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【ネタバレなし】超絶怒涛の大傑作、映画『パラサイト』を観た。

【『パラサイト 半地下の家族』/ポン・ジュノ監督】

ジャンルの分類は不可能。

もはや、悲劇か喜劇かさえも判断できない。

その先に続く展開をいくら予想しようとしても、豪快に、鮮やかに、そして観たこともない形で覆され続ける。

最後の最後まで、気が休まる瞬間なんて一切ない。

こんなにも奇想天外な映画体験、初めてだ。

そして、ついに迎えるクライマックスでは、鋭利にして冷徹な「告発」が、僕たち観客に深く深く突き付けられる。

そう、この寓話が鳴らす警鐘は、僕たちが生きる現実世界における問題意識と恐ろしいまでに共振しているのだ。

残酷なまでに二極化した不平等な社会。

日本で『万引き家族』が、アメリカで『アス』、そして『ジョーカー』が製作され、評価され、驚異の大ヒットを記録したように。韓国で『パラサイト』が生み出されたことは、まさに時代の必然なのだ。

「パラサイト」とは何か。

「半地下」とは何か。

不可逆的に加速する負の連鎖を前にして、僕たちにできることはあるのか。

今作が投げかける問いかけから、逃れられる者はもういない。逃げ場は、ない。

そして、ポン・ジュノ監督はこう問う。

誰もが直視さえしようとしなかった構造的な欠陥を孕むこの社会を、「映画」は変えることができるのだろうか。

それは誰にも分からない。

それでも、「映画」が映し出せること全て、「映画」だからこそ紡ぎ出せること全て、「映画」にしか訴えられないこと全てが、この『パラサイト』には詰まっている。

ポン・ジュノ監督をはじめ、「映画」の力を信じる製作スタッフたちは、今作に、未来を懸けた。

2010年代の最後に、この作品が産み落とされた時代の必然を超えて。彼ら・彼女らの祈りが結実することを信じたい。

2020年1月10日、日本公開。

笑いながら、慄け。

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