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#4 マッチングアプリ体験記「新宿の夜を明るく照らす、町田の彼女」(終章)

前回の記事は、こちら…。

今回の記事は「終章」である。
結果は誰しも見えていることと思うが、私はドラマや漫画などでも「ネタバレ、どんと来い」タイプなので、皆さまご理解ください。

【2回目のデート ~会えない時間が愛育てるのさ~】

初めて会った初回のデートでは、新宿の居酒屋を二軒ハシゴし、お互い非常に良いモチベーションで家路についた。
(少なくとも、私はそう感じている)
(勘違いや、思い込みは少ないタイプだと思っている)
(あともう一軒、行けてたら俺は間違いなく、間違いなく…)

その帰りの電車の中で、次のデートの約束が決まった。
今度のデートはどこかって??

それは動物園
ZOO ~愛をください~

なんて言うか、女性とデートで動物園って、ええですよね。
心のままに生きる動物たちを見て、聞かざることもせず、化粧することもせず、嘘もつかず、見栄も張らない動物たちを見ては、

見てごらん、よく似ているだろう、誰かさんと

なんて言って、笑いあうんだろうな。
そうなったら、次は僕たちも、身に着けたもの取っ払って、裸の心で、裸の身体で、コミュニケーションを…
会えない時間は、愛を育てるというよりも、妄想を掻き立てるのかもしれません。

1回目のデートより、2週間ほどあいて、2回目のデートとなりました。

【今回のデートプラン】
①14時~16時 集合ー動物園入場
②16時~17時 公園内を散策・散歩
③17時~19時 夕食(落ち着いた海鮮系居酒屋)
④20時~21時 二軒目(横丁内をウロウロ、良さげなとこに)
⑤21時~23時 BATTLE START

上記は私が前日の夜に描いたデートプランとなります。
ちなみに相手には、①~③までは時間も含めて共有済み。
④に関しては、「こういうとこもあるんだって、時間あったら覗いてみようよ!」という程度で話しておりました。

ちなみに場所は、何となくお分かりになる方も多いと思いますが、吉祥寺でございます。

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【ROUND1 ~動物園の誤算~】

当日はほどよく晴れた、まさにお出掛け日和。
待ち合わせの吉祥寺駅で見つけた彼女は、初対面の時よりも普通に見えた。

ポイント:少し暗がりの方が、やっぱり美人(男前)に見える??

しかし、丈の長い落ち着いた柄のワンピースに、茶革の小さなショルダーバッグを下げた彼女は可愛かった。
よく言う、都会の雑踏に咲く…みたいな。

恋をしている人間は、往々にして愚かだ。
そこにあるのがカビの生えた固パンでも、旨そうだと心から感じ、かじりつきたい気持ちを抑えられないんだから。

2回目のデートと言えども、ほんの最近始めたあった二人の間には、初対面ではないが、それに近いぎこちなさがあった。
前回の新宿では、お酒の力があったが、あんなに打ち解けて、笑いあったのに。

お酒の力で作った関係って、薄まるのも早いよな。
翌日にはもう、そいつがどこの誰だかも忘れてしまう。
3時間以上2人で飲んだとしても、酔いがさめれば0からスタートだよ。

とは言え、動物園にさえ入っちまえばこっちのもんだと、その時の私は思っていました。
例えば猛獣を見て、女の子が「ひゃー!!」とテンションが上がれば、そこをキッカケにしてテンションを上げることも出来るし、
例えば小動物を見て、女の子が「可愛いー!」と叫べば、「可愛いねー」と同じ感情を共有できるから。

しかし、誤算。ナム・ドサン。

この井の頭公園の動物園、すごい動物少ない!!!

あれ、過激な猛獣がいない! いないタイプの動物園や!!!

結果:30分で全ての動物を見終える

この時、時刻はまだ15:00

ここから私の当初のデートプランは大きく崩れ始めた…。

【ROUND2 ~もう飲んじゃう・餃子食べちゃう~】

実は当初の予定では、「上野動物園」に行く予定だったのだが、新型コロナウイルスの影響で入場規制がかかっており、そのデート日に入場券をとることが出来なかったのだ。
そのため、事前にキチンと調べることもせず、ただ「動物園」というだけで井の頭公園を選んでしまったことを強く後悔していた。

もちろん、小さなお子様連れには凄くいい場所ですよね。
私も結婚して子供が出来たら、ぜひ行きたいです。

何となくテンションの上がりきらない雰囲気で動物園を出たのだが、その時に彼女から意外な提案がきた。

「もうどこか飲み行っちゃいませんか!??」

…!!!

……!!!!!!

