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【#002】男性が育児休暇を取りづらい理由を考えてみました

 こんにちは、としです。育児休暇に入ってから、すでに2週間が経過しました。生後1ヶ月の息子は、パパでも寝かしつけが出来るようになりました。大進歩です!

 今回は、男性が育休を取りづらい理由について、女性の育休取得と比較して考えて見ました。法律の制度と職場での色々な手続きの経験をまとめ、男性の育休取得を阻んでいる壁について考えてみます。

1.育児休暇制度について

 「育児休暇」という言葉は、広く知られていると思います。しかし、細かな制度については、実際に取得しようと思うまで、調べたことがない人が多いと思います。

 育児休暇とは、「育児介護休業法」で定められた労働者の権利です。この法律は、労働者の仕事と家庭生活の両立を図ることにより、経済・社会の発展に資することを目的としているものです。言い換えれば、ワーク・ライフ・バランスのための法律です。育児休暇制度については、厚生労働省が以下のようなサイトを設けて説明しています。

 説明によると、育児休暇を取得するためには以下のような手続が必要です。このように、ママであれ、パパであれ、全ての労働者は、子供が1歳になるまでは原則として育児休暇の取得が可能とされています。ただし、実際に取得するためには、労働者本人が職場に対して「申し出ること」が必要です。←このハードルが高い!

子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間<パパ・ママ育休プラス>)、申出により育児休業の取得が可能

 一方、育児休暇とは別に、女性が出産する際に、「産前・産後休暇(いわゆる産休)」が認められています。これは、「労働基準法」によって定められているものです。この法律は、労働者が人としての最低限の生活を送るための労働条件を定めたものです。同じく厚生労働省が以下のサイトで説明しています。

 こちらも、以下のとおり説明されています。産前休業は、出産予定日の6週間前から本人の請求によって取得できます。一方、産後休業については、原則として出産の翌日から8週間は就業させてはいけません。ただし、例外として、6週間経過後に「本人の請求」+「医師の許可」により就業することができます。

産前休業
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得できます。(労働基準法第65条)
産後休業
出産の翌日から8週間は就業することができません。ただし、産後6週間を経過後に本人が請求し、医師が認めた場合は就業することができます。(労働基準法第65条)

 産休も育休も、職場の同僚からすれば「結局はお休み」なので、同じように捉えられがちです。しかし、その性質は大きく異なり、産休は「最低限の労働条件」である一方で、育休は社会経済を発展させるために有益な「より良くするための制度」だと言えます。

 先に述べたとおり、周りから見ると産休も育休も同じようなものです。そのため、女性が休暇を取得するとしても「最低限の労働条件」「より良くするための制度」をまとめて取ることに対して、男性は「より良くするための制度」のみを、本人の意思によって取得しなければいけません。これが、同じ育児休暇という制度を利用する中での、男女の大きな心理的な違いになってくると思います。

 こうした違いを考えないで、「女性に比べて男性の育休取得割合が低いので、男性も進んで育休を取るようにしましょう!」と言うだけでは、状況が改善するはずがありません。

2.実際の職場で育児休暇を申請する流れ

 私が、実際に職場で育休の申請をした時の流れを、妻の職場での流れと比較してみたいと思います。だらだらと会話調に書いてしまいましたが、ぜひお読みください。(妻の職場の状況は私の想像です。。。)

*妻(女性)が育休申請の手続きを行う場合*

妻: 「突然ですが、この度妊娠しまして、現在、◯ヶ月です。」
上司:「えっ、おめでとう!仕事も無理しないでくださいね。ところで、予定日
   はいつですか?」
妻: 「20XX年X月X日です。」
上司:「そうですか。それなら、産休は◯月下旬頃からですね。皆でフォローする
   から、今のうちから引き継ぎなどの準備を行っておいてくださいね。」
妻: 「ありがとうございます。」
上司:「出産後、育休は何歳まで取る予定ですか?」
妻: 「とりあえず、1歳児で保育園に入れればと思います。うまくいけば、
   20XX年の4月には復帰できると思います。」
上司:「分かりました。給与担当のAさんと相談して、色々な手続きを進めておい
   てくださいね。」
妻: 「はい、ありがとうございます。」

