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アジカン、「希望」のロック・ファンファーレ10選

不条理、不平等、不安定。どれだけの言葉を並べても表し切れない理不尽な現実から、いつまでも、僕たちは逃れることはできない。

それでも。

この世界は、眩い可能性で満ち溢れている。そして、この世界を生きる僕たちは、いくつもの絶望や哀しみを乗り越えながら、未だ見たこともない未来を描くことができる。

そうした「希望」を語る上で、ロックバンドが紡ぐ言葉は、最も力強い言説の一つだと、僕は思う。「ロック」には、その力があると、一人の音楽リスナーとして信じている。

そして僕は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの音楽、後藤正文が綴る言葉に触れるたびに、その確信は深め続けている。

今回は、僕がセレクトしたアジカンの「希望のロック・ファンファーレ10選」を紹介したい。

今まさに、未曾有の危機にある音楽シーンに、春は必ず来ると信じて。


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無限グライダー(2003)

《研ぎ澄んだ感覚/君をもっと僕をもっと感じて僕らは飛ぶ/広げた両翼/風をもっと希望もっと/僅かに羽ばたくグライダー》

現実と理想の狭間で立ちすくむ僕たちを、力強く奮い立たせるロック・チューン。《僅かに羽ばたくグライダー》が秘める可能性は、「有限」であるか、それとも「無限」であるか。その答えは、この曲のリスナーに委ねられている。


海岸通り(2004)

《あれがない これもない/どんな希望も叶えたい欲張り/そんな僕らの足りないものだけそっと包むように/夕凪の最後には優しく揺らぐ風/海岸通りに春が舞う》

僕たちは誰しも完全な存在ではない。だからこそ、必要以上に多くを求めてしまう生き物なのかもしれない。それでも、この世界は、そんな不完全さをも優しく肯定し、包み込んでくれる。壮大なスケールを誇る「希望」のロック・バラードに、涙が止まらない。


転がる岩、君に朝が降る(2008)

《岩は転がって僕たちを/何処かに連れて行くように/固い地面を分けて命が芽生えた/あの丘を越えたその先は/光り輝いたように/君の孤独も全て暴き出す朝だ》

他の誰でもない「君」へ届けられる、救済のロック・アンセム。この曲のタイトルは、まさに「ロックンロール」の原初的な理念を表しているが、ゼロ年代の日本のロックシーンに、この「希望」のファンファーレが鳴り響いたことの意義は、やはり、あまりにも深い。


未だ見ぬ明日に(2008)

《大袈裟なニュースもいつか消えてしまうだろう/そうさ 公転の合間に散り散りになる/現在 此処にある僕らを/そうだ 未だ見ぬ明日を/どんな悲しい最期が待ち受けていようとも/それを「希望」と呼ぼう》

僕は、最後の《それを「希望」と呼ぼう》という一節に、力強い可能性を感じる。ロックバンドは、たとえ世界がどれだけの危機に陥っていたとしても、この「希望」のメッセージを高らかに放つことができる稀有な存在なのだ。何度聴いても、その輝かしい事実に奮い立たされる。


架空生物のブルース(2010)

《街の静けさが生々しくて/むき出しの僕らは此処に在って/それでも何処かしら頼りなくて/最深部で濁るブルーから這い出すために糸を吐いて/その糸でいつか希望を編んで/ありもしない羽で空を飛ぶ日を思う》

世界を変えるために必要なのは、僕たち一人ひとりの想像力と意思である。そして、それこそが「希望」であることを、この曲は力強く提唱している。この曲がリリースされた翌年、僕たちは東日本大震災によって大きな傷を負った。それでも、同曲に込められたメッセージに、救われるような想いを抱いた人は少なくないはずだ。


マーチングバンド(2011)

《開け/心よ/何がやましくて/何故 悩ましいんだ 僕ら/光れ/言葉よ/それが魂だろう/闇を照らしてどこまでも/行け》

東日本大震災後、初めてリリースされたシングル曲。いくつもの哀しみの夜を超えて、未来へ歩んでいくために、あの頃の僕たちがどうしても必要としたロック・アンセムだ。「言葉」の可能性を表したこの曲は、ゴッチの表現者としての業と覚悟を伝えているように思う。


夜を越えて(2012)

《胸の想いが少し光って/星のない夜を温めた/途切れそうな細いロープを手繰って/闇と瓦礫を掻き分けて/辿り着いたんだ》

この曲は、《音楽はあまりに無力なんて常套句に酔っても/世界をただ一ミリでも動かすことは出来るだろうか》という問いかけから始まる。そしてその後に続く上記の言葉は、その力強い返答になっている。震災後、この楽曲に込められたメッセージを、自ら体現し続けたアジカンに、僕たちは、どれだけの「希望」を与えられただろうか。


今を生きて(2013)

《優しく笑って/今日でさようならしようぜ Baby/永遠を このフィーリングを此処に刻み込もう/駆け出そう世界へ Say yeah!!!/肉体の躍動だ Baby/永遠を このフィーリングをずっと忘れないでいよう》

おそらくは「別れ」を主題としているはずのこの曲が、晴れやかなバイブスを放っているのはなぜだろう。ロックバンドが鳴らす音楽は、時に、そんな美しい矛盾を秘めているから不思議だ。聴く度に、切なさで胸がいっぱいになり、同時に、未来に対して前向きな気持ちになれる。


スタンダード(2014)

《月曜日の朝から 風変わりな少女が歌う/その小さな願いから/ささやかな兆しが芽吹いたんだ》

風変わりな少女の唄、つまり、(マイノリティーを含めた)僕たち・私たちの「願い」が、新しい時代における「スタンダード」になる。ゴッチが「ロック」に託した「希望」のメッセージに、強く心を打たれた。


荒野を歩け(2017)

《理由のない悲しみを/両膝に詰め込んで/荒野に独りで立って/あっちへ ふらふら また/ゆらゆらと歩むんだ/どこまでも どこまでも/どこまでも》

アジカンの新たな代表曲にして、ロックバンドにしか描けない「希望」を伝える至高のアンセムだ。現実世界に横たわるあらゆる理不尽に立ち向かうために、僕たちは、今日も彼らの音楽を求め続ける。


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編集者/ライター/音楽/映画/1991・10・1 生/慶應義塾大学卒/2014年、音楽メディア企業 ロッキング・オンに新卒入社、編集・ライティング等を経験/2018年、渋谷のITメガベンチャー企業へ転職/採用マーケティング担当/音楽や映画のコラム記事を毎日アップしていきます!
コメント (2)
最高です!!
わ! 共感して頂けたようで嬉しいです! 世代ですかね...? ありがとうございます!
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