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『DEATH STRANDING』が、未来の「ゲーム」と「映画」を繋ぐ

11月8日のリリースから1週間が経過。

PlayStation 4用ソフト『DEATH STRANDING』の世界に、どっぷり浸りきっている人は、きっと少なくないのではないだろうか。



小島秀夫監督(「メタルギア」シリーズ)による全世界待望の最新作は、もはや「ゲーム」の概念を超え、広大にして深遠な世界を映し出す「映画」としても堪能できるものだ。

「GAME Watch」のインタビュー記事において、小島監督は次のように語っている。

映画とゲームは途中までプロセスが一緒なんです。世界観を作ったり、モデルを作ったり、それこそパフォーマンスキャプチャーなど同じテクノロジーも使いますし、そうなってくると同じクリエイターやキャストもストーリーの中に入ってきますし、そうなると垣根はなくなり、広い大地というか繋がりになると思います。僕は映画とゲームの橋を渡すことをしないといけないと思うので、5年10年するとそういった技法もできるかもしれませんね。


事実、今作には、ノーマン・リーダス、マッツ・ミケルセン、レア・セドゥ、ニコラス・ウィンディング・レフンをはじめとする名優たちが出演している。(ミュージシャン役として、三浦大知も出演。)

タイトルデザインを手掛けたのは、カイル・クーパー。『セブン』をはじめとする数々の作品において、その鮮烈なビジュアルイメージで映画ファンの度肝を抜いてきたタイトルデザイナーだ。

そして同時に、今作では、既存の映画やドラマのフォーマット上では表現しきれない壮大なSF物語が展開されていく。その圧倒的なスケール感に、思わず息を飲む。

「デス・ストランディング」は世界を変えた。人類は分断され、孤立した。サム・ポーター・ブリッジズは、未来への希望を手に、世界を再び繋ぐために歩きはじめる。



今作のテーマは、「繋がり」。

小島監督による「棒」と「縄」の例を用いた説明がとても面白い。

棒と縄の話をよくしますけど、お猿さんが四つ足だった時があって、直立歩行して棒を持った。これが最初の武器というか道具です。嫌なものを遠ざける、次に縄を発明して好きなものを繋ぎとめる。この2つで今の世界があって、手があるじゃないですか? これで握手すれば縄ですよ。人間同士グーでパンチするのは棒ですよ。

まさにアクションゲームが象徴的なように、これまでの多くのゲームは、「相手を叩く」「遠ざける」といった「棒」的な発想に基づいていた。

だからこそ、人と人、過去と未来を「繋ぐ」といった「縄」的な概念をベースとした今作は、僕たちにとって新鮮なものとして映るのだ。

今作の舞台となるのは、あまりにもハードで退廃的な世界ではあるが、しかしそこには、小島監督による希望のメッセージが通奏低音として響いている。


人類は自由になった両手で、何をつかむのか。


今作のメッセージが、「ゲーム」の領域を超えて、その先の「映画」ファンたちにも届くことを願う。



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