妻の語り草:おばあちゃんは肉を食べんけー

妻は結婚したときから、同居ではないが、昼には仕事を手伝っていた。仕事から帰ると、一緒に自宅に帰る。料理も二人で作る。妻は母の好みを次第に把握していった。

母が年を取ってからも、妻は母と一緒に朝食と昼食を摂っていた。妻と母は嗜好も同じようだった。うどんも好きだし、ピザトーストも好きだ。他の料理も作るが、肉を使った料理の比重は極めて低かった。

最近になって、よく瓦ソバを作る。夜よりも、昼に作ることが多い。通常の瓦ソバ(三色:薄切り肉か挽肉+錦糸卵+刻みネギあるいは海苔など)をアレンジして、薄切り肉にタマネギを炒め、刻みネギを加えるのが、うちの定番。

7月中旬の終わり頃、妻は前日買ってきた瓦ソバの料理を始めた。香ばしいか香りが漂ってくるので、期待して食卓に着いた。ツユに浸して食べると、いつもの美味しさが広がる?と思った。食べていると、何かおかしい。物足りない。美味しくはある。

「あれっ!」

「肉がないよ。」

「えっ・・・忘れた。」

「おばあちゃんは肉を食べんかった。」

具材を忘れた所為を転嫁する。

「まあ、これはこれで美味しいけー。」

瓦ソバでは始めての経験だが、取り立てて大げさにしない。他の料理で2回程ある。物足りない料理の味に順応しながら食べる。妻の様子がおかしい。