あともどりできるんならさァ、チャレンジすればいいじゃん!

「あともどりできないこと」を考える機会があった

最近、「BIG THINGS」という本を読む機会がありました。大規模なプロジェクトの失敗例が軽快な文章で書かれていて、すらすら読める良書でした(多少胃が痛くなることを除けば…)。
もちろん僕はこんなに大規模なものに携わったことはないのですが、それでもこの本を通じて、ビジネスや人生には取り返しのつかない選択や決断があることを改めて考えさせられました。

ちょうどそのくらいの時期、現実世界でも「あともどりできない」例に思い至ったのでちょっと考えをまとめようと思った次第です。

その例というのは以下のふたつ。

  1. ハイスピードエトワールというテレビアニメ:大規模な企画が泣かず飛ばずだった(なんだったらその期のアニメとしてはかなり下の方の評価だった)

  2. バスケのコーチ:コーチをしているチームの夏の大会が終わってしまった=3年生は引退してしまった

これらの出来事を通じて、「あともどりできない」ことの恐ろしさを—もちろん鉄道の計画ほどではないにしろ—実感しました。

(ちなみに…僕はハイスピードエトワールはめっちゃ楽しく視聴しましたし社内で啓蒙までしてました。ほんと残念。絶対光莉が闇堕ちしてラスボスになると思ってたのに…)

恵まれた素材だったはずなのに…

今の仕事、どちらかというとあともどりしづらいかも

そんな背景の中で。

僕は現在クラウドサインという電子契約プラットフォームの仕事に携わっていますが、この分野すなわちtoB向けSaaSでも、あともどりすることの難しさを感じることがあります。
お客様や社内外のステークホルダーが多いため、一度決定したことを覆すのは容易ではありません。すでに築かれているブランドを損なうことは許されませんし、売上がめっちゃ上がるかめっちゃ下がるかみたいな博打は御法度です。売上予測グラフがまるでジェットコースターのように乱高下するような、そんな一か八かの賭けは、胃袋に優しいとは言えませんからね。

しかしながら、ビジネスにおいて本当に「あともどりできない」というのは何を指すのでしょうか? 僕はこれに尽きると考えています。

お客様が致命的に離れていってしまうこと

もちろん、「致命的」の定義は必要です。利益が低下する? チャーンレートが上昇する? ブランドの毀損? いろんな要素がありますよね。いずれにせよ、ビジネスはお客様がいなければそこで終わってしまうわけです。従って、彼らが離れてしまってはあともどりができないわけです。

ただ、逆に言えば、致命的にならない限り、死んでしまわない限り、toBであっても規模の大きいビジネスであっても、チャレンジする価値がある、もっというとチャレンジしていかなければならないのではないかと感じています。

優良なビジネスモデルであれば必ず競合がいるはずですし、独占市場でもない限りは何らかのチャレンジを続けない限り追いつかれ追い越されシェアを奪われてしまいます。泳ぐのを止めたら死んでしまうマグロのように、我々は常に進化し続けなければいけないわけで、そこで「あともどりしづらい」という相反する問題を解決しなければならないわけです。

でもでも工夫次第でチャレンジはできるはず

「あともどりできない」ことを恐れてチャレンジしないのは良くありません。なぜ「あともどりできなく」なるのか、考えてみましょう。

  1. 最初から大きなことをやろうとする

  2. 反応を見ながら方向転換しない(できない)

  3. 何か大きな力が働いている

まとめるとこんなところでしょうか。前述したハイスピードエトワールは、この3点全てに該当する良い例だと思います。

  1. 大規模な企画を立て、PCや化粧品などのコラボ商品を投入し、挙げ句の果てにはスマホゲームまで企画していた(この通知をXで受け取ったとき、僕はこのnoteを書くことを決意した)

  2. メディアの特性上、方向転換が難しかった

  3. スポンサードなどの形式で、多くの外部ステークホルダーが関わっていた

これは確かに「あともどり」が難しい状況だったと言えるでしょう。同様に、学生バスケも3年生最後の大会は一発勝負のトーナメントですので、負けちゃったけれど次の試合では勝とう、とはできないわけです。

しかし、僕が携わっているネットサービスの分野では、そこまで制約がありません。一般的な対処法として、次のようなことが考えられます。

  1. 小さいことから始めて形にしていく(もちろん大きなビジョンを描くことも忘れない)

  2. 反応に素早く対応して方向転換(ピボット)する

  3. 大きな力はリスクとして認識し、対応策を星の数ほど準備する

これらができれば、十分にチャレンジが可能だと考えます。

とはいえ、やっぱりあともどりできないこともある

ハイスピードエトワールや子供たちのバスケットボールの夏は、確かに「あともどり」ができません。だからこそ、事前に十分な準備をすることが重要だと考えます。

特に子供たちの夏の大会は、負けたら彼らの青春の一つの章が終わってしまうという、取り返しのつかない経験です。これは本当に「あともどり」ができないもので、何か致命的なものが失われる可能性があります。

こういった「あともどり」のできない状況を避けるには、徹底的な事前準備が必要です。

ほんとそのとおり。ビジネスは戦いだ!

もちろん目標はしっかり設定する必要があります。しかし、例えば「スリーポイントの成功率をゲームにおいて4割にする」という目標があったとて、いきなり試合で乱発して実戦形式で訓練するというのは愚の骨頂です。そんなことしたらすぐにベンチウォーマーになります。まずはセットで、次にキャッチ&シュートで、その次はプルアップで、その後ゲームシチュエーションの分解練習で…というように、小さな歩みを重ねていくしかありません。

小さな歩みからはじめることの良い点は、誤りがあった場合方向転換が容易な点です。フリーやプルアップではそこそこ入るけれどキャッチ&シュートが壊滅的に入らない僕のようなシューターの場合、そもそもコーナー待機しないプレイヤーになるみたいな方向転換が可能です。

また、怪我でエースが離脱して自らがファーストオプションを務めなければならないようなケースもあるかもしれません。ファウルトラブルもあれば、自身がスランプに陥ることもあるでしょう。そうしたときにどれだけ多くのものを引き出せるかが大事なわけで、あらゆるバッドケースを想定し、可能な限りシナリオを思い描いておく。もちろん可能性の大小によって準備しておくべきなのか想起しておくだけで良いのかは変わります。とはいえ、起こりうる不測の事態に準備しておくことで、チャレンジする土壌は整うわけです。

おわりに

現在僕は、プライシングというテーマに取り組んでいます。これがまたとんでもなく難しいテーマでして、間違いなく「あともどりできない」重要な課題です。失敗したら売上の低下からブランドの毀損までやらかしのフルコースになってしまいますからね。
とはいえ、クラウドサインのひいては契約DXの価値を多くの人に届けるには、これは避けて通れないテーマです。そしてそれは、大きなチャレンジをしないと成し遂げられないです。
これらの身近な例を反面教師としつつ、今後もチャレンジを続けていきたいと思います。

「あともどり」できるのなら、積極的にチャレンジすべきです。そして、「あともどり」できない場合でも、十分な準備と慎重な判断があれば、価値あるチャレンジができるはずです。

チャレンジのない人生なんて面白くないじゃないですか。失敗を恐れずに、でも失敗のことはきちんと考えながら、常に前に進んでいきたいなと考えた今日この頃でした。

ぜひこのタイトルはハチワレの声で再生してほしい。それだけでポジティブな気持ちになるから

サポートいただけたら、バスケのコーチの諸々に使わせていただきます🏀