崎で活動を行う東北各地に眠る妖怪に関する伝承や昔話などを活用してワークショップ、イベントなどを行う活動団体である。そんな東妖研の中でも特に存在感を放つっているのが富樫瑞樹さんだ。

冨樫先輩

──有り余るエネルギー

彼の活動を行う上で最も注目すべき点は、なんと言ってもその積極性だろう。富樫さんは声を掛けるという分野においては他の追随をまるで許さない。それはワークショップでの活動に留まらず、学校内での下級生との交流や校内イベントなどでも顕著に現れている。面識のない人であっても活発的にコミュニケーションを取りに行き、あっという間に距離が縮まるのである。この行動の原動力となっているものには、彼の持論に基づいているものであることが取材を行う内に理解した。


──有り余るエネルギー

 それは他のインタビューの内容にも顕著に現れている。富樫さんはワークショップに参加する理由として最も重要視しているのは、「人と話せること」であるという。コロナウイルスの影響で最も辛くい感じたのは人と話す機会が減ったことだ。ワークショップなどの活動を介して培われた能力もコミュニケーション能力であるという。上記からも、人と話すことを好む性格であるのは明白であろう。私は富樫さんがワークショップを行う上で活躍できる要因が、「コミュニケーションが好き」というこの一点に集約されていることに気付かされた。

 私はワークショップなどを行う時には、積極的に会話を行おうと努めてはいるものの、どこかぎこちないものになってしまう物であった。とはいえ、ワークショップを行ううえで会話という要素は外せないものであるので、いつかは克服しなくてはならない要素だと思っている。要するに、私は「目標を達成するための道具」としてコミュニケーションを用いているのだ。しかし、富樫さんは会話すること自体が目的である。つまり、コミュニケーションを行なう時点で目標は達成されていることになる。

 そういった活動原理こそが最も強力な物なのではないだろうか?私はワークショップに参加する目的を聞かれたら、参加者の笑顔や感謝の言葉と答えるだろう。しかし、活動を続けていけば満足のいく言葉をもらえない時もあるだろう。その時自分の心が折れない保証はどこにもない。しかし、活動自体が目的となってさえいれば、参加した時点で報酬はもらえている事になる。そうなれば行動の結果によって左右されることはなく、穏やかな気持ちで続けることができるだろう。


 こういった意欲こそが人と触れ合う「ワークショップ」という活動を行う上で「無敵」なのでは無いかと思う。


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花房 歩
東北芸術工科大学 総合美術コース

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