見出し画像

経営判断のレベルが一段と上がってきた:8回目の創Pスタート

昨日(9/18)は2年専門ゼミの初回にして創業体験プログラムの初回。司法書士の先生方にお越し頂き、(擬似)会社登記を行いました。すでに会社としての取り組みを始めていますが、形式的にはこれで会社設立。来週は先輩からアドバイスを受けるプレ事業計画発表会、10月の事業計画発表会とプログラムは進みます。

今年の2年生は

そうした中で今年の2年生(8期)は例年通り多様性に満ちたメンバーから構成されていて、先輩たちの期待が非常に高い。まだゼミが正式に始まっていない夏休みにベトナムや韓国の出張に同行し、先輩たちをディスりながら旅を楽しんだり、インターンシップでSDGsの取り組みを広く伝えていく活動をしたりと、積極的に取り組んでいる。他のメンバーもハッカソンへの参加やプログラミングスクールにも通っていたり,夏休みに留学に出かけていたりと、それまでのゼミ生に比べるとやや仕上がってる感がある。

会社設立時に書いてたことがこんなことだった。8期生への期待が満ちていることがわかる。

が、今やその仕上がってる感が心配の種。クールすぎるのだ。

8期生は良くも悪くも真面目で互いの関係性を壊さないようにと遠慮がちに見える。それぞれの部門ごとにミーティングをしてある程度部門内のコミュニケーションは取れているものの、部門間と言えばどうだろうか。取締役会も話し合いを重ねてはいるものの、なかなか方向性が見えない。社長がやりたいことは示されつつあるも、いかにして具体的にそれを構築するかが示されない。目標利益はいくらで、そもそも商材を何にして、単価はいくらで、販売個数は何個で、販売戦略は?オペレーションは?という段階になってない。

創Pも8年目。だいたいどの時点でどうなっていると七隈祭当日にどんなパフォーマンスになるのかが見えてきた。

そこで昨日の夜、ちょっとした燃料を投入した。が、極めて反応が悪い。ま、仕方ないかな。

それでもある学生がしっかり反応してくれた。

面白いのはここから

が、面白いのはここからだ。

かねてから創Pで機械化ができないかと考えていたところ、どう考えても(ちょっと言い過ぎか)機械化しなければ無理が生じる商品案が8期生から出てきた。その機械をここでアップしてしまうと商品がバレちゃうので自粛するが、3万円を投資して1分あたりの生産数量が26個というモンスターマシンである。もちろん機械を使う前の仕込みがあるので簡単にはいかない。それでもだ。一番手間がかかる作業を最速で終わらせることができる。

これまでの創Pでは学生たちの自主的な判断で「手作り」をしてきたが、結果としてブラック化をもたらし、学年によってはそのあと人間関係がギクシャクするということもあった。

5期生の経験
ここで5期生の経験を振り返っておこう。

5期生は2年続けてこぶたまんに取り組むことになったが、1年目は完全手作りで1,000個を販売し、2年目は土台となる肉まん部分は既製品を、後付けの顔は小麦粉と食紅を使って自作することにした。結果、2年目はコスト上昇したが、製造部門も販売部門も無理することなく七隈祭を乗り切った。販売個数も下がることはなかった。

つまり、彼らは前年度の取り組みから振り返り、改善するべきポイントを抽出し、試行錯誤しながら、商品の基本コンセプトはいじらず、既製品にした方がいいところは変更して、できるだけ負担ない仕組みを作ることで顧客にも従業員にも満足度の高い企業を経営できたのである。

画像1

5期生1回目は完全手作りだったがロスも多発

画像2

2回目は既存製品に顔をあとでトッピング

画像3

詳細に作り込んだ生産販売管理表

当日は厳格な生産販売管理を行った。過去の実績から時間あたりの販売予測を立てて生産数量を調整。1-2日目は製造主導でプッシュ型でラインを構築していたが、3日目は販売店舗から次の時間の予測を伝達し生産するプル型でラインを構築するところまでできた。結果的に16:00の販売終了と同時に売り切れ。見事なまでのオペレーションを実現できた。その日のふりかえりで私は「参りました」と言った記憶がある。

で、今年はどうなる
今年も同じような問題に直面している。しかも問題は肉まんのように1個を売るのではなく、複数個数で売らざるを得ない商品になりそうだということ。しかも店舗でも調理が必要で、かなり複雑な生産管理が求められることが予想される。

これを解決するためには多額の投資が必要。今の時点で人海戦術でいくのか、機械を導入するのか、導入するとして投資資金を回収できる事業案になるかがポイントになる。機械を導入すれば生産個数はアップできる。が、それを売り捌けるか、テント内で調理できるかもまだわからない。人海戦術で行けば投資は最低限。資金調達も無理しないで良い。が、人の疲弊は激しくなる。

これを彼らはどうクリアするのだろうか。わずか3日間の模擬店のためにそれだけの投資をするのかどうか。意思決定会計で出てくる問いである。見てる側はワクワクする。

やっとここまで来た

8年目でやっとここまで来た。販売戦略レベルの意思決定ではなくて、投資戦略レベルでの意思決定問題。これまでもフードプロセッサーを買う買わないで個人負担→レンタルという判断はあったけど、今回はその商材を作らなければ無用の長物となる機械の導入問題。

ここには資本調達も、当日のオペレーションも、人のやりくりも全て関わってくる。どんな予算PLができあがるか、そのリアリティはどれほどのものなのか。経理部が数年ぶりにフォーカスされる創Pになるのかな。

まさに経営やってるし、管理会計やってる。
お飯事ではないし、経営ごっこでもないんだよね。

その前に立ちはだかるハードルは高いんだけれども、8期生がこういう問題にどう立ち向かうかが非常に楽しみでならない。

余談

そう言えば、このことにも言及しておかねばならないだろう。昨年社長を経験した6期生のことである。2回目の創Pの社長と副社長は私が指名するが、彼は社長になって会社全体の目線でモノゴトを見ることができるようになった。先日も、「創Pってみんな経営の実際知りたいから商品や販売やりたがるけど、なんだかんだで経理が一番いろんな部署に顔を出せる美味しいところですよね」(意訳)的なことを言っていた。

その話を聞いて「やっとわかってきたなぁ」と感じたわけです。このゼミではアントレプレナーシップ×マネジメント×金勘定を教えてるわけだけど、それを2年半でなんとなくわかるってのは難しいし、社長なり、取締役やらないとわからんところあるよなと感じてます。

また今年も悩むな。研究しっかりやりたいけど、やっぱ好きなんですんわ。人が育っていく過程を見ていくのが。はい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?