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ふくろうは花脊の里に月に悠

ふくろうは漂うように羽を広げる
京都の北・花脊の背に羽を収めた

静寂な小川のほとり
流れるおだやかなとき
涼し気な光を伸ばす蛍
月の光が差し始める
すーと滑るように飛ぶ蛍
気の赴くまま飛ぶ蛍
縺れ合うように二つの蛍
離れて彷徨うような蛍

薄夜に薄紫にホタルブクロ
袋にホタル潜り込み
儚いランプ、明滅する

・本
・小池真理子(2021年)『月夜の森の梟』朝日新聞社、31頁。
※夫は藤田宜永、夫婦そろって直木賞。