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児相34日目。「今、この時がどうか」

 共通の話題があると話が盛り上がるのは、決してここだけの話ではなくて普段どこにいても同じことだと思う。一日中部屋で漫画を読んでいた彼と夕方に会ってから、ドラゴンボールの話で盛り上がった。一つの物語が世代を超えて話を盛り上げてくれるのがなんだか面白い。

 ここにいる時間が長くなればなるほど、話題はここの中に限定されてきてしまう。子どもたちがここにいることが長くなれば、僕たちが”外”のことを話すことに喉に詰まった魚の骨のような違和感を感じるかもしれない。「なんで僕(私)はここだけの世界だけで、大人は外の世界も感じることができるのだろう」その気持ちがいつの日か苛立ちとなって態度に出るかもしれないし、でないかもしれないし。

 一時保護所の補助員の立場では、なぜ早くここを出ることができないのか?なんていう詳しい事情はわからないけれど、苛立ちやストレスが極力でないような時間や、”ここにいること”が一瞬でも忘れることができる空間づくりや空気感づくりは僕たちがやるべきことなんだと思っている。というほど気を張って子どもたちに接しているわけじゃないけど、先生でもなんでもない僕は、子どもたちと一緒にただただ近所のおじさんくらいの感じでいられればいいやと思う。だからドラゴンボールの話で盛り上がったのかなって。

 多めのご飯をぺろっとたいらげる勢いとか、物事に対して単純にストレートに反応する素直さとか、子どもらしさがとても学びになる。子どもたちを通じて脳みそをタイムスリップさせて合わせていく作業が楽しい。そしてそれが子どもたちとの時間を楽しいものにしてくれる。

 彼がいつここを退所するのかはわからないけど、それまでの間にどれくらいの話ができるのかは、僕と彼の楽しみであるのかもしれない。

 ここを退所していく子どもたちの行く末やどんな未来を歩んでいるのかはわからないしわかろうともしないけれど、今日や次回やその次もが嫌な時間じゃなければそれまでの過去が今への布石になるんだ。今が嫌な時間になってしまえば子どもたちは過去を嘆く。だからこそ、場所がここだったとしても楽しい時間を過ごして欲しい。ただただそう思うだけなんだよね。

 

いつも読んでくださりありがとうございます。いろんなフィードバックがあって初めて自分と向き合える。自分を確認できる。 サポートしていただくことでさらに向き合えることができることに感謝です。