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とんかつは完全食だ

2019年の夏ぐらいから完全食ブームというのが来ている。

要するには「それを食べるだけで、生きていく栄養素が揃う」というものだが、もっと以前から日本には完全食は存在していたと思う。
それが、「とんかつ」である。

私は「東京とんかつファイターズ(略してTTF)」という、
とんかつが好きというだけで集まったクラブチームの事務局をしている。
2020年4月、世界がコロナに揺れる現在、全国に30名ほどのチームメイトがいるが、彼らがこれほどまでにとんかつに夢中になるのにも、
この「完全食」説が根底にあるからだと思う。

とんかつを食べる時のことを思い出してもらいたい。
鼻先をくすぐる香ばしい油の香りと、キャベツを刻む規則正しい音。
肉の種類と揚げ油の温度によって揚げ時間も変わるので、
じらされる感覚というか、何分待てばいいのかわからない高揚が毎回訪れる。
(たまにカウンターのお皿にキャベツが早く盛られすぎて、
期待のピークがフライングしてやってくることがある。これは、本当に胸が苦しい)

運ばれてくるのは、お皿の上に並べられた、揚げたてのとんかつ、瑞々しいキャベツ、ツヤっと光るお米、熱々のしじみのお味噌汁、そして箸休めの香の物。
もはやユネスコの無形文化遺産もびっくりな、立派な一汁三菜に値する。
糖質、タンパク質、ビタミン、脂質、ミネラル、栄養素も完璧である。
とんかつの味については、また別の機会に取っておくとして、
気づけば週に1~2回はとんかつを食べているが、残念がるほどのハズレには未だ出会ったことがない。
すき焼きやお寿司、うなぎ、フレンチといったいわゆる「ごちそう系」の食事は街場のお店と三ツ星で味の格差が大きいが、とんかつでは、その格差は圧倒的に小さい。
街中のお店と高級店の価格レシオ(平均価格倍率)ということだ。

おいしいとんかつを食べたら、最後はお会計。
普通に飲み会に行って美味しいものを頼み、それなりのお店にいけば、
5,000円を優に超えるところだ思う。
しかしとんかつは、どんなに高くても3,000円でおつりがくる。
そう、お財布にやさしいのだ。
こういうところも地味に完全食の要素として大切だ。

さらに忘れてはいけないのは、とんかつ屋はの閉店時間である。
とんかつ屋は総じて閉まるのが早い。
たいていのとんかつ屋は20時か、遅くても21時には閉まってしまう。
だから平日の夕飯に誰かととんかつに行くときは、早く行って、さくっと食べて帰る。
ついつい長居してしまって、、、というのはとんかつ屋では物理的にできない。

外さない味、完璧な栄養素、お財布にやさしい、
そして誰と行っても楽しく食べれてサクッと終わる。
良い意味で後腐れがない食事。
これが、とんかつ完全食理論である。

おいしいとんかつは進化する。
豚肉の種類や油、パン粉との組み合わせ、そして揚げ方。
店主のこだわりによって、昨今のとんかつは格段に、確実においしくなっている。
いっときのラーメンブームが業界全体を底上げしたように、とんかつもまさに夜明け前だ。
だから、とんかつのことを話すのに、タイミングはもう今しかない気がするのだ。

東京とんかつファイターズ。
みなさんとおいしいとんかつを食べるために、note始めます。

------------------------------------------------------------------------------------コロナの影響で飲食店に、なかなか行けない事態になっています。今すぐではなくても、持ち帰りでも、出前でも。いつか、みなさまがとんかつを食べられる日まで、ゆっくり更新をしていこうと思います。

(今日のとんかつ写真)ポンチ軒。上ロースと特ロースの差は沖縄県産の豚かどうか。恋人といけるとんかつ屋さんです。

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