それまでの空気を一掃する、鮮やかなロングパス
「いや、飲みたい気持ちですぎでしょ」
そんなオフサイドを心配していた私にとって、もっとも助かる一言であった。

そして、駅のほど近くにある、昼から飲める餃子屋さんに2人で入った。
本当に、とりあえずの繋ぎといいますか、何のこだわりもなく、そして迷いもなく入った。

1時間程度の動物園~公園の周遊であったが、喉がカラカラになった私は、注文した生ビールのジョッキ半分ほどを一気に飲み干した。
しかし、ここからは私の主戦場だ。

まず一軒目では、お酒を酌み交わしながら、他愛もない話をし、前回と近い距離感にまで行くことがミッションだな、と。
そして17時から予約をした二軒目では、海鮮と日本酒などの酒を少し楽しみ、前回の距離感を超えていくとこまで行こう、と。
とどめの三軒目では、チープな酒と串焼きをつまみながら、お互いの秘密やちょっとキワドイ質問を楽しむ距離感まで捉えてやろう、と。

そして、BATTLE START、だと。





結果:30分/お互い2杯ずつで退店 ⇒ そして、解散




何が起こったのだろうか…、あの時の私には分からなかった。

しかし、何かが起こったのだろう。

その時のことを思い返してみる。
1杯目を飲み終え、彼女の2杯目のグラス3/4ほどになったころ、私はお手洗いに席を立った。
お手洗いを済ませ、席に戻るときに彼女が目に入った。

あんなか細く、そして小食そうな彼女が、とんでもない勢いでレモンサワーを飲んでいる様子が見えた。
いや、アレは「飲む」というよりも「消化」だ。
テレビチャンピオン:大食いの赤阪尊子さんを初めて見た時を思い出した。

「沢山食べる子って気持ちいいよね」
「見ててスカッとするよ」

大食いブームの時にそんな意見を度々見かけたりもしたが、私が小学生の時に初めて見た赤阪尊子の食いっぷりに抱いた感情は「恐怖」だったよ。
普通の女性が、涙や鼻水を流し、口いっぱいに詰め込み姿は「恐怖」だったんだ。

そして、その時と同じ感情が、目の前で起こっていた。
華奢で、か細い、女の子が、とんでもない勢いでレモンサワーを飲んでいる。

「どうしたの?」
「ゆっくり飲みな?」

そんな声も掛けられず、ただレモンサワーを消化する彼女を見つめていた。
それはほんの数秒の出来事だったのかもしれない。
でも、今でも目に焼き付いて離れないんだ、突然に華奢なただの女の子がレモンサワーを爆飲みしだした姿が。

飲み終えるや否や、彼女はすぐにマスクを着け私を見つめた。

私は今日のプランの終了を、すぐに悟った。

「い、行こうか」

彼女は声も出さず、ただ力強く頷いた。

【今日の結果と考察 ~何がどうして~】

【当初のデートプラン】
①14時~16時 集合ー動物園入場
②16時~17時 公園内を散策・散歩
③17時~19時 夕食(落ち着いた海鮮系居酒屋)
④20時~21時 二軒目(〇〇横丁内をウロウロ、良さげなとこに)
⑤21時~23時 BATTLE START

【実際のデートプラン】
①14時~15時 動物園は早々に退場
②15時~16時前 餃子屋30分で退店/二人で食った餃子6個
ーGAME OVER-

彼女のことを駅まで送った。
改札まで送るのは何となく礼儀と思っていたが、駅に着くとすぐに彼女は「それでは」と会釈をし、去っていった。

一度も振り返らなかった。

何よりも確かな足取りで、駅の雑踏に消えていった。

彼女に「何があって」「何を感じて」急に足早に去ったのか、自己分析が足りないせいなのか、ほんとに分からない。
もしかしたら自分のせいではなく、他の影響かもしれないとも思った。

しかし、「何かダメ」だったら、「もうダメ」で良いと思う。

そもそも恋愛に時間を掛けたいのであれば、マッチングアプリなんてしなくても良いのだから。
もし自分の「何かがダメ」であることに気付いて帰ったのであれば、二回目のデートで気が付いてくれて本当に良かった。
自分でも気が付かない「ダメ」な部分なんだ、後々指摘されたとしても簡単に直せないようなことなのだろう。

えっ、口が臭いとかかなあ??
身体が臭いとか?
いや、そんなことないと思うんだけどな…。
フレグランスを一回目のデートで「良い匂いですね」って褒めてくれたし…。

そんなことをブツブツと呟きながら、僕は踵を返し吉祥寺の街中へ…。
ショックは特になかったが、無心になりすぎて、なぜか入った回転すし屋で20皿近く食べてしまったのであった。

■初めてのマッチング/デートで学んだこと。

「相手は突然消える」

もう一生会うこともなく、その子が結婚しようが、死のうが生きようが、何にも関係なくなったことが、何だか僕をセンチメンタルにさせた。

マジ、一期一会。

マジ、よろしく哀愁。

ー FIN -

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