大人だから

大人だから、何かしないといけないと思ったことはなかったです。

何歳になっても甘えさせてくれる人は、どこかにいると思っていました。

ずっとあたたかく包まれた環境で生きていけると思っていました。

両親も妹もずっとそばにいてくれると思っていました。

彼氏も友達もなにがあっても付き合いは続くと思っていました。

でも、両親は癌になり、妹はお母さんになりました。

彼氏も別れちゃったし、友達も就職や結婚などの人生のターニングポイントをきっかけに距離ができました。

いつも誰かが助けてくれていました。

助けてくれる人が減っていくのは悲しいし、不安です。

寂しい夜は、布団でよく泣きました。

このまま一人ぼっちになったらどうしようという不安が私の頭から離れませんでした。

隣に母が寝ていて、いつもの夜ですが、そのいつもが、いつなくなるんだろうと、よく不安になっていました。

未来がわからないから怖かったし、大切な人が普通に生きているのも怖かった。

永遠じゃないと知っていたのかもしれません。

だから、今どうすればいいのかも分からなくて、いつでも笑ってほしいと思っていました。

でも、病気になっちゃったら、私がいい成績を取ったって、会社で頑張って働いたって、意味ないじゃんって思いました。

いつも笑って欲しかったから、つらいことも乗り越えたし、楽しい話をできるように努力もしてました。

以前、もう十分生きたよって言葉を母から聞きました。

できるだけ長く生きてほしいと思っているのに、悲しかったです。

父も無敵な職人さんってイメージがあったけど、癌になってしまいました。

いつも強気な妹は、優しい顔になっていきました。

変わらないのは私だけです。

それが悲しくて、不安でした。

おどけていれば、家族は笑ってくれていました。

もうその役は必要ないみたいです。

家族思いのいい子でいたかったのかもしれません。

救われていたのは私でした。

本当はすぐに泣いてしまうけど、泣かないでいられたのは、家族がいたからです。

すぐに不安になるけど、いろいろなことに挑戦できたのは家族がいたからです。

一番大切でした。

母は、父がいなくなる不安を感じて、

父も、動けなくなることが怖くなっていて、

妹も、守るものができました。

私がおどけるだけでは解決しません。

一人ひとりが乗り越える壁です。

こんな時に、おばあちゃんがいれば、

おじいちゃんがいればって思ってしまいます。

私のすることが間違っていても、それを肯定的に捉えてくれたおばあちゃん

間違えた歌詞を歌う幼い私の話をよくしてくれていました。

いつだって私が遊びにいくのを楽しみにしてくれていたおじいちゃん

お正月には福袋、誕生日にはプレゼントを用意してくれていました。

こんな後ろ向きの私に、大丈夫だよって言ってくれたのかなあって思います。

間違っていることが面白くて

そばにいても嫌がられないって

幸せです。

もう大丈夫、大人だから。

怖いことたくさんあるけど、もう大丈夫です。

不安なこともたくさんあるけど、大丈夫です。

悲しいこともたくさんあるけど、大丈夫です。

大人だから乗り越えられます。

人とは違うことでいわれることは多いけど、

だから失敗もするし、それが面白いし、

だから必要としてくれる人がいるし、それが嬉しいし、

それでいいと思います。