*私(男性)が育休申請の手続きを行う場合*

私: 「突然ですが、妻が妊娠しまして、現在、◯ヶ月です。」
上司:「それは良かった!奥さんを労ってあげてくださいね。仕事も無理しない
   で、家庭を優先させて大丈夫ですよ。」
私: 「ありがとうございます。ところで、今回、思い切って育休を取りたいと思
   います。」
上司:「それはとても良いことだと思います。奥さんも心強いでしょう。ところ
   で、いつ頃から休みに入る計画ですか?」
私: 「20XX年X月X日が予定日です。出産後、1週間は入院するので、その週は
   何日か有給休暇を取らせてもらい、入院生活のサポートをしたいと思いま
   す。退院したら、向こうのお母さんが来てくれるので、その間に引き継ぎを
   済ませて、お母さんとバトンタッチするタイミングから育休に入ろうと考え
   ています。」
上司:「分かりました。具体的な期間などが決まったら、教えてください。また、
   給与担当のAさんとも、色々な手続きを進めておいて下さい。
私: 「はい、ありがとうございます。」

 こんな感じです。上司の理解や職場の雰囲気はそれぞれですが、女性の場合は予定日(出産日)を基準に、産休・育休のスケジュールがほとんど決まります。あとは、終わりのタイミングをいつにするかを決めるだけです。

 一方、男性の場合は、出産日がいつであれ、自分で休暇のスケジュールを組まなければいけません。そこには、有給休暇などの他の休暇と組み合わせて、いろんなバリエーションでスケジューリングできます。こうした、選択の余地がありすぎることが、男性の休暇取得が進まない大きな理由であると感じました。少なくとも法律上は「最低限の労働条件」ではない育児休暇を、自分の意思で自由に取得するということには、私も職場に対する「負い目」のような感情を抱きました。

3.【提言】男性の育休取得を増やしたいのであれば…

 昨年、政府は、国家公務員に対して、男性の育休を原則1ヶ月以上取得するように促す制度を今年から始めると決めたそうです。

 確かに、「取りたければどうぞ」という制度のままでは、一向に状況は変わらないと思います。その点、ある程度強制力を持たせることについては評価できます。ただし、おそらくですが、役人の間で1ヶ月以上の育休を取ることが目的になってしまい、子供が生まれれば、淡々と1ヶ月の休暇を取得して、きっちり1ヶ月後に職場復帰するのが当然のような流れになると思います。

 個人的な提言としては、現在の育児休業の取得を強制的に行うのではなく、男性にも労働基準法の産後休暇を新設して、配偶者の出産後6週間は就業させてはいけないという制度を設けるべきだと思います。

 女性の最低限の労働条件として、産後6週間は絶対に就業させてはいけないとなしている理由は、育児のためではありません。ママの出産後の体を休ませる必要があるからです。しかし、現状は、核家族化が進み、誰にも頼ることができない状況で、産後の傷が癒えない中、昼夜問わず育児を行っているママがとても多いと思います。

 そんな現代の社会構造を考えると、男性に産後6週間の休暇を強制することは、最低限の労働条件だと言ってしまっても良いと思います。子供が生まれた夫婦は、必ず一定期間働かせてはいけない。その間、ママは体調を回復させ、パパはサポートに徹する。その後、ゆっくりと、夫婦の役割分担(どちらが、どれくらい育休を取得するか等)を考えるという流れが、現代社会にはしっくり来るのではないでしょうか?

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。もちろん、法律を変えるのは一筋縄では行きませんが、色々と国民的な議論を行い、現代社会にふさわしい制度を作って行くことは、政治の方々に期待したいと思います。 

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