2020年度の始まり:まだまだ地域に残された力がある
2020年度が始まりましたね。
COVID-19の影響で入学式も中止。ここに来て3月に卒業旅行に行った大学生あるいは卒業生が罹患していたケースがチラホラと見られ、大学そのものがクラスターになってしまう可能性が出てきました。
大学の場合、一方向だし、見るか見ないかはありますが在学生向けには諸々通知をする方法がありますが、新入生となるとなかなか難しいところがあります。特に履修登録や他地域から出てきて1人暮らしを始める人もいますから、ある程度対面で対応せざるを得ない。かつ本学のように1学科200人を超えるとなると瞬く間に「3密」の条件を満たしてしまいます。
年代別感染者数
昨日(4/1)のニュースでは感染数の合計を示してましたが、ここに来て20-30代の数が最も多くなってきて、当初致死率が低いから大丈夫なんて言ってたのも、「これはやばい」という空気に少しはなったのでしょうか。福岡市ではこの3週間の週末の外出自粛が求められていますが、それでもお金を多少なりとも稼がなければならないような苦学生には辛い状況。我慢って言ってもなかなか難しいところです。
でも、我慢しましょう。じっと堪えてできることをやっていくことですよね。
新しい地域との連携が始まる
そんな中、一昨日(3/31)に以前講演会にお招き頂いた商工会の副理事長さんから電話を頂いた。
「講演会の際にもお伝えしていたあれ、できたので観に来てください」
ということで、昨日観に行って来ました。
ちょっとしたスペース
ここはその商工会の会館1階。2階が事務所で1階には長らくスナックがあって、老齢になられたママが辞められたスペースだそうだ。商工会にとっても貴重な収益事業だったのだが、街も急激に変化をしていることから、利用用途を改めたいと地方公共団体から補助金を得て作り替えたということらしい。
広さはそれほど広くはないが、このスペースだけでなく、奥にはキッチンや納戸もある。
商工会の理事長さんは「ここを地域の人が集まる場所にしたい。あるいは将来的にこの街で店を出してもいいと思う若い人のチャレンジショップにしてもいい」と仰られていた。近くには公民館があるけれども利用用途には一定の制限もあるため、ここならちょっとした商売を試せるよねと。
その上で「ぜひ若い人のアイデアを出してもらって、ここでできることをどんどん試して欲しい」とのお言葉を頂いた。さっそきゼミ生数名が立候補。プロジェクト実施の運びとなりました。
地域最強メディアを持つ商工会
今回はあくまでも見学だったので具体的な話までには至らなかったが、話の中で人口推移や校区の構成、商工会の店舗の状況などを伺った。
ここは新興住宅街として近年開発が進み、宅地化もどんどん進んでいる。4年前に小学校が新設されたが、すでに収容人数を超えることになり、さらに小学校を新設する話が出て来ているそうだ。
一方で、昔からの街道として定住している世代もいて、ベッドタウンとして住む世代と古くから住んでいる世代との交流が進まないのが課題。人が増えて機会はあるけど、肝心の各個店の売り上げにつながっていないということが課題として挙がっていた。しかも古くから店を出していても、後継者の問題もあって閉店し始めている。商店街のように店が連なっているわけではないから「シャッター商店街」とは違うけど、空いてしまってる店舗の有効活用も考えていかねばならない。
というような話をしていたら、以下のような資料を見せてくださった。
モザイクかけたのがその資料
モザイクがかかってるこの資料。これが商工会発行の新聞。地域の人口推移や催し物、地域のイベントをまとめたメディアである。聞けば、この新聞は周辺の約10,000世代全戸に投函されるもので、その部数は地元紙や最大の全国紙の部数(約4,000部)を遥かに上回っている。最大シェアを誇るメディアをこの商工会は持っているのだ。スゲェ…。
これを活用しない手はない。
商工会と地域とメディアを使った場の有効活用策を考える。しかも、実行する。
なかなか面白い取り組みができそうな気がする。パッとストーリーは思い描けた。何が大きいかって、大学や自宅からは遠い場所だけど、自分たちがチャレンジしてみたいことができる場を持つことができたということ。もちろん主体は地域や商工会なんだけど、プロトタイピングして試せる場ができたってことが大事なんだよね。
この地域が長年育んできた力というものをまざまざと見せつけられたなぁと感じた瞬間でした。ワクワク。
小さな一歩が大きな一歩に
こういう活動をしていると、「大したことやってねぇじゃん」と言う人もいるかもしれませんが、大きなことをやることばかりが教育ではなくて、こういう地域に寄り添った活動を継続していくことが「課題のジブンゴト化」につながると思っています。
良くも悪くも、本学の学生にとって全国レベル、世界レベルで起きていることはどこか遠くの事象で、ジブンゴトとして考えるのは程遠い。けど、目に見える範囲で、自分の力で試せることがあることがあれば強みを発揮する。特に新3年生(8期生)はそうした傾向があるように思います。
この春休みも合宿前後から数名が私の紹介を通じてインターンに行ってたくさんのことを学んでいるようですし、先輩からのプロジェクトを引き継いで活動することになった人もいるし。今の騒ぎが落ち着けば、韓国・釜山の大学とのプロジェクトの本格的に動き出すでしょう。
コンテストやビジネスプランコンテストで表彰されるような活動とはいきませんが、こうした(比較的)小さな(けど本人たちにとっては大きな)機会を通じて、彼らが自分たちにできることを知ってもらいたいですね。
今年も小さなことをコツコツと。地に足をつけて何かを創っていく1年にしたいですね。楽しみだ。
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