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マスク・チャームで生きながらえ

緊急事態宣言延長、故郷の福岡も包含…。

もうマスクなんて剥ぎ取りたい衝動にかられましたが、昨日椎葉村の自宅まで郵送でお届けいただいたマスク・チャームのおかげで、もう少し頑張ろうと思うことができています。

普段お世話になっている、椎葉村図書館「ぶん文Bun」へも東京からお越しいただいた方からの贈り物に心躍るワタシ。思えばこの1年、ぶん文Bunづくりを通して日本各地にさまざまな御縁が広がったことを思うのでした。願わくばそれが、椎葉村のためにもなっていれば嬉しい。

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「そうだ、このマスク・チャームをつけるためならもうしばしのマスク生活も我慢できるかもしれない」。

そう思ったときに、僕はふと、これは太宰治の「葉」と同じ心境か…。とかの名文を思い出すのでした。

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。

太宰治「葉」

贈り人が込めてもいない意味が、時として受取人のなかで芽生えることもあるものです。いえ、今回のマスク・チャームは明らかに「マスク生活ももう少しの辛抱」という意味が込められているし、丁寧な便箋にもそのようにしたためていただいたのですが。

こんなご時世、すこしばかりの贈り物が、かつての太宰を生きながらえさせたようなこともあるのかな…と想像するのです。

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かくいう私にとっての「麻の着物」は、この夏7月18日に椎葉村交流拠点施設Katerie/椎葉村図書館「ぶん文Bun」が1周年記念をむかえるということです。きっと楽しいイベントをお届けできると思いますので、どうぞご期待くださいませ。

そして9月には、人生でも最大級の喜びが待ち構えている。人生は拙くて尊いものであると、また太宰が教えてくれました。

こんな世の中ですが、もうすこしばかり耐え抜きましょう。麻の着物をあなたに贈ってくださる方が、絶えず在りますように。

小宮山剛