沈黙

エアコンの音だけが聞こえる部屋。
私は本をめくっている。
しかし心臓は小さな子供の手によってぎゅっとにぎられているように苦しく、小さくなっている。

右手にはスマホがおいてある。
画面を開いてしまう、見てしまう、そうしてあぁつまらないなと思って閉じる。

本に目線を移す。
あまり内容が頭に入ってこないからなんとも同じところを読む。
眠くなってくる。

沈黙。
だまりこくる。
言いたいことをなぜ言葉にできませんか。
もっと赤裸々に気持ちを伝えてみてはいかがですか。

望みすぎ、求めすぎなのかもしれない。
傷ついた心に『伝える』という行動はあまりに難しいのかもしれない。

言葉を失うとは言い得て妙だ。
頭の中に浮かぶ単語を口から出そうとするとシュワっと溶けてしまう。
単語の組み合わせを様々に考えては、どれもこれもうまくあわなかったと思い口をつぐむ。

その繰り返しで今ここに沈黙が息をしている。